『武術の神』と呼ばれたじいさん若返る。10歳の美少年になって無双&ハーレムの二周目人生を堪能します。

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第1章 10歳の最強武神

1 追放された99歳の『武術の神』

「悪いが、お前は今日でクビだ、ガーラ」

「な、なぜだ! 私はこのギルドにさんざん貢献してきたはず――」

「確かにかつてのお前はすごかった。いや『すごい』なんて言葉ではとても語れない。史上最強の『武神』――」


 ギルドマスターが述懐する。


「だが、今のお前は老いた。もうこのギルドで活躍することはできん」

「そんなことはない! 私は健在だ!」


 実際、今でも戦闘能力ならギルドの誰よりも上だという自負があった。


 さすがに全盛期ほどではないが――。

 短時間なら『武神』と呼ばれていたころと比べ、それほど見劣りしないだけの戦い方ができると思う。


 少なくともギルドから戦力外通告を受けるような状態ではないはず。

 ならば、私が追放されるのは別の理由だろうか?


「ほら、とっとと出ていけ!」


 マスターは有無を言わせず私を追い出した。


 もちろん、力ずくで抵抗することはできただろうが、私は何も言わずに出ていくことにした。


 今のマスターは三代目。

 初代のマスターは彼の祖父であり、私の先輩冒険者でもあった。


 ああ、あのころは楽しかったなぁ。


 三代目マスターになってから、私はすっかり冷遇されるようになって……とうとう追放されてしまった。


 ギルドを出た私は力なく歩き出した。


 あいにくの雨だ。


 と、視界の悪い中で、前方から十数人の集団が現れた。


 普段ならこの人数の接近に気づかないはずがないのだが、今はそんな気配の感知すらできないほどに気落ちしていた。


「ガーラさんね」


 先頭にいるのは十代の少女だった。


 剣を手にしている。

 確かギルドの有望株の剣士である。


「――死ね」


 いきなり斬りかかってきた。


「っ……!?」


 私はとっさに跳び下がる。


 紙一重で致命傷を避けたものの、胸元を浅く斬られてしまった。

 体が妙に重い。


 それだけ気落ちしている、ということか……?


「悪いね。マスターの命令だ」


 少女剣士が言った。


「追放された腹いせに、うちのギルドを悪く言われるのも困る。ギルドは信用第一だからね。まあ、あんたはもう十分生きただろう?」


 彼女は剣を掲げた。


「もう思い残すことはないんじゃない? ほら、死んで――」

「ぐっ――」


 振り下ろされた剣を避けようとしたが、他のメンバーがいっせいに魔法を撃ってきて、私の退路を塞いだ。


 ずぶりっ。


 次の瞬間、彼女の剣が私の胸を貫く。


 ……全盛期ならたやすく避けられた一撃だというのに。


 私も、ここまで衰えたか……。


 これが、私の人生の末路か。


 長い間、人々のために戦い、その最後が裏切られて殺されるとは、あまりにも――。


 無念だ。


 その思いを最後に、私の意識は霧散した。




 そして――私は目を覚ました。


 周囲を見回すと、どうやら岩山らしい。


 ここはどこだろう?

 いや、それよりも、


「生きてる――?」


 私は自分の体を見下ろした。


 幽霊の類じゃない。

 ちゃんと肉体がある。


 ただし――。


「体が……縮んでいるぞ……?」


 そう、やけに手足が細いし、体が軽いし……明らかに以前の体じゃない。








***

〇『死亡ルート確定の悪役貴族に転生した俺、ゲームでは【努力しない超天才魔術師】という設定だけど、めちゃくちゃ努力したら主人公を瞬殺できるくらい強くなったので、生き残れそうです。』

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