泣きかたをおしえて

気まぐれなハリネズミ

第1話 はじまりの音はオルゴール

 ここに、朝は来ない。

 見上げれば、澄んだ青い星が、いつも大きくそこにある。

 ここは、ラルム。

 広い宇宙の片隅にある、小さな星。


 少年の1日は、オルゴールの音ではじまる。

 時計の針は1本だけで、それは7を指していた。

 オルゴールを止めると、少年はゆっくりと背中をベッドから剥がし、大きな窓の外に青い星を見て、頬を緩めた。

「ティア、ご飯できたわよ」

 鳥の囀りを思わせる、母親の優しい声。

 元からカールを帯びている髪は、四方八方にはねていて、青く澄んだ瞳の半分はまだ瞼で隠されている。少年は目を擦りながら、階段を降りていった。

「ママ、おはよ」

 少年は目をぎゅっと瞑る。星のライトに照らされるリビングは明るく、寝起きの少年には眩しすぎた。

「おはよう」

 母親の笑顔もまた、眩しかった。



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