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「…元気か?」
沈黙を破った男性が、弱々しく微笑みながらネコに話しかけました。
その姿に少女が、その場から、2歩…、3歩…、と、距離を置きます。
そして、男性は、ゆっくりと、ネコに話し掛けました。
「私は、…私の人生は、キミが来てから、とても豊かなものになったよ。」
噛み締めるように言うその姿に、ネコは、「にゃー。」と、いつもより短めに鳴きます。
そして、男性は、こう続けました。
「たくさんの幸せをありがとう。きっとこれからもキミは、私に沢山の幸せをくれるだろう。……沢山の幸せをありがとうな。」
そう告げると、男性は噛み締めるように頷き、ゆっくり少女へ目をやります。
コクリと、少女が頷くと、少女もネコに近付きました。
「私も、あなたに出会えて、とても、とても幸せだった。たくさん、たくさん、素敵な時間をありがとうね。」
『にゃー…。』
ネコの声にならない声が、「ありがとう。」と、2人に伝わってきます。
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