　バタバタと身支度を整えた男性が、ふと、ネコ用の椅子に目をやると、いつものように丸くなっているネコの姿がありました。

「すまない、急用だ。しばらくココをあける。」

　男性は、ネコに話しかけ、ネコの頭をくしゃっとしました。

　ネコは大きく伸びをし、毛づくろいを始めます。

「では行ってくる。」

　そう告げた男性は、大きな荷物をぶら下げて、家をあとにしました。

　ポツンと残されたネコ。

　主人のいなくなった家に入ってみようと、試みましたが無駄足でした。

　労力を惜しむその姿に、年の功を感じさせます。

　それからまた数日経ったある日、…あの女の子が来訪します。

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