第71話 想定外の特別報酬が予想外に良かった
さて、これらの魔石の全てが『外れ』なんだろうな、と思い始めたちょうどその時に現れた魔石がコレだ。薄いオレンジがかった透き通った魔石。まるで美しい
驚くなかれ、これがその鑑定結果だ。
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品目・種別:魔石
総合等級:A(上級)
素材レベル:A
特記事項:グリーン・ワイバーンの魔石。
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おいおいおい。ワイバーンって、まさかあの【ワイバーン】か!
今更ながら、やっぱり異世界で確定だな、ここは。
決めた。
やはり現金なんかではなく、この魔石との交換で手を打とうじゃないか。厳密に言えば、もう1個の魔石を選ばなければならない。だが、純粋に宝石のような感覚で適当にきれいな魔石と交換するのも手かもしれない。
この世界のことはよく分からないが、どう見ても、ちょっとだけ色が付いた8万×2の計16万クランを貰うよりも、ワイバーンの魔石の方がいいだろう。残り1個はどれを選んでもおそらく元は取れそうだ。
トレイに残る未鑑定の魔石は残り4個。
話を引き伸ばしながら、ちゃっちゃとこれらも鑑定してしまおう。
外れ。
これも外れ。
外れだ。
あと、残り1個。
『鑑定』
ん?
おおおおお!!
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品目・種別:魔石
総合等級:AA(特級)
素材レベル:A
特記事項:スモール・ドラゴンの魔石。
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おおっ。ドラゴン、キタコレーー!!
最後の最後に強烈な1個を引き当てたな、俺。
まぁ、冷静に考えればそうだよな。
ワイバーンがいれば、そりゃドラゴンもいるに違いない。
頭にわざわざ『スモール』と付くくらいだから、おそらく小さいドラゴンなのだろう。魔石も通常のサイズなのもうなづける。
「あー、魔族についてはよく分かった。ありがとう。ところでドラゴンの魔石はどうなんだ?」
「よくドラゴンのことを知っているな。旅先で聞いたのか? 残念ながら、この大陸にはいない魔物だ。とても強く、
ああ、なるほど。
この街に来る途中の馬車で乗り合わせた商人の話によると、カディナには魔石が溜まる『鉱床』があり、それを採掘しているということだった。
しかし、果たしてその鉱床が出来るまで『どれ程の年月』が経過しているのかという点については触れられていなかった。実際に鉱山を確認してみると、川底などではない普通の山だった。となると、かなり昔の魔石が堆積している可能性がそれなりに高い。
言い換えれば既に絶滅してしまった魔物の魔石が含まれていたとしても、まったく不思議ではないのだ。そうか、もしかしなくても、これらの魔石は太古の魔物由来なのかもしれない。
こうして鑑定スキルを使った俺個人の査定が終了し、言わずもがな現金ではなく、ワイバーンとドラゴンの魔石を受け取ることにした。
我ながらせこいが、向こうとしても不良在庫の処理ができて好都合なはず。
まさしくウィンウィンな関係ということにしておこう。
とはいえ、現時点では換金できない魔石を俺自身が持っておく意味はない。ただ、このクラスの魔石は何らかの使い道がある。なんだか、そんな気が強くするのだ。
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