第19話 回復魔法が無い世界でポーションは必須アイテムだ
翌朝。俺は欲しいものがあり、ここポーション専門店に買い物にきた。
この世界のポーションとは、液体状になった薬の一種で魔力や体力の回復に役立つ必須アイテムである。
というのも、どうやらこの世界には回復魔法やそれに準ずるスキルが知られておらず、怪我や病気の回復にはポーションが無いとお話にならないからだ。そのため、街にはそれなりの数のポーション専門店がある。
一口にポーションといっても、効能や値段などピンキリであることが分かった。高価なものでは、1本10万クランは下らない。そんな大金払えるか、と思ったそこのあなた。
このクラスなら瀕死の重傷を負った体が一瞬で元通りに復活するようなので、むしろ安い買い物と言えるだろう。
このポーションの原料は薬草や魔物の骨などの素材がメインだが、それらの厳密な調合と特殊な魔法陣を使った薬剤魔法調合師による錬成がモノを言う。つまり、素人が適当に薬草を液状に混ぜ合わせただけではポーションにならないのだ。
それにしても、棚に並んだ色とりどりのポーションに目移りしてしまう。赤や黄色、緑、紫、青など本当に多彩な液体が入った小瓶が並んでいる。見た目は美しいが、飲むとすればちょっと勇気がいるかもしれない。
いかん、どれがいいのかさっぱり分からない。背景知識がまるで無いのだから、こればっかりはしょうがない。
「あっ、すいません。ちょっと高めの復活ポーションと安めの体力回復用のやつが欲しいんですけど……」
可愛げのある店員さんに話しかけてみる。
「そうですね~。具体的にはどのくらいのご予算でしょうか?」
これは俺の中では既に答えが決まっている。
「高い方は1万クラン前後、安いのは複数本欲しいけど、全部で数千クランまで位を希望するんですが」
「それでしたら、こちらの黄色の『オランチ回復ポーション・ダブル
ふむ。
名前はまったく分からんが、とりあえずオススメの品を言われるがまま購入してしまった。一応、鑑定スキルで真贋は検証済み。
このオランチ回復ポーションは、『ダブル+』以外にも『トリプル+』と『シングル+』の同系統の製品があり、トリプルになるとお値段は5倍もするとのこと。
はぇー、なんと高価なんだ。
その分、より強力な回復がかかり、しかも瞬速で効力が発揮されるとのこと。
これからはギルドの依頼を受注して稼いでいかなければならない。そのためには死なない程度の対策が必須。
幸いにも俺がもっている身体強化スキルと戦闘火焔魔法はかなり使えるが、これで回復時の対応も何とかなった。
もう遺跡発掘の依頼は受けられないから、明日からは常設依頼の安全なものを探してみるとしよう。
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