第13話 身体強化で目指せ、カンフー・マスター
「ステータス・オープン!」
落ち着きを取り戻した俺は自身のステータスを確認してみた。
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魔法:戦闘火焔魔法(超級)、日常火焔魔法(超級)
スキル:身体強化
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これが俺のステータス。
確かにスキル項目が追加されている。
思わずニヤニヤしてしまう。
身体強化というのは文字通り身体を強化するスキルだろう。問題はその特性や持続時間、発動条件など諸々がどのようになっているかだ。
本来ならば外の広い場所で試すべきなんだろうが、今は深夜の宿の中。とてもじゃないが運動どころではない状況。しかし、それでも一刻でも早く試してみたい。そうしないと眠れない。
とりあえず、昔テレビで見たカンフー映画のポーズを取ってみる。すると、体全体が熱くなるような感覚に襲われる。これだ!
体を動かしたその瞬間、自分の体とは思えないほどの俊敏さで体術が飛び出した。連続技も何のその。軽快な動きに本当に俺なのか、と驚きを隠せない。マジか。これほどとは!
それにしても、いきなり身体強化系スキルを取得できたのはラッキーだった。多少魔法が使えても、肉弾戦になった際に役立つのは己の肉体なんだから。魔法が役に立たない状況下においても使えるスキルを持っておくのは極めて重要だ。
そもそもこの世界に身体強化系のスキルなり魔法なりがあるのかどうかさえ知らなかったが、あるとすれば是が非でも手に入れておきたい類のものだった。
この念願(?)のスキルを手に入れたばかりだが、ここにまだ大きな問題が残されている。
ズバリ、この板状の魔道具の事後処理だ。
予想通りとはいえ、これが単なる骨董品でないことが否応なく証明されてしまった。これを復元可能な状態で全てのピースを一か所にまとめて置いておくのはあまりにも危険すぎる。
しかもうっかりして一部を破損させてしまったせいで、元々のダミー機能が生きるような形で修復させることは至難。かと言って、どこかに修理を依頼するのは危険だ。とにかく 魔法陣が分かってしまうのはマズい。
考えあぐねた結果、再現が不可能になるような部位のピースを数枚だけ抜いて、どこかしらに埋めることに決めた。それ以外の木片は手元に取っておこう。
もっとも、俺はこのスキルを習得済みなのだから既に用済みなのだが、一応、念のためだ。例えば万が一、このスキルの効果が実は一年でした、なんてことがあったら困る。
ベッドに潜り込んだ俺だが、結局、興奮してほとんど眠れなかったのは言うまでもない。
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