第2話


 それから先はイバラの道を歩くような過酷な日々だった。

 ギルドで新しい仲間を探すものの、『遊び人』である僕とは誰もパーティーを組んではくれない。

 他の冒険者はおろか、ギルドの職員にまで冒険者を引退することを勧められてしまった。


 それでも、僕は諦めることなくモンスターと戦い続けた。

 幼馴染みの3人に追いつくためには、彼らの何倍も努力する必要がある。

 初心者向きのダンジョンに入り浸って、スライムやゴブリンなど、戦闘職じゃなくても倒せるモンスターを狙ってレベル上げをする。

 新米冒険者に「いつまであんなダンジョンにいるんだ」と笑いものにされながら、時には何日もダンジョンの中で寝泊まりをして、必死にモンスターを倒していく。


 そんな生活をはじめて2年が経った頃。ようやく、その努力が実る時が来た。

『遊び人』の職業を極めたことにより天職が進化して、『賢者』という新しい職業に変わったのである。

 攻撃魔法と回復魔法の両方を駆使し、剣士と同レベルの近接戦闘までこなすことができる上位職になったことで、僕の生活は一変した。

 ソロで高難易度のボスモンスターを撃破できるようになり、ギルドの評判も飛ぶ鳥を落とすがごとく。それまでの努力が何だったのかと思えるスピードでAランク冒険者まで登りつめることができたのである。


 もはや僕を弱者と侮る者はいない。

 2年間、僕を馬鹿にしていた他の冒険者も、手の平を返したように称賛してパーティーに誘ってきた。

 もちろん、「いまさら遅い」とこっちから断ってやった!


「やっとアイツらを見返すときが来たんだ! もう二度と馬鹿になんてさせるもんか!」


 3人の幼馴染みであったが、彼らは無事にランクを昇格させて、より高レベルのダンジョンに潜るために他の町に拠点を移していた。

 それが何かの用事でこちらに戻って来ることになったらしく、ギルドでも話題になっていたのだ。


 アイツらの性格からして、行きつけの食堂に顔を見せに来るだろう。

 僕が追放されたあの食堂で待ち構えて、成長した姿を見せつけてやろうじゃないか!






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