第121話 あっちも【邪神様】

高校二年生の時に起きたワールドワイドなお客様への対応は、俺に彼女たちとの絆を強めるきっかけを作ってくれた。


あの事件以降クイーンの噂を聞くことはなくなった。

どうなったのか?それを考える権利は俺にはない。


ただ、あの事件以降スピカとの関係も深まっていた。

日本に来ては俺に会いに来るようになり、自分のことを第九夫人と名乗っている。


「この辺り一帯が、主様のモノになるのだな」


来日したスピカと共に、現在住んでいるタワーマンション部屋から、街を見下ろしていると恐ろしいことを口にする。


「いやいや、俺のモノになるわけじゃないよ。少し離れたところにタワーマンションが建つんだよ。その周辺を都市開発して待ちを活性化させるって、レイカ言っていたよね?」

「うむうむ。この辺りではないのか?ここは景色が良いから良いのにのぅ~」


親密度が増したからなのか、スピカの話し方も随分と砕けたモノになっている。


「ここは母さんの家だからな」

「ふむ。実家ということじゃな」

「そうそう、タワーマンションにも母さんの家を作るって話はしたんだけど。息子には甘えないってね」


昔は色々あったけど、今では親と子として上手く折り合いがついている。


「スピカにも家を用意しておくから来てくれよ」

「もちろんなのじゃ。私と主様の愛の巣なのじゃ」


子種の提供を求めていたスピカだけど、今でもそれは代わっていない。

ただ、あのときは得体知れない外国人と思って居たけど、話をすればするほど面白い奴で、自国では軍務大臣としての地位もあるそうだが、度々日本に来ているので大丈夫なのかと心配してしまう。


「はいはい。それよりも今回は何のための来日なんだ?」

「おう、そうであった。今回は友好国としての同盟関係締結のために来たんじゃ。主様も覚えておるか?アフィーたちもこちらに来ておるぞ」

「アフィーさんは一年ぶりだな。他の皆さんもか?」

「そうじゃ、今回は主様の門出と聞いたのでな。皆で【邪神様】同盟を結ぼうということになったんじゃ」


国際同盟の名前に【邪神様】が使われていることに驚いてしまう。


「【邪神様】同盟!?本当にそんな名前なのか?」

「そうじゃよ。何かおかしいかの?」


おかしすぎると思うが、さも当たり前のように言われてしまうと俺の方がおかしい気がしてくる。


「いや、もうわからん」


俺は考えることを諦めてソファーへ腰を下ろす。

すると、スピカも横に座ってくる。

スタイルが良く、見た目は美女であるスピカが横に来るとドキッとしてしまう。


「もうすぐ出なければならんからな。しばし【邪神様】を注入させてほしいのじゃ」


そう言ってスピカが顔を胸へと押しつけてくる。

髪から良い匂いがして、彼女たちとは違った香りにドキドキが強くなる。


「主様はハイスクールを卒業したらどうするのじゃ?【邪神様】として世界へ進出するのか?」

「いや、世界はもういいかな。【邪神様】としての活動は続けようと思うけど、彼女たちを第一に考えようと思ってるよ」

「うむ。惜しいが、それが答えならば仕方あるまいな」


スピカの顔は見えないが、気分が良さそうに鼻歌を歌っている。

身長の高いスピカにもたれられると、綺麗なふとももや胸元が無防備で、つい見てしまう。


「【邪神様】」

「なっなんだ?」

「私は……幸せじゃ」


スピカの言葉に邪なことを考えていた自分の頬に抓る。


「そうか、それはよかった」

「だから、触ってくれるともっと幸せになるのじゃ」


不意に、手を掴まれてスピカの大きな胸へと当てられる。

掌は結構大きいと思っていたのに、スピカの胸は収まりきらない。

レイカには及ばないが、鍛えられた身体はハリがあり、弾力がとボリュームを増している。


「どうじゃ?私は身体には自信があるぞ」


イタズラっ子のように見上げてくるスピカ。


「ダメ。私が先」


いつの間に部屋に入ってきたのか、ヒナタが俺の首に腕を回して抱きついてくる。


「ヒナタ!いつ戻ったんだ?」

「今、戻ってすぐに甘い雰囲気だから邪魔する」

「今は我の時間であろう!シャドー」

「シャドーじゃない。ヒナタ。別に、二人でヨルに相手をしてもえばいい」

「むっ?それもそうじゃな。主様は他の男とは違うのじゃ。八人を同時に相手にしても夜通し相手が出来たと聞いたのじゃ」

「そう!ヨルはあっちも【邪神様】」


あっちも【邪神様】ってなんだよ!てか、ヒナタってこんなんだったか?


「ヨル。私を変えたのはあなた」

「そうじゃな。我を女にしたのは主様じゃ」

「二人まとめてかかってこいや!!!」


やけくで、そのまま二人を連れてベッドへダイブした。



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