第58話 体育祭 棒倒し 後半
順調に進行が進む棒倒し大会。
三年は、スポーツ科を抑えて進学科3-Aが勝利した。
二年は、進学科2-Aが惜しくも二位になり、スポーツ科2-Aが勝利した。
そして、いよいよ青葉高校体育祭最後となる。
一年、四クラスによる優勝戦が行われる。
進学科1-Aは、予選を攻撃と防御のバランスによって圧倒した。
スポーツ科1-Aは、5人が棒をガッチリと守り、残りの二人であるサッカー部の双獣が攻撃に徹して勝ち切った。
スポーツ科1-Bは、バスケ部の鬼が一人で棒を守り切り、水泳部のマーメイド率いる六人が棒を倒した。
敗者復活戦によって、勝ち上がってきたのは普通科1-A。
ディフェンス4、オフェンス3と最もバランスの取れたフォーメーションで勝ち上がってきたチームだ。
四チームは、四方に分かれて陣を張る。
俺は四チームが見守る中で大太鼓の前に立つ。
「今年の最後を飾る一年棒倒し大会。開始の合図を男子応援団団長、黒瀬夜君にお願いします」
「押忍。いきます!」
ダン、ダン、ダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダン
「ハッ!俺様が欲しければ勝て!!!開始!!!」
セリフは、GYOさん、貝瀬さんからの要望であり、男子応援団からは一切提出しておりません。
「「「「「「おおおぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」」
棒倒しに参加していないクラスからも地響きが起きそうなほど歓声が上がる。
各クラスの女子たちが互いに雌雄を決するために走り出す。
俺はヨウヘーから新曲の歌詞を渡されて歌えと指示が来た。
「新曲行くぞ!!!」
歓声が上がる。
シックなリズムから始まるスローテンポ。
そこからドラムが激しく打ち鳴らされ、リズムアップしていく。
選手たちを囃し立てるように、ヨウヘーが自らギターを弾いて現れる。
「ヨル。いくぞ!」
「おう!」
ヨウヘーのギターに合わせてマイクの前に立つ。
「聞け、お前ら」
【GO!】
練習してきたが、ヨウヘーのイメージと合わないと言うことで封印されていた曲をお披露目するのは緊張する。
ロック調にシャウトするこの曲。
「お前は俺を強引に壁に押し付け唇を奪っていく……おせ!推せ!!押せ!!!俺を押し倒せ。出来る者ならやってみろ!俺の全てを奪えると思うなよ。俺がお前を屈服させてやる。俺の上で踊い狂いやがれ!!!」
サビが結構過激で、ヨウヘーのイメージする俺様像に俺が合わないと言われ続けていた。
「いいぞ!ヨル!それだそれなんだよ!」
興奮してヨウヘーが超絶技巧でギターをかき鳴らす。
背中を合わせてヨウヘーとヒートアップする。
セイヤとハヤトもダンスが過激に女子を挑発するように舞う。
一年女子の棒倒しは、俺たちの歌に触発されていっそう激しさを増していく。
双獣に襲われた鬼が吠え。マーメイドが座敷童に投げ飛ばされる。
普通科の三羽烏がスポーツ科を削り、イチカがスポーツ科1-Aの棒を蹴り倒した。
激しい戦いによって砂塵が巻き上がり、一本の棒が残される。
「今年の青葉高校1年棒倒し、勝者は進学科1-A!!!!」
土煙が吹き去ると、そこには進学科1-Aの棒だけが立っていた。
双獣の強襲を受けて、棒の先は折れていたが、それでも倉峰飛鳥は棒を守り切った。
「各学年の優勝クラスには、後日勝利者特典が成されます。それでは体育祭の閉会を行います。皆さんグラウンドにて整列をお願いします」
開会式と同じように整列をして、レイカさんが閉会の挨拶をする。
「皆さん、勝者は栄光を勝ち取りました。ですが、悔しい思いを抱えた方が多くいることでしょう。ですが、ときに闘争こそが人を強く成長させます」
俺は会長に手招きされて壇上へ上がっていく。
「あなた方は、この体育祭で彼らの雄志を見たことでしょう。
男子応援団。それはこれからの青葉高校の希望です。
そして、多くの望みを持ったと思います。
生徒会長特権及び、青葉高校体育祭の特権をここに行使します」
事前に打ち合わせも何もない。
会長が俺に抱きついてくる。
「「「「「「「「「キイーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」」」」」」
女子生徒から上がる悲鳴!!!
続いて、会長が俺の頬にキスをする。
そして「すみませんが、私が伝える台詞を言って、私の頬とおでこにキスをしていただけませんか?」小声で言われて頷く。
これは何かの儀式なのだろうか?
「レイカ、お前は俺のモノだ」
言ってほしいと言われた台詞と、頬とおでこにキスをする。
「「「「「「「「「「ギャアーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」」」」
またもや女子達から悲鳴にも似た奇声が上がる。
「皆さん。これが特権です。悔しければ来年の勝利をもぎ取りなさい」
会長に手を繋がれて、そのまま退出となった。
「あの~あれでよかったんですか?」
「本当は唇にしてほしいのですが、高校生として節度を弁えなければなりません。もちろん、いつでもお待ちしています。私の唇はヨル君のものですから。
改めて、本日は今まで以上に魅力的で、この青葉高校の活性化の役に立って頂きました。本当にありがとうございます」
レイカ会長はそれだけを告げると走り去っていった。
何やらドタバタした体育祭ではあったが、充実していて楽しい体育祭だった。
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