Side生徒会 ー 体育祭編
【藤堂麗華】
体育祭初日早朝……
ここまで多くの準備に追われて、やっと体育祭を出来るまでに至った。
細部のチェックはまだ終わったわけではないけれど。
十分に大会を開催出来る準備は出来た。
あとは、各大会の実行委員や審判団。先生方との連携などを詰めれば大詰めである。
「さて、朝早くに集まって頂きありがとうございます。
今年はいつも以上に大きな大会となりました。外部からの取材も一切遮断しました。
これは青葉高校始まって以来だと、教育委員会から抗議もありましたが、彼らの動画を見せて納得頂きました」
グラウンドには専用お立ち台が用意され、あそこで舞い踊る男子たちを思い浮かべる。
「今年の体育祭は毎年の通例とは異なるものとなるでしょう。
それもこれも全ては私たちにとって最高の思い出となることは約束されています。
失敗は許しましょう。
ですが、彼らへの
不快
不幸
不誠実
だけはあってはなりません」
「「「「「はい!!!!」」」」
生徒会メンバーだけではなく。
今回のためだけに集められた体育会専属風紀員。
生徒を支える教師達。
皆、同じ気持ちで返事をしてくれる。
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選手宣誓を終えた私は、自分が出場するバレーボール大会の会場となる第二体育館へと移動した。
同じ学年で負ける者はいないため、今日は体力を温存してドッジボール大会に本気を出そう。
幸い、男子応援団は隣の卓球の方へ行ってくれたので、意識することもない。
一回戦を難なく突破した私は、外の騒がしさに気付いて急いで扉へと向かった。
「よくぞ来てくださいました」
色違いの体操着を着た男子応援団が体育館の扉を開いて現れる。
「えっと、お世話になります」
「ふふふ、今日は短パン半袖なんですね……可愛いです」
顔を赤くして照れる姿を見せるヨル君はとても可愛いです。
「ふふふ。ヨル君。今日は私を応援してくださいね」
私の初めてキスした相手なのですから、近づいても問題ありませんよね。
「僕たちは平等に応援します」
……セイヤ君に邪魔されてしまいました。
まぁ良いでしょう。
バレーボールの試合が始まれば、私のプレーをヨル君に見せつけるのです。
相手には申し訳ありませんが、全力で潰します。
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ふぅ~久しぶりに本気でしてしまいました。
ヨル君たちは二回戦が終わると退出してしまいまたが、ヨル君が私をずっと見ていてくれたことは視線で感じてしまいます。
熱視線が私の身体やプレーに注がれる。
あぁ~なんという高揚感。
あぁ~なんという幸福感。
男性に見られるということがこんなにも快感だと感じる日が来るなど思いもしませんでした。
さて、午後からはドッジボール大会ですね。
今年は各学年の優勝者に与えられる商品を我がクラスにもたらすためにも手を抜くことはできませんね。
「キヨエさん。全力で行きますよ」
「はい。お嬢様」
私が全力を出すこと皆さんには申し訳ありませんが、これも全て彼のためなのです。
ステージに上がる男子応援団へ視線を向ける。
一回戦ダンス
二回戦ハヤトの歌
三回戦三人で合唱
準決勝に事件が起きた。
「えっ?」
「俺の歌を聞けー!!!」
ヨル君が一人でマイクの前に立ってラッシュガードを開いてグラウンドに登場した者達へ叫び声を浴びせる。
「フリーダム」
低い声で歌い出した歌は心臓を鷲掴みにする魔力があり、女子たちを自分の物だと宣言する。
なんでしょう?なんなんでしょう?この気持ちは……彼の歌に……彼の声に……支配されていく。支配されてしまいたい……
歌が終わってしまう……終わらないでほしい……
会場にいる女子たちに向けて彼が指で私を指した。
「お前は俺様のモノだ!!!」
心臓を撃ち抜かれるとはこのことだ。
私は……婚約者を捨てなければならないようです……
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【最上照美】
私はそこまで運動が得意ではないため、チームメイトと協力してなんとか勝ちを重ねることに専念していました。
ですが、今年はそう言ってられなくなってしましました。
「お前は俺様のモノだ!!!」
彼と目が合い。
彼の指が私を指して。
彼の言葉が私を求めた。
「テルミ……全力で行きます!」
「えっ?」
クラスメイトを押しのけて、決勝戦に出た私は自分でも初めてスポーツ科の女子から勝利を飾りました。
自分にも火事場のバカ力があったことを初めて知りました。
もしも……会長でもなく……倉峰飛鳥さんでもなく……ヨル君が私を求めてくれる……
汗とは違う……彼を求める愛する液体があふれ出してくる。
「あなたの子を産みたいです」
私は後片付けをしながら、ヨル君のことばかりを考えていました。
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