sideボディーガード ー IF

前書き



この話は、本編とは一切関係なく。


もしも、こんな話だったらと裏話です。



実際には、行われておりません(笑)



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【森多恵】



ワタスは幼い頃から道場で育ってきました。

神聖な道場は、いつでも心を清らかな気持ちにさせてくれます。



「押忍」



いつも身体を畳と馴染ませるために受け身の練習から初めます。畳の匂いがワタスを奮い立たせてくれて、身体から力がみなぎってきます。


そうやって身体を解していると、彼がやってきました。



「失礼します」


「来たか」



ワタスの指導を受けに来た黒瀬夜少年。

恵まれた体格を持つミステリアスイケメンです。

めんこい男の子は、ワタスには一度も勝てたことがありません。


彼は躍起になって毎日私を押し倒すためにやってくるのです。


だからこそ、ワタスは彼の挑戦をいつでも受けて立っています。



「しっ師匠!よろしくお願いします」



彼は道着の下に服を着ないで来たようで、恥ずかしそうに襟を何度も直していました。


チラチラと見える柔肌が、神聖な道場に邪な邪念を紛れ込ませて、誘惑と言う名の悪魔がワタスをかどわかそうと精神を乱します。



「どこからでもかかってきなさい」



ワタスは気合を入れて構えをとります。

彼がワタスの胸めがけて飛び込んできました。


彼の腕がワタスの襟を掴むもうとするたびに、ワタスの胸を弾いて激しい襟取りが行われます。


彼の熱い手がワタスの胸に当たるたび、痛みと刺激が程よい心地よさを与えてくるのです。


お返しにワタスも彼の襟を奪うため、何度も攻撃を続けます。


すると、彼の道着がはだけてあられもない姿へ、彼は変貌を遂げてそれでも真剣な眼差しで私のことを見つめてきます。



「待った。整えなさい」


「あっ、すいません」



彼は恥ずかしそうに襟を直しますが、緩だ帯はしっかりとは絞まっていません。


男性だというのに恥じらいを持たない彼にワタスの方が気を使ってしまいます。



「どうして下を着てこない」


「すいません。今日は用意してくれるのを忘れてしまって!でも、道着があれば柔道はできます!」


「そんな状態で神聖な柔道が出来ると思っているのか?!」



ワタスは己を律するために彼を怒鳴りました。



「すいません。今日はもうやめますか?」


「君はそれでいいのか?」



ですが、真剣な目で見つめられれば、乱取ることを断ることはできません。



「よくありません。今日こそ師匠を押し倒したいです」


「わかった。君の気合に免じて、今日はそれで行おう」



ワタスは彼の気合に免じて試合を受けることにしました。いつの間にか鼻息が荒くなっていました。

心を落ち着かせねばなんね。


これは試合なんだ。決してやましいことなどねぇ。


そんだ。絶対にスケベな気持ちなどありはしねぇ。



「いくぞ!」


「はい!」



彼の手がワタスの胸へ伸びて、襟を奪いに来る度に凄い力を感じます。


ワタスの手も彼の胸へと伸びて、彼の大事な部分が赤く染まり、今度は止めることができねぇ。


これは真剣な乱取りなんだ。


手を抜いていては彼に押し負けてしまうんだよ。



「はっ!」



ワタスの気合と共に一本背負いが決まりかけて、彼が体を捻って一本を決めさせねぇ。


素晴らしい身体能力だ。


しかし、決めきれないのであれば、そのまま寝技へと移行するだけだべ。


彼の腕を取って腕十字を固めました。


彼の太く大きなものが、ワタスの足の間と胸に押し付けられ、もがくたびにワタスの足を激しく揺さぶり痛みに耐えてねばなんね。



「参ったか?」


「まだまだ」



彼が強引に振り解こうとするので、仰向けにした彼の頭から乗り被さり、彼の両腕に抱き着く様に、自分の両腕で抑え込みました。



彼の顔の上にワタスの胸が乗り、ワタスの目の前には彼の汗だくになった胸がきらめていました。



「フォー!!!!」



ワタスは気合を入れるために雄たけあげ。


彼はワタスの胸に敷かれて顔を苦しそうに左右に振ってのがれようともがきます。


それでも必死に抑え込むと、彼がワタスの腕をポンポンと叩いて、降参を知らせてました



「フゥー。今日もワタスの勝ちだね」



息苦しかった彼は立ち上がることなく、道着をはだけさせたまま無防備に寝そべっています。


乱れたズボンはズレて下着が見えていました。


弱って肌を晒す美少年。


ワタスは優しく彼に手を差し出します。



「さぁもう一本やるぞ」


「はっはい。師匠」



ワタスは年下のヨル君を、何度も押し倒しては締め上げ、抑え込み、苦悶の表情をさせました。


年上のお姉さんが手取り足取り教えてあげる。

これがワタスの理想の関係だと思っていました。



「ていっ!」


「アイタっ」


「タエさん。なんかトリップしていたみたいですけど。大丈夫ですか?」



突然、感じた痛みで、私は現実に引き戻されました。



「ふぇ?師匠は?」


「うん?何言ってるんですか?タエさん。

さっき締め落としてから、何やら笑い出して危ないところでしたよ。気合を入れて引き戻してよかったです」



目の前には余裕の笑みを浮かべてワタスを見下ろすヨル君がいました。ワタスは床に寝てぐったりと無防備な姿を晒しています。



「はっ、夢だったの!!」


「夢?」


「なっなんでもないよ」


「そうですか?じゃあ、乱取りの続きしますよ。一回ぐらいは投げてみてくださいね」



そうだ。ワタスは一度も彼に勝ったことがねぇ。

だから道場に来ては彼に挑んでいたんだ。

彼に差し出された手を取って立ち上がる。


体力には自信があったのに、彼にかかっては何させてもらえずに押し倒されてしまうんだ。



「はっ!」



彼の一本背負いをなんとか回避するが、そのまま寝技をかけられる。



彼に抱きしめられるように袈裟固めを決められて、もがくワタスを悠々と彼が抱き締め続けて一本取られた。



「お疲れ様でした」


「押忍。お疲れ様でした」



乱取りを終えて、彼がワタスの耳元で囁く。



「あの~言い難いのですが、スポブラとか付けた方がいいですよ。汗をかくと透けて見えてしまうので」



彼は困ったような顔をして、ワタスに指摘しました。


ワタスは指摘を受けて自分がブラを付けずに、スケスケ状態で乱取りしていたことを知りました。



「ハゥッ」


「真剣だったので言えなくて……すいません」



顔を赤くしたヨル君が道場を去っていく。



「こっこんなガサツな女のなんか見ても……」



見られた恥ずかしさと、ヨル君が自分を見て興奮したのかもしれないと思う気持ちで、顔が熱くなってきました。

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