side生徒会 ー 5

【藤堂麗華】



別荘についてからは、男子応援団メンバーに別荘内の案内をしたり、ある程度部屋でくつろいでもらったところで、食堂へ案内をして自己紹介を終えた。



「こうして合宿を共にできるのです。より仲が良くなれるように互いに名前で呼び合うように心がけましょう。良いですねヨル君」



「はい。大丈夫ですよ。レイカ会長」



やりましたわ。ヨル君を名前で呼べる許可を頂きました。

それにレイカって、ヨル君まで名前呼びを!!!

もうこれはベッドインもマジかなのではないしょうか?



「男性の方ってたくさん食べるんですね」



テルちゃんの言う通りね。

是人さんと食事に行っても彼らほど食べる姿を見たことがないわ。

ヨル君が食べる姿はカッコいいければ、もうすぐ終わってしまうのね。



「午後からは何をなされるのですか?」



ヨル君が今後の方針をセイヤ君に確認する。

二人の視線だけのやりとりに胸が締め付けられてしまうわ。

なんだか二人だけでわかり合っているようで焼けてしまうわね。



「まだついたばかりなので、少しゆっくりしようと思います。それぞれ自由にして、二日目からは朝から体力アップや歌唱力アップをしていこうと考えています」


「まぁそうなのね。でしたら、午後はビーチに行かれてはどうですか?ここはプライベートビーチですので他の方々(女性)に会うこともありませんので気が楽だと思いますよ」



今度は逆にセイヤ君がヨル君に視線を送る。

どうして何も言わないで視線で会話しているのかしら。



「自由なんだ。それぞれが思うことをすればいい。俺は会長の言葉に甘えさせてもらうつもりだ」



あら、じゃあヨル君は海に行くのね。

用意した水着は来てくれるかしら?あれにはちょっとした仕掛けがあるのだけれど。



「僕はパスするよ。環境が変わって新曲を作成できそうだから」


「ハヤトはどうするの?」


「俺は少し休ませてもらうつもりだ。車に食事と続いて少し疲れた」


「そう。う~ん、じゃ僕はヨルに付き合おうかな」



四人の動向が決まったようだ。

他の男子は休むようだげど、うちの子たちはどうするのだろうか・



「まぁまぁまぁ、それではヨルさんとセイヤさんはビーチに行かれるのね」



とりあえずセリーヌに合図を送って用意してもらう。


一旦着替えに戻る男子たちを見送り、生徒会メンバーに合図する。



「皆さん!決戦の時です」



私達は用意していた水着姿へと着替えてビーチに急いだ。

メイドの合図で二人がやってきたことを伝えられる。



「お待ちしておりました」



セイヤさんに合同合宿を持ちかけた日から、私達はそれぞれに似合う水着や服装を研究してきた。


その一つである水着は、自信作だ。


私の胸に釘付けになっていたヨル君の視線をもっと感じるために、私は白いビキニを選んだ。本来は裸でもよいのだが、それではただの変態になってしまう。

そこでもっとも露出が少なくヨル君に見てもらえる面積の少ない水着を選んだ。


他の子たちもそれぞれに似合う水着を選んだようではあるが、倉峰さんだけは私と色違いの黒ビキニ選んでいてちょっとイラっとしました。



「皆さんも利用されるのですか?」


「はい。せっかくなのでお二人に楽しんでもらえたら嬉しいですわ」



私はセリーヌに用意してもらったティーセットの下へと案内する。



「海は体が冷えますので、暖かめてからお入りください」



セリーヌの声にヨル君が頷いている。

どうやら紅茶も気に入ってくれたようだ。



「景色は気に入って頂けましたか?」



私はヨル君の視線を釘付けにしたくて、胸を寄せて強調するポーズをとる。



「ええ。凄く綺麗です」



GUN見です!大成功ですわ!!!



「気に入って頂けたならよかったです。男性の方が海に来ることは極めて稀なので、本当にお連れしてよかったのか気になっていたんです」



男性は外に連れ出すことを嫌う傾向がある。

特に女性の多いところでは無遠慮な視線が男性へ過度のストレスを与えてしまうのだ。


だけど、見ている限りは二人とも女性に囲まれても嫌な顔をしていない。

これはイケるかもしれない!



女性が男性に聞いて応えてほしい質問第一位。



「お二人にお聞きしたいことがあるんですが、よろしいですか?」


「はい。なんですか?」


「お二人は好きな女性のタイプはどんな方なんですか?」



やりましたわ!言ってやりました!

皆さんどうですか?尊敬の視線を感じます。

やっぱり聞きたかったですよね。



「そうですね。僕には姉がいるんですが、姉は根は優しくて無口な、少しミステリアスな部分を持つ人なんです。僕としてはそんな気になる女性がタイプなんだろうなって思っています」



「そう、セイヤ君は家族思いなのね。それじゃあヨル君は?」



セイヤ君はこういう質問をされなれているんでしょうね。

でも、わたくしの本命はやっぱりヨル君です。

ヨル君は戸惑った顔をしてオロオロして可愛い。


さぁ、セイヤ君が答えたのです。

ヨル君にも答えてもらいますわよ!



「俺は……」



「「「俺は???」」」



「自立している女性が好きです。強い女性と言うか……


責任ある仕事を任されても負けない人。

誰かの支えになれる人。

弱音を隠して強くあろうとしている人。

自分のことよりも他人を優先しちゃう人。


そんな女性は輝いて見えると思います」



まぁまぁまぁ、そうですかそうですか。

責任ある仕事を任されても負けない人。



つまりは、生徒会長であるわたくしのことを指してくれているのですね。

それに次期東堂家筆頭として、人を支え、弱音を言うことが出来なくて、自分のことよりも人のことを優先する。



全て私のことじゃありませんか!!!



「そっそうですか……責任ある仕事を任されて負けない人が好きなんですか……まぁまぁまぁ」



そんなにもヨル君に思われていたなんて思いもしませんでしたわ。



「さぁさぁ、いつまでもお茶を飲んでいては海を楽しめませんわね」



少し体が熱くなりすぎてしまいましたわ。



「そうですね。ちょっと泳いできてもいいですか?」



みんなで浮き輪で水遊びでもと思ったら、ヨル君が立ち上がる。



「へっ?」



私は驚いて変な声を出してしまう。



「セイヤはどうする?」


「そうだね。せっかくだし浮き輪でぷかぷかしようかな」


「そうか」



海へと向かうヨル君とセイヤ君。

二人の姿が眩しくて、何も言えずに背中に視線を向けてしまう。



「浮いてるだけなら、これを持っててくれ」


「へっ?」



突如ヨル君はラッシュガードを脱ぎ捨てて海へ飛び込んでいきました。



「「「「キャーーーーー!!!!!」」」」



男性が女性の前で上半身を無防備に晒すなんて!!!


あら、頭がクラクラしますは?



「お嬢様、鼻血が」



セリーヌ、ありがとう。


そっとティッシュを差し出してくれて……刺激が強すぎますわ。

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