第35話 女性のタイプは?
パラソルの下で飲む優雅なティータイム。
美しい景色と美しい女性たちに囲まれて、露出の多い水着姿は男性を釘付けにする。
あれ?ここは夢の国でしたか?確かに有名テーマパークは見えていますが、此処こそが夢の国ではありませんか?
「景色は気に入って頂けましたか?」
正面に座るレイカ会長は、腕を組んで二つの大きな胸元がこれでもかと主張しております。
「ええ。凄く綺麗です」
もちろん、景色だよ……会長の二つの丘のことではないからね。
「気に入って頂けたならよかったです。男性の方が海に来ることは極めて稀なので、本当にお連れしてよかったのか気になっていたんです」
貞操概念逆転世界の男性たちは、運動もしなければ、外に出ることもほとんどない。
ましてや夏に海に行くなど、景色を楽しむ以外にありえない。
だからこそ、俺は言おう。
海はパラダイスであると。
美少女たちが海の冷たい水を使って、泳ぎ、戯れ、素肌を晒す。
ビバっ!夏のビーチ!最高です。
「お二人にお聞きしたいことがあるんですが、よろしいですか?」
レイカが楽しそうにニコニコと前のめりになる。
顔の前で両手を合わせるので、あれ?誘惑されてる。
「はい。なんですか?」
セイヤが余裕の笑みで質問に応じる。
「お二人は好きな女性のタイプはどんな方なんですか?」
おっと、これはあれか?男子が女子に聞くと引かれる質問№1と言われる答えづらい質問か?ここには六人の女子がいて、誰かを選ばなければいけない的な?面倒だからするなよ的な質問なんじゃないか?
「そうですね。僕には姉がいるんですが、姉は根は優しくて無口な、少しミステリアスな部分を持つ人なんです。僕としてはそんな気になる女性がタイプなんだろうなって思っています」
おいおい、陽キャラセイヤ様!お前は何をさらっと質問に答えてんだよ。
しかもミステリアスな姉がタイプ?家族大好きっこかよ。
俺なんて妹にキモイって言われてますけど。
最近はちょっと可愛くなってきたけど。
精神的に追い詰められてますけど何か?
「そう、セイヤ君は家族思いなのね。それじゃあヨル君は?」
ギラギラとした女子の視線が痛てぇです。
なんならセリーヌさんまでメッチャガン飛ばしてる気がします。
「俺は……」
なんで女子全員で身を乗り出してくるの?ますます言い難いんですけど。
「「「俺は???」」」
ふと、ランさんの顔が浮かんでは消える。
「自立している女性が好きです。強い女性と言うか……
責任ある仕事を任されても負けない人。
誰かの支えになれる人。
弱音を隠して強くあろうとしている人。
自分のことよりも他人を優先しちゃう人。
そんな女性は輝いて見えると思います」
ランさんは、自立しようとモデルと駅伝の両方を頑張っている。
駅伝じゃ区間を任されて責任に負けないようしている。
チームメイトの支えになろうとしている。
モデルに駅伝にしんどいはずなのに弱音を隠して強がっている。
そして、俺に疲れていることを見せないで毎日メッセージを送って優先してくれている。
やっぱりランさんは輝いて見えるよな。
「そっそうですか……責任ある仕事を任されて負けない人が好きなんですか……まぁまぁまぁ」
何故か、レイカさんが顔を赤くして照れ始めた。
それだけじゃなく、他の女性たちもなんだかモジモジと体を揺すり始める。
唯一、倉峰飛鳥だけは出されたお菓子を嬉しそうに食べていた。
「さぁさぁ、いつまでもお茶を飲んでいては海を楽しめませんわね」
「そうですね。ちょっと泳いできてもいいですか?」
「へっ?」
俺の提案が意外だったのか、会長から変な声が出る。
俺はそれを気にすることなく立ち上がって海へと向かう。
「セイヤはどうする?」
「そうだね。せっかくだし浮き輪でぷかぷかしようかな」
「そうか」
セイヤと一緒に海へと向かう。
浮き輪を海へ浮かべて、バシャバシャとラッシュガードを着たまま海へと入るセイヤ。
「浮いてるだけなら、これを持っててくれ」
「へっ?」
俺は思いっきり泳ぎたくなったのでラッシュガードを脱ぎ捨ててセイヤへと渡して海へ飛び込んだ。
「「「「キャーーーーー!!!!!」」」」
何故か、女子たちから悲鳴が上がっているが、俺は気にせずに思いっきり泳いだ。
前世は病弱な体で泳ぐことすらできなかった。
今のヨルの体は程よい筋肉と健康的な身体。
幼い頃はユウナとホテルなどでプライベートプールで泳いだことがあり、教えてもらったことを体が覚えている。
「ふぅ~気持ちいいな」
一通り体が温まるぐらい泳いでセイヤの戻ろうと、浮いている浮き輪に近づいていく。
「セイヤ?」
近づいた浮き輪が思っていたのと違う気がして声をかける。
「ひゃい!」
返事をしたのは、テルミ先輩だった。
花柄の可愛い水着に身を包んだテルミ先輩がセイヤと同じように浮き輪で浮いていたようだ。
「あっすいません。間違えました」
「いっいえ。だっ大丈夫ですよ」
テンパるテルミ先輩は慌てて両手を振って暴れるため、浮き輪が波に晒されて……
「あっ!」
そのまま転覆してしまう。
「きゃっうわっ私、およげ」
ジタバタと暴れるテルミ先輩を横から抱き上げる。
「へっ?」
「大丈夫ですか?泳げないのに、こんなところまで来ちゃダメですよ」
俺は浮き輪を捕まえてテルミ先輩に掴ませる。
聞こえるかわからないので、耳元へ口を近づける。
「ほら、捕まってください。俺が支えておきますから」
「ひゃ!」
耳元で響く声がこそばかったのか、テルミ先輩の体が震え始める。
「大丈夫ですか?このまま岸まで連れて行きますね」
俺は肌を合わせるテルミ先輩の体がだんだん熱くなってくるのを感じて、体調が悪いのではないかと心配してしまう。
岸についてもテルミ先輩は俺に寄りかかっていた。
「ヨル、隠そうね」
俺がどうしたものか考えていると、セイヤにラッシュガードを羽織らされる。
「いや、今はテルミ先輩が」
「うん。わかったから黙ろう」
セイヤにラッシュガードのチャックを上げられる。
「もっもう大丈夫です。少し、疲れただけです」
テルミ先輩はしんどいのか、顔を下に向けて大丈夫と繰り返す。
「くっ黒瀬君。ありがとうね。お姉ちゃんは私が面倒みるから大丈夫だよ。お姉ちゃんズルい」
ハルミさんも来て、任せることにした。
「ヨル……簡単に脱ぐのはダメだよ」
何故かセイヤに怒られた。
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