ライムラッタの歌
空殻
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ライムラッタははらぺこだ。
いつでもおなかをすかしてる。
どんなにきょだいなごちそうも。
ぴかぴかきばとあかいした。
おおきなくちでまるのみさ。
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放課後の教室で、僕はライムラッタの歌を口ずさんでいた。
教室には他に、クラスメイトが一人だけ。
「ライムラッタって何だい?」
そんなに仲が良いわけでもないそのクラスメイトが、僕に向かって言った。
僕は答える。
「ライムラッタはライムラッタだよ」
その投げやりな回答に、クラスメイトは満足しなかったようで。
「だから、ライムラッタって何だい?」
もう一度訊ねてきた。
僕はなんだか面倒になったのと、彼をからかってやろうという気持ちが入り混じって、答える。
「ライムラッタは今、君の後ろにいるよ」
そう答えた。
もちろん嘘で、彼の背後にはライムラッタはいない。
すると、彼は真面目な顔で言った。
「そんなはずないよ、だってライムラッタは今、君の後ろにいるんだから」
僕は一瞬だけ呆気に取られて、それから声を出して笑ってしまう。
「なんでそんなことが分かるんだい。君はライムラッタを知らないじゃないか」
そう指摘してやるが、クラスメイトが今度は笑い出した。
「分かるよ。君が歌って、僕に教えてくれたんじゃないか」
背後に気配を感じた。
振り返ると、そこにライムラッタがいた。
ピカピカと光る牙と、真っ赤な舌が覗く、大きな口を広げていた。
僕は知っている。ライムラッタがお腹を空かしていることを。
だから、僕の運命も知っていた。
ああ、こんなことなら歌うんじゃなかった。
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ごりんごりん。
ぱきんぱきん。
べきべきべき。
ぐちゃぐちゃぐちゃ。
ごっくん。
ライムラッタはまんぷくだ。
ライムラッタの歌 空殻 @eipelppa
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