第40話『お泊まり女子会』

 8月14日、日曜日。

 今日は私の家であおいちゃんと理沙ちゃんとお泊まり会です。女の子だけだから、お泊まり女子会になるのかな。

 お盆の時期は陸上部の活動がお休みになる。だから、理沙ちゃんと友達になった中1から、この時期にお泊まりするのが毎年恒例になっている。数日前に、LIMEでのあおいちゃんと理沙ちゃんとのグループトークで、私の家でのお泊まり女子会が決定した。

 美里ちゃんも誘ったけど、美里ちゃんは家族で母方の親戚の家に行っているため予定が合わず、今回は不参加となった。

 今日は夕ご飯を食べたり、3人でお風呂に入ったり、私の部屋でお菓子を食べながらアニメを観たりする予定になっている。

 ただ、あおいちゃんはお昼前から夕方まで、ファミレスでのバイトがある。なので、理沙ちゃんと私で夕食作り。メニューはオムライスとコンソメ仕立ての野菜スープ、ピザ。理沙ちゃんと料理をするのはお泊まりのとき以外にはあまりないから結構楽しくて。

 夕ご飯は私とあおいちゃんと理沙ちゃん、お母さん、お父さんの5人で食べた。みんな美味しそうに食べてくれて嬉しい。特にあおいちゃんは、


「どれも最高に美味しいですっ! バイトを頑張って良かったです!」


 と大喜び。そのことで、5人で囲んでいる食卓は笑いに包まれて。胸がとても温かくなる。

 ただ、楽しい夕食の時間を過ごしていても、こう思ってしまうことがある。

 ――ここにリョウ君もいたら、もっと楽しいのかなって。

 今年のゴールデンウィークにリョウ君と久しぶりにお泊まりした。そのときはあおいちゃんとの初めてお泊まりでもあったけど、とても楽しかったし。リョウ君は私の作った料理を美味しそうに食べてくれるし、笑顔をたくさん見せてくれる。そんなリョウ君を見ると幸せな気持ちになれる。夏休みの間に、リョウ君と2人きりでお泊まりしたいって誘ってみようかな。

 夕食が終わって、後片付けをした後はお風呂に入ることに。約束通り、あおいちゃんと理沙ちゃんと3人一緒に。

 私達は部屋に戻り、着替えやタオルなど必要なものを用意する。


「愛実ちゃんの家のお風呂は初めてですから楽しみです! 理沙ちゃんと一緒にお風呂に入るのも楽しみですし!」


 弾んだ声でそう言うあおいちゃん。初めての環境で初めて一緒に入る人がいると、自然とテンションが上がるのかもしれない。ゴールデンウィークにリョウ君の家でお風呂に入るときも、あおいちゃんは楽しそうにしていたっけ。

 私と理沙ちゃんは声に出して笑う。


「あたしもあおいと初めてお風呂に入るのが楽しみよ」

「私も2人と一緒のお風呂が楽しみだよ」

「ふふっ。そういえば、愛実の家のお風呂で3人一緒に入ったことってあったっけ?」

「どうだったかな……」


 理沙ちゃんと友達になってから4年以上。私の家で理沙ちゃんとお泊まりしたことは何度もある。もちろん、今回のように何人も友達と一緒に泊まったことも。ただ、そういったときも、理沙ちゃん含め誰か友達と2人で入っていた気がする。


「3人一緒は初めてかも。理沙ちゃんとは2人きりでしか入ったことないと思う」

「だよね。あたしもそう記憶してる。失礼になるかもしれないけど、あたしと2人だと普通に湯船に入れるけど、この3人で一緒に入っても大丈夫かしら?」


 理沙ちゃんは苦笑いをしながらそう問いかける。うちの湯船の広さのことを考えて、今まで3人一緒に入ったことはあったのかって訊いたんだ。


「私は失礼だと思わないよ。たぶん3人でも入れると思うよ。理沙ちゃんと2人で入ったときには余裕あったし。あおいちゃんとなら3人一緒でも湯船に入れると思う」

「そっか」

「まあ、お二人であれば、狭くても全然いいですけどね」


 あおいちゃんは明るい笑顔でそう言ってくれる。あおいちゃんはリョウ君にはもちろんのこと、友達の私や理沙ちゃんにも気軽にスキンシップしてくる。だから、湯船に入って体が触れたとしても気にならないのかもしれない。


「あたしも愛実とあおいとなら、よほどキツくなければ大丈夫よ」

「私もだよ。……2人も準備できたみたいだし、行こうか」


 あおいちゃんと理沙ちゃんと一緒に、1階にある洗面所へ行く。

 扉を閉め、鍵を施錠したことを確認して私達は服を脱ぎ始める。最近はお母さんと一緒にお風呂に入ることもあまりないから、誰かと一緒にこの場所で服を脱いでいると、友達がお泊まりしに来たんだなって実感する。

 先日の海水浴で、着替えるときにあおいちゃんと理沙ちゃんの裸は見ているけど、自然と2人の方に視線が向いちゃう。

 あおいちゃんは……全身が引き締まっていて、程良く筋肉がついているのが分かる。中学時代は3年間テニスをしていたし、高校に入ってからもファミレスの接客で立ち仕事をしているからかな。Dカップの胸は膨らみをしっかりと主張していて、くびれもはっきりとあって。ゴールデンウィークのお泊まりや海水浴でも思ったけど、美しい体だと思う。

 理沙ちゃんは……あおいちゃんほど筋肉はついていなさそうだけど、均整の取れた体つきだ。ただ、背があおいちゃんより高くて胸も大きいから、スタイルがとても良くて。マネージャーだけど、屋外で活動する陸上部の練習に参加しているからこのスタイルを維持できるのだと思う。


「こ、これがGカップですか。大きいですっ」

「凄いわよね。海水浴で水着に着替えたとき、愛実の胸が前より大きくなったと思ったけど、それは間違いじゃなかったのね」


 私があおいちゃんと理沙ちゃんの体を見ていたように、2人も私の体を見ているんだ。まあ、2人の場合は胸に集中しているけど。2人の顔に視線を向けると、2人は私の胸をじっと見つめていた。

 ちなみに、胸がGカップになって、栄治大学のオープンキャンパスの帰りにリョウ君に新しい下着を選んでもらったことは、数日ほど前に3人のグループトークで話している。だから、2人は私の胸を注目してしまうのだと思う。


「春休みのときはFカップと言っていましたが、そこから4ヶ月ほどでGカップになるなんて。愛実ちゃん凄いです」

「凄いわよね。あたしは高校生になってから胸のサイズがあまり変わらないし」

「私もです。愛実ちゃん羨ましいです。今より大きくなりたいので……」


 そう言い、あおいちゃんと理沙ちゃんは私の胸をじっと見続ける。

 2人に胸が凄いって言われたことで、ゴールデンウィークのお泊まりでのお風呂で、あおいちゃんに『乳神ちちしん』って言われたことを思い出した。大きくて柔らかくていい匂いのする胸だからと。呼ばないでほしいとお願いして、あおいちゃんがそれを守って一度も呼ばないでいてくれたから、今まで忘れていた。


「ありがとう。ただ、私は2人の胸が素敵だと思うよ」


 あおいちゃんも理沙ちゃんもなかなかの大きさだし、形が綺麗。だから、2人の胸に憧れる女の子は絶対にいると思う。

 私の言葉が嬉しかったのか、あおいちゃんも理沙ちゃんもニコッと笑った。


「ところで、愛実ちゃんが脱いだその緑色の下着が、涼我君に選んでもらったものですか?」

「うん、そうだよ」

「そうですか。落ち着いた雰囲気がありつつも爽やかで素敵ですね!」

「いいわね」

「ありがとう」


 今までにも友達に下着を褒めてもらったことはある。ただ、これはリョウ君に初めて選んでもらった下着だから凄く嬉しい。

 リョウ君に選んでもらった日から、私は新しく買った下着を付けることが多い。サイズを測った上で買ったものだからなのもあるけど、リョウ君が選んでくれたものでもあるから凄く付け心地が良くて。ちなみに、替えの下着もリョウ君に選んでもらったピンクの下着だ。


「私も新しい下着を買うときには涼我君に選んでもらいましょうかね」


 あおいちゃんは笑顔でそう言った。リョウ君ならあおいちゃんに似合いそうな下着を選びそうだなぁ。下着を買ったときには見せてもらおうかな。

 3人とも服や下着を全て脱ぎ終わったので、私達は浴室に入ることに。この3人で初めて入るお風呂の時間を楽しもう。あおいちゃんも理沙ちゃんも楽しんでくれると嬉しいな。

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