LIVING BY NECK HUNTING EXTREME REBERION Ⅴ【狂宴前夜】

SEN

LIVING BY NECK HUNTING EXTREME REBERION Ⅴ【狂宴前夜】

LIVING BY NECK HUNTING EXTREME REBERION Ⅴ【狂宴前夜】 

台本:SEN  声劇8人台本(男4・女4) 所要時間:60分




説明欄や詳細文などに『作品タイトル・台本URL・作者名』の明記をお願い致します。


※各作品の著作権は放棄しておりません。無断転載や自作発言等、著作権を侵害する行為はお止め下さい。もちろん無断での改編や再配布も禁止です。


※あくまで趣味の範囲での活動や放送、金銭の発生しないツイキャスなど、各種配信サイトでの使用は基本的に歓迎しますが、金銭が発生するものはNGです。


※ツイッターのDM等でお知らせ頂けますとツイキャスなら聴きに行ける可能性があるので、よかったら気軽にご連絡下さい!


※アドリブ等はストーリーを捻じ曲げない、雰囲気を壊さない程度であればOKです。






キャラクター紹介↓



ネイア(20歳・女)

ミアナの姉、冷静沈着で元暗殺者。ミアナと共にリヴィアを陥落させ最後にはミアナと一騎打ちを挑み敗れ死んだ、はずだが…


ヒナミ(32歳・女)

ミアナとヒナミを育てたシスター。元クルシアル【神雷】のヒナミ。ミアナと共に戦ったがキギアに敗れ死んだ、はずだが…


シマク(30歳・男)

リヴィア帝国王子。エフナ大陸を制圧するべく各国の王が集まるヘッドハンターズに奇襲をかけたがインサニティにより破られネイアにより殺された…はずだが


カイユ(39歳・男)

元テンペスト副隊長【大盾】のカイユ。旧友であるデスタの娘ミアナ、ネイアと共にリヴィア帝国制圧に挑みフラスを抑え込み相打ちに持ち込むも死亡した…はずだが


デスタ(40歳・男)

元テンペスト総大将【暴風】のデスタ。重い病に侵されているが為ヘッドハンターズにてシマク率いる重装特殊部隊に敗れ死亡した…はずだが


ヤヨウ(33歳・男)

リヴィア反乱軍ヴィアルのリーダー【紳死】のヤヨウの異名を持つ医師兼剣士。コヨウの兄。リヴィアでの姉妹戦争でネイアの配下となり最後はコヨウを殺したネイアを恨みキギアに殺された…はずだが


コヨウ(28歳・女)

人殺しに快楽を得た狂人。ミレクア王国を滅ぼした【踊る魔女】伝説の本人。ヘッドハンターズでインサニティの一員となり賞金で生計を立てて豪遊してきたが最後は己が欲望の為ネイアに挑み殺された…はずだが


アキミ(女・34歳)

タハバナ国代表戦士。元チームクルシアルのリーダー。国を愛し人を愛する誇り高き女性。常に人の前に立ちタハバナ国を導いている。戦い方は冷静沈着だが常に無駄がなくその剣先は最短を描き敵に届く。【氷花のアキミ】と各国から恐れられていたがラニアガスの種を手にし狂い戦闘狂と化し夫を殺害し国を滅ぼした。元に戻りネイアに殺された…はずだが




本編↓





カイユ

「何て言った…今何て…言ったんだネイア?今…なぁ…デスタ?聞いていたか?」


デスタ

「……生き、てる?…アネミナが?」


ネイア

「うん…わかるよ、感じるから」


ヤヨウ

「人の意志を感じ取れるとでもいうのですか?貴女は…実に馬鹿らしい」


ネイア

「うん、まぁ…母さんだからかな?」


ヒナミ

「アネミナさんが…お話には聞いていたけど」


デスタ

「あの時…死んだはずだ……あの時、俺は…救えなかったはずだ…」


カイユ

「……何年前だと思っている…ありえないんだネイア。お前はまだ1歳かそこらだったんだぞ?」


ネイア

「……信じれないよね。そりゃそうか……でも私にはわかるの、信じて」


デスタ

「……しかし、あり得ない話ではないかもしれんな」


カイユ

「デスタ………いいや…ありえないわよ。しっかり墓も立てた……墓の前で二人で誓ったわよね、デスタ」


デスタ

「あぁ、しっかり覚えている……だがこの状況だ、俺たちは死んだハズだろう?これはどう説明する?」


カイユ

「それは……それはそうだけど…」


◆SE歩いてくる


アキミ

「私から…説明しよう」


ヒナミ

「っ!!?姉さんっ!!!?」


コヨウ

「…(すぐそこに来るまで気づかなかった…こいつ…気配を消せるのか?)」


アキミ

「ヒナミ……久しぶり…だな…謝っても許してはくれないだろう…こんな姉」


ヒナミ

「……っく……ぅっ…うぅん…そんなことない…私も姉さんに謝りたかった……姉さんに何があったのか知らずに恨みだけでここまできたの…でも……違った!姉さんはあの種のせいで…ラニアガスの種のせいでああなってしまったって!!!」


アキミ

「知っていたのか?……本当にすまないヒナミ……伝えたかった…本当はずっと……だが私は…狂気に満ちてしまった……しかし…なぜ…わかったんだ?」


ヒナミ

「ネイアが…話してくれんだ……最後の瞬間を」


アキミ

「そぅだったのか……そぅか…そうだった…ネイアも、迷惑をかけたな…姉妹の喧嘩…いゃ…戦争に巻き込んでしまって」


ネイア

「いや…礼を言うのはこっちよキギア……あ、アキミさん?だっけ」


アキミ

「どちらでもいい、その名前も案外気に入っているんでな」


ヒナミ

「でもよかった…こうしてまた姉さんと会えた…でもどうして姉さんまで……どうやってここに?」


アキミ

「あぁ…私も君達と同じ境遇だったよ……元タハバナ国で目覚めたら何がなんだかわからなかった」


コヨウ

「あんたもかぃ?…ん?でもなんでここに来れたんだ?私の狂気に引かれまして?」


アキミ

「貴女が誰かは知らないが答えようか…魔女に会ったんだ私は」


シマク

「ちょっと待て。…魔女?古の魔女の事を言ってるのか?会えるわけないだろう?い・に・し・えって付いてるぐらい前の話だぞ?」


アキミ

「何だ?この男は…信じるか信じないかはどうでもいい。いずれ解る事だ…言われたことをそのまま伝える」


ヤヨウ

「その魔女とやらからご伝言を頂戴していると?それも面白そうですが…こっちの方が今はやはりっ!!」


◆SE剣交


ネイア

「っ!?」


ヤヨウ

「面白そうですねぇぇぇ!油断していましたね?その首貰いましたよ」


◆SE鎌振る


アキミ

「聞ぃけぇぇぇええ゛っ!!!!」


◆SE抜刀→振る→弾く


ヤヨウ

「ぐぁっ!!!?」


コヨウ

「お兄様っ!!!」


デスタ

「なんだっ…今の動きは」


カイユ

「一瞬で懐に入ったあとからの抜刀、そしてあの大きな鎌を一瞬で弾き飛ばしたわね」


ヤヨウ

「腕がっ…くそっ」


アキミ

「最後まで話を聞けぇっ!!クソ野郎ぉ!!!」


シマク

「豹変しやがった」


ヒナミ

「……姉さん」


アキミ

「武器が無ければ何もできまい!そこで黙って私の話すことをただ信じていろ!このゼロ点兄妹がぁっ!!」


ヤヨウ

「……チッ」


コヨウ

「おいおいおいやってくれるじゃないですの?!私のお兄様に怪我を負わすなんてあってはなりませんわ?」


アキミ

「お前も黙って聞けないようだなぁ…」


◆SE踏み込み→剣風→剣交


コヨウ

「なっ…」


ネイア

「あの間合いから一瞬で近づき剣を弾き飛ばした…凄い」


カイユ

「凄い剣技ね……一切無駄が無いわ」


デスタ

「これで聞かざるおえんな?コヨウ」


コヨウ

「くっ…くっそ腹が立つ」


◆SE納刀


アキミ

「ふぅ…ふぅ…ようやく聞く気になったか?時間が無いんだ…黙って聞け」


シマク

「俺たちがこうして生き返ったことにも意味があるんだろう?あ、魔女の話はお断りだぞ?うんざりするほどユクロに教えられたからな」


アキミ

「安心しろ、これから起ころうとする事を話す」


デスタ

「この状況に関係することなんだな?」


アキミ

「そうだ……単刀直入に言おう。外界から敵の大群が攻め入ってくる…その数5千万」


ヒナミ

「ごせっ…え?」


シマク

「はっ!馬鹿が!信じられるかそんな話!外界の外にそんな大敵が居るっていうのか!?どんな学者も揃って言う、外界に生物が住める環境は無いとな」


アキミ

「それはただの仮説にすぎない。誰か見たのか?聞いたのか?信じない者は結構だ。だが貴様達は選ばれた!!古の魔女はお前たちを選びこうして生き返らせたのだろう。戦うことをせぬものはそのままここで待ち、死ぬがいい」


シマク

「う…」


ヒナミ

「もしそうだとして…私達に何かできるの?圧倒的な数だよ?」


デスタ

「5千万ってぇと……どのぐらいだ?」


カイユ

「ルエホジアで私が見たリヴィア軍は8万…その何倍?…勝てるわけがないわ」


アキミ

「その圧倒的な数で攻め入ってくる輩ではないそうだ。策はある」


ヤヨウ

「5千万を圧倒できる力が貴女にあるとでも?」


アキミ

「ヤヨウ、貴様よりはあるつもりだが?」


ヤヨウ

「ククッ…面白いですねぇ」


アキミ

「敵は数で攻めてはこない。必ず少数精鋭で乗り込んでくるだろう」


シマク

「何故そんなことが解る?たとえそうだとしても根拠はあるのか?数で一気に攻め入られては太刀打ちできないぞ?」


アキミ

「ゲスな連中が考える事がわかるシマク王子なら理解してもらえると思ったのだが?」


シマク

「わからないね」


アキミ

「いいだろう、例えばだ?シマク王子は新大陸を見つけた…その新大陸の民は見るだけで自分たちより劣っており弱そうに見える…お前ならどうする?話合い和解するか?その力の差を見せつけ支配するか?」


シマク

「和解なんて悍ましい。結局は裏切られ寝首を掻かれるのがオチだ。俺なら力でねじ伏せるね」


アキミ

「だろう?圧倒的力で恐怖を与え支配下に置く。ましてや全大陸制覇を成し遂げたい奴らだ…必ず力で来る。そこを撃つ」


シマク

「外界の連中といったな……何百、いや……何千年とこの世界との交信は一切無い。どのような進化を遂げているかわからない。この世界がそうであるようにな……だが」


デスタ

「それは向こうも同じ、だな?」


アキミ

「そうだ。こちらの進化を向こうは知らない……お前実は賢いな?何者だ?」


シマク

「ふんっ、ただ外界に興味がある王子様だよ」


カイユ

「そこをぶったたくってわけねぃ?」


コヨウ

「何なに…ちょっと面白そうじゃないの?」


アキミ

「そこでだ…少しでも強くなってもらわないと困るんだ貴様達には。向こうの連中よりは少しはましだろうがな」


ネイア

「向こうの連中って?ミアナ達のこと?」


アキミ

「あぁ、あとはリヴィアの連中だな」


シマク

「うちのは精鋭揃いだ、問題ない」


アキミ

「個々が強くては勝てないよ、しっかりとした連携が必要だ」


カイユ

「ねぇあんた」


アキミ

「何?」


カイユ

「魔女と話したと言っていたわね」


アキミ

「えぇ、私を王にしたかったと言われたが断ったよ」


カイユ

「その魔女はどこに行ったの?」


ヒナミ

「それもそうね…わざわざ姉さんに伝えずとも直接ここに来たらいいのに」


アキミ

「時間が無い、そう言っていたわ。信じる信じないを私が問答している間に消えたわ」


ヤヨウ

「なるほど…今の私達と同じ立場か」


コヨウ

「普通は信じれないわ?そんなお話」


デスタ

「連携が必要といったな?……え、と」


アキミ

「アキミよ…キギア、でもいいわ」


カイユ

「思い出したわ……貴女、ヘッドハンターズで連覇したクルシアルの一人よね?シスターも一員だったってことかしら?」


ヒナミ

「隠していたわけじゃないの…ごめんなさい」


デスタ

「謝る必要などない、俺たちも似たようなものだ」


アキミ

「時間が無い…あなた達が協力してくれない事にはこの戦争、勝てない」


ヒナミ

「私は戦う、この世界を護りたい。あと…姉さんと戦えるなら私は……負けない」


アキミ

「ありがとう、ヒナミ……お前は?王よ」


シマク

「俺に剣の腕は無いぞ?俺は部下を使ってリヴィアを大きくした…父上が病に倒れてからというもの……やりたくもない軍議や会議、俺にはそんなもの必要なかった」


アキミ

「ほぅ?何故必要なかったんだ?」


シマク

「俺は頭がキレるからだ。それであの大陸を制圧した、今度はエフナ大陸をと思ったのだがこのザマだ……だがこんなチャンスが巡ってきたというわけだ」


アキミ

「ますます気に入ったよ、愚者の王よ」


シマク

「何とでも呼ぶがいいさ……勝てば外界も俺のものになるというならやってやる。俺はお前も、こいつらをも使って外界との戦争、勝ってやる」


アキミ

「わかった…お前が指揮を取れ。勝てればお前のものだよ、エフナ大陸も外界もな。…その頭脳、借りる」


シマク

「約束だぞ、俺は世界を統べる」


アキミ

「良い返事だ。……んで?あんたらは?紳死ヤヨウ」


ヤヨウ

「私はコヨウが参加すると言うならどちらでも?…しかしその呼び名……なんとかならないものですかねぇ」


コヨウ

「やるに決まっていますわ?……踊る魔女は戦いに飢えていましてよ?」


アキミ

「踊る魔女…だと?あのミレクア国を一夜にして滅ぼしたという」


コヨウ

「そんなこともありましたわね~…古い話ですわ?」


アキミ

「その狂気も力になる、ありがたい」


ヤヨウ

「一つ条件があります」


アキミ

「なんだ?」


ヤヨウ

「……その外界を追っ払ったら──」


コヨウ

「あなた達も殺しますわよ?」


ヤヨウ

「よろしいですか?やはりやられっぱなしは──」


コヨウ

「嫌ですものねぇ?お兄様」


ヤヨウ

「勿論だとも、さすが私の妹だ…狂っている」


アキミ

「フフッ…狂人共め……いいだろう?受けて立つ……あとはお前たち、一応聞いておく……参加してくれるな?」


デスタ

「無論だ、この世界を護れるというのだからな」


カイユ

「えぇ、これ以上ない喜びだわん?世界の為に戦うというのだから」


ネイア

「二人が戦うのならもちろん、ミアナもそうすると思うし…この世界を侵略させたくない…狼はナワバリを護るものよ」


アキミ

「さすがだわ…テンペストに……銀狼まで居るとなると心強いわね」


ネイア

「よく知っているわね?私の異名…表では知られていないはずだけど?」


ヒナミ

「表では、ね」


アキミ

「あの大会も表では正式な試合だったけど裏では酷かったのよ…暗殺や騙し討ちが毎日だった。嫌でも詳しくなったわ」


ネイア

「なるほどね…ま、嫌いじゃなかった。銀狼のネイアという呼び名は」


アキミ

「あぁ、お前たちテンペストは私達がいなくなってからだったな?二人っきりのチームは聞いたことがなかった…暴風のデスタ、大盾のカイユ…全く驚いたよ」


カイユ

「でしょ?ベヒンモスも殴り倒したんだからねん?もんの凄く強いのよ?」


デスタ

「あの頃は無茶をしたな…しかし病が治った今、まだまだいけるな」


アキミ

「頼もしいよ」



●間3拍



ネイア

「大丈夫か?シマク王子」


シマク

「何がだ」


ネイア

「氷花のアキミ、神雷のヒナミ、踊る魔女コヨウ…そしてその兄、紳死ヤヨウ。テンペストの暴風のデスタ、大盾のカイユ…そして私、銀狼のネイア…扱えるのか?お前に」


シマク

「愚問だな。七騎士団も狂人揃いだ、慣れている」


ネイア

「頼もしいな」



●間3拍



アキミ

「全員参加してくれるようで良かったよ」


シマク

「どこで迎え撃つ?場所も重要になってくるんだが」


アキミ

「敵は大艦隊を率いてくる、ここより北の地に砦があるのは知っているか?」


デスタ

「ファヅィア砦か?この大陸の最北端になる所だな」


アキミ

「おそらくそこがいいだろう…魔女いわく、この世界は南西に位置するらしいからな」


カイユ

「なるほど?攻め入るなら北からだということなのね」


シマク

「おい、一ついいか?」


アキミ

「何だ?」


シマク

「そろそろ前髪が限界だ、この縄を切ってくれ」


アキミ

「あ?」


カイユ

「はいはい」


◆SEナイフでロープを切る


シマク

「ってて…きつく縛りおって……ハッ!?よしっ前髪ッ!……こうっ…こうか?…よし」


アキミ

「前髪が限界…というのは何だ?」


デスタ

「病気なんだほおっておいてやってくれ」


アキミ

「あ、あぁ…よし、この街で準備して北のファヅィア砦を目指す。開戦は明日の夜明けだ。まぁ半日で着くだろう」


ヤヨウ

「では街の北門で落ち合うことにしましょう?皆それぞれ色々と準備がありますでしょうし…」


コヨウ

「……えぇえぇ!そうですわねぇ!すませることもすませないといけませんものね!大事ですわぁ…溜まっているものも色々あるでしょうしぃぃ…」


ネイア

「変な事しないわよねぇ?」


コヨウ

「は?ナにを勘違いしておりますの?」


ネイア

「あんたの事だ、良からぬことを考えているんじゃないかと思ってね」


コヨウ

「……相変わらず、腹が立つ雌餓鬼だこと」


アキミ

「街の者はいないから安心しろネイア、魔女いわく明日の昼までは他の人間は消しているらしい」


ネイア

「ですってよ?」


コヨウ

「なっ!?……チッ………クソ雌餓鬼が!!さっさと準備してこい!!!」


ネイア

「はいはい」



デスタ

「準備といってもどうしたものか…剣や鎧の手入れか?」


カイユ

「そうね…まぁ開戦は明日の夜明けらしいから向こうに着いたらゆっくりできるわね」


デスタ

「あぁ」


アキミ

「…」



ヒナミ

「私も剣の手入れだけはしておくかな…あとは──」


アキミ

「暗器…か?」


ヒナミ

「姉さん…知っていたの?」


アキミ

「服のいたるところに武器を仕込むのは暗殺者特有…ヒラヒラした服はそれを隠す為だろう?見ればわかる……まさか、お前が裏の仕事をしてるとはな」


ヒナミ

「とある人の後を継いだだけなんだけどね…あの子達も護らなきゃならなかったし」


アキミ

「お前が育てたのか?ネイアとミアナは」


ヒナミ

「うん…剣の扱いも私が教えた。私流よ?」


アキミ

「フフフッ、強いわけだ」


ヒナミ

「でしょ?」


アキミ

「なぁ……ヒナミ…………本当に私を許してくれるか?」


ヒナミ

「…」


アキミ

「私はとんでもない事をしてしまった…ジキアを殺し、タハバナを滅ぼした…その後も国を3つ相手にし壊滅させた……何人殺したかわからない。私は必ず地獄に行くだろう」


ヒナミ

「ラニアガスの種のせいだよ…それ以外ない」


アキミ

「あの種はな……魔女から貰ったんだ」


ヒナミ

「え?」


アキミ

「…後になってわかった…今から起こる戦いの為に作られた魔女の最後の秘策だったのかもしれない」


ヒナミ

「だからって!……姉さんの一生を壊していいとは思わないわ」


アキミ

「そうだ…だがいずれ外界は攻めてくる……その時私達人間は勝てないだろう…魔女の力無しでは」


ヒナミ

「でも…もぅ種の力は無いんでしょ?……あの時の姉さんじゃないもの」


アキミ

「……まだ、あるんだ…力は」


ヒナミ

「っ!?」


アキミ

「ただ怖くて出していない…私の心の奥底にあいつは居る……もし呼び出してしまうと手をつけれなくなりそうなんだ」


ヒナミ

「キギア…あの力は危険すぎる」


アキミ

「私一人で勝てるのならと、魔女は思っていたのだろうな…ただあの種は正気を保てない……狂気化、とでも言おうか……もし敵が強大で凄まじい力なら、使う」


ヒナミ

「だめ…もぅ見たくない!あんな…姉さん」


アキミ

「…あぁ……私も嫌だよ…ヒナミ」


ヒナミ

「私も頑張るから…姉さんは姉さんのままでいて」


アキミ

「……あぁ」



デスタ

「しかし…またお前とこうして戦える時が来るとはな」


カイユ

「ほんとね、まさか地獄でまでデスタちゃんと戦う事になるとはねぇ?腐れ縁かしらね」


デスタ

「だな」


カイユ

「…シスターにも怒られたけど…大切にしないとね、ネイアとミアナ」


デスタ

「あぁ…それと……アネミナもだな」


カイユ

「デスタ……まぁ、こんな事が起きてるんだから?もしかしたらってこともあるかもね?」


デスタ

「カイユ……あぁ…そうだと嬉しいんだがな」


カイユ

「まぁ何にせよ、この戦いに勝たないとね?みせてやりましょ?最強最悪の大暴風雨を」


デスタ

「フフッ……だな」



●間3拍



シマクN

俺たちは北を目指し出発した、各々再び会えた事に喜び語らいながら楽しそうに…


何か勘違いしているんじゃないか?コイツら…俺には解る。これから起きることは地獄なんだと


ヘッドハンターズの闘技場からはそう遠く無かったのが幸いし半日もしないうちに最北端ファヅィア砦に着いた。


元々ここはリヴィア大陸とエフナ大陸を結ぶ船着場があり物資を船で運搬、輸入する為に使われている所だが、そんなのは表立っての話。リヴィア側がエフナ大陸に攻め入る為に作った侵略拠点だと言いきれる。砦もそのように出来ている。


何せ…俺が作らせたんだからな



●間3拍


ヤヨウ

「やっと着きましたね」


コヨウ

「で?いつ来んの?その、なんだっけ?外から来るやつ」


アキミ

「奴らはあのサンディオムが動く頃来るはずだ。外界への結界が無くなるらしい…まぁ実際なら半日はあるだろう」


デスタ

「それまでは英気を養って戦いに備えれるな」


カイユ

「んね!しっかり食べて戦いに備えないと!色々持ってきたわよ♡」


アキミ

「…」


ネイア

「結構な早さでここまで来たものね」


ヒナミ

「まさか馬も消えてるとはね…皆歩くの早いんだもの」


ネイア

「シスター、体力落ちてきてる?」


ヒナミ

「う……最近鍛錬怠っていたからかしら」


ネイア

「フフッ」


シマク

「全く緊張感が足りん連中ばっかりだな···お前たち!きん───」


アキミ

「緊張感が足りんな!」


シマク

「ちょ·····お、おぅ」


ヒナミ

「どうしたの姉さん」


アキミ

「まるでピクニックだな、こんな事では死滅する」


ネイア

「死滅って···」


アキミ

「全滅よ」


デスタ

「これだけの強者が集まっているんだ、何とかなるんじゃないか?」


アキミ

「甘すぎる」


カイユ

「私たちを見くびらないでよ?つっよいのよ?」


アキミ

「じゃぁ今試すぞ、サンディオムが動くその時まで」


◆SE抜刀


ヒナミ

「姉さん!?何を!?」


ネイア

「へぇ?」


シマク

「なるほど、休んでいる暇なぞ無いという事だな。半日でウォームアップし最高の状態で戦えるように仕上げる···だろう?」


アキミ

「あぁ·····その必要は無いと思っていたのだがな、気が変わった」


◆SE構える


アキミ

「かかって来い、お前達からだ、デスタ・カイユ・ネイア。開幕までに全員仕上げてやる」


デスタ

「·····本気か?本気でやってもいいのか?」


カイユ

「···怪我じゃすまないわよ?」


ネイア

「戦う前に死んでもいいの?」


アキミ

「私を舐めない方がいい。そうだ良い機会だ、ここで決めようじゃないか···クルシアルとテンペスト、インサニティの頂上決戦を」


デスタ

「面白い、後悔するなよ?」


◆SE大剣抜刀


カイユ

「早速私から1枚脱がすのん?せっかちさんなんだから♡··········ぶん殴っていいんだな?」


◆SE拳鳴らす


ネイア

「今の私は強いわよ?狼さん?」


◆SE抜刀


アキミ

「あぁ?クソ共が、やってみろよ!」


デスタ

「手加減できんぞ?」


アキミ

「手加減なんかしてみろ?殺すぞ」


カイユ

「できねえって言ってんだよ、死ぬぞ?」


アキミ

「私は手加減してあげるよ?殺してしまっては元も子もないからねえ?」


ネイア

「良い度胸だこと、殺されるのにねぇ…」


ヒナミ

「ちょっと姉さんも!皆落ち着いて!?」


アキミ(耳元で)

「ヒナミも、後でな?」


ヒナミ

「え」


デスタ・ネイア

「ぉぉぉぉぉおおおおおお゛!!!!」


◆剣を構え走り出す


アキミ

「離れていろヒナミ」


◆SE剣交


カイユ

「ぉぉぉぉおおおおお゛!!!!」


アキミ

「いいねぇ、いいよぉ?」



●シマクのセリフが終わるまで4人戦い続ける



シマクN

この女·····かなりの手練だ···それに冷静。クルシアルと言っていたな···元タハバナ国代表チームの1人か。だがしかし、どこにこんな自信と強さがあるんだ?余程の剣豪か···あるいは


デスタ

「くっ…はぁっはぁっ」


カイユ

「はぁ、はぁ」


ネイア

「くっ!」

アキミ

「どうした?三人共ぉ…肩で息しちゃって……そんなものか?おい。もっと楽しませろ」


ヒナミ

「姉さん!ダメよあの力は!!」


アキミ

「あ?うるさい」


ヒナミ

「っ!!?」


シマク

「あの力?……こいつもしや種を…」


コヨウ

「ちょっとちょっとぉ…楽しそうにじゃれ合うじゃないのぉぉ!?私も混ぜてよぉぉ!!デスタやカイユよりよっぽど面白いわ…あんた」


◆SE抜刀


ヤヨウ

「コヨウ、二人ずつと言っていたではありませんか。ここはしっかりマナーを守って殺すべきですよ?」


アキミ

「いいよ?かかってきな?更に二人追加、五対一で遊んでやる…それぐらいしないと向こう側の連中には勝てないからなぁ?」


コヨウ

「だぁぁぁぁってーーーーー!?お兄様ぁぁ!!」


ヤヨウ

「やれやれ……お許しが出たとならばいいのでしょうねぇ、私達も参加しましょう?コヨウ」


◆SE大鎌振る


コヨウ

「やぁぁぁぁったぁぁぁぁぁ゛!!!」


ヤヨウ

「はぁぁぁぁぁっ!!」



●間3拍



シマク

「お前は?参加しないのか?俺はもちろんしないぞ?俺は奴らの動きを見させてもらう。どのような動きをするのか頭に入れておく」


ヒナミ

「私は…しないわ…でも姉さんが止められなくなったら…私」


シマク

「ラニアガスの種」


ヒナミ

「っ!?」


シマク

「その反応は図星か……あの女、食ってやがるな?しかし順応しているように見える…あの種は強大な力を手に入れる変わりに狂人となるはずだ」


ヒナミ

「わからない…けど順応して抑え込んでいたわ……あの力を使われるくらいなら私が」


シマク

「抑え込んでいるよ、あの女」


ヒナミ

「え?」


シマク

「やつの剣に殺気が無い、プロだろ?見てわからないのか?さっきから剣を去なしているだけだ」


ヒナミ

「……本当だ……じゃぁ姉さんは…」


シマク

「純粋に全員を最高の状態で戦えるように仕上げる…それがアイツの狙いだ。攻撃はしているが全て寸止めをしている…眼を慣れさせ反応速度を高める。本当にやつは半日で全員を仕上げようとしているんだ。まさに戦いの鬼…いや、氷のような花か」


ヒナミ

「姉さん…よし…私も行く」


シマク

「おいおいやめておけ?アイツはともかく他のやつらは本気だぞ?巻き込まれでもしたら──」


ヒナミ

「その時はその時……私も負けない、神雷の名は伊達じゃないの」


◆SE電気が走る→抜刀


シマク

「ほぅ?これまた…特殊な力を持っているな……覚えておくよ」


ヒナミ

「じゃぁ…いってくるわ、本番の為にしっかり見ていてね?」


シマク

「任せろ、俺様を誰だと思っている…リヴィア王国王子であり──」


ヒナミ

「うぉぉぉぉぉおおおおっ!!!!」


シマク

「……言わせろよ」



●間5拍



シマクN

それから6人は半日、休む間もなく剣をぶつけ合った。俺はひと時も眼を逸らさず全員の動きを見ていた…こいつら戦闘センスの怪物だ……こいつらなら負けない。絶対に勝てる……見れば見る程自身が溢れてくる。


まるで祭りで踊っている民を見ている気分だった。祭りの前の前夜祭…そんないいものではないか。これから起ころうとしていることは狂った祭り。狂宴だった。



●間5拍



◆SE剣が落ちる

(アキミ・シマク以外・大きく息切れ倒れこむ)


アキミ

「全員よく頑張ったな」


カイユ

「マジで…はぁっはぁっ…こいつ……んはぁっ…一発もあたんないじゃない!」


デスタ

「ぜぇ…ぜぇ…化け物め」


コヨウ

「あー……やってられませんわー…これでは勝てませんわね」


ヤヨウ

「即席の連携ですら看破されるとは……」


ネイア

「さすが…というところかしら……」


アキミ

「もうじきサンディオムが動きだす、それまで休んでおけ」


シマク(拍手)

「お疲れさま~いっやー良いものが見れたよ……荒技だがこれが一番だろうな」


アキミ

「貴様には見破られていたようだな、喰えん男だ」


シマク

「ははん!この俺様を誰だと思っている~あのリヴィア王国の──」


アキミ

「っ!?サンディオムが揺らいだ…来るぞ」


シマク

「貴様ら姉妹は言わせねぇなぁ」


◆SE不気味→風が吹く


ヒナミ

「空の色が青くなってきた…それに風も」


シマク

「おぉ…私の前髪もなびいているぞ」


アキミ

「少し早いが魔女が力を使いきったのだろう……備えろ来るぞ」


デスタ

「あぁ」


カイユ

「いつでも」


ネイア

「準備はできている」


◆SE雷雲→突風


コヨウ

「見て、外界との雲の壁が解けてく」


ヤヨウ

「ついに外界との壁が無くなる日が来たのですね」


シマク

「大艦隊で来るんだったな…見えるか?」


デスタ

「何も見えんな…見えるか?カイユ」


カイユ

「いや…何も……もう完全に壁は無いのに来ないじゃないか」


アキミ

「………落ち着いて聞いてくれ…私達はもぅ…後ろを取られている」


全員

「なっ!!!???」



◆SE斬撃



シマク

「がぁぁっ!!!???」


アキミ

「くっそぉぉぉぉぉぉぉおおおおおお゛!!!!!」


ヒナミ

「姉さん!!!!!!だめぇぇぇぇっ!!!!!」






続く






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

LIVING BY NECK HUNTING EXTREME REBERION Ⅴ【狂宴前夜】 SEN @sensensenkou

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る