ここ、異世界?

江戸三郎

第0話 変わらない町

 変わらない町、変わらない景色。

 この町は自分が生まれたときから何も変わらない。自分が大人になるにつれてこの景色に対する感じ方は変わったが、本質的には何も変わらない。


「すいませーん!ボールとってください!」


 目を向けるとサッカーをしていたであろう中学生たちと、こちらに転がってくるサッカーボールが視界に入った。


「はい、どうぞ」


 人好きのする笑顔を心がけて、ボールを返す。元気にお礼を言う中学生をあとにして家の方向へ歩き始めた。あのような光景は、自分が生まれたときからずっと変わらない。この町は土地が多いため空き地でスポーツをやる子どもたちは多く、みんな明るいうちから遊び、暗くなると家路につく。

 そう、何も変わらない。何も変わっちゃいない。


 そのようなことを考えていたためか、無意識のうちに刺激を求めていたからなのかはわからない。気が付くと、自分は寄り道をしていた。


 そこは自分が小さいときに探検ごっこをしに来たことのある、もう手入れもされていないような古びた神社だった。老朽化によりいたるところがひび割れており、苔が生えどこか不安をあおるようなその佇まいに妙な懐かしさを覚え、しばらく見入っていた。




 ふと、自分の視界がぼやけているのに気が付いた。

 違和感を感じ、目を強く瞑ってみる。まだぼやけている。


 なんだ?そう思うと同時に、

 頭痛が襲ってきた。


 急な激痛のせいで体がふらつく。


 そして、平衡感覚がおかしくなる。その場に立っていられなくなった。

 


 これはまずい。

 直感的にそう悟って鳥居の外に出ようとしたが、体が言うことを聞かず、徐々に意識が遠のいていった。












 目を覚ますとそこには知らない景色が広がっていた。

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