右腕が…疼く!をやりたい男の話
百合之花
第1話
異世界転生。
そんな言葉を知っているか?
私はそれを知っている。
というか現在進行形で味わっていた。
「父よ、私は魔法が使いたい」
「だめ」
「なぜ?」
「息子よ。魔法とは魔に堕落した者が嘯いた手品のようなものだ。そんなものを子に教える親がいるものかよ」
「嘘を吐かないで欲しい。では父の手から出ているその火はなんなのか?」
日本で普通の社会人をしていた私はいつの間にやらポックリ死んでおり、いつの間にか意識を無くし、いつの間にか意識が復活したら異世界…というべきか、異星、異宇宙ともいうべきか、良く分からん世界ないしは星に生を受けていた。
でもってなぜ、私が今いる場所が地球じゃないと言えるかと言えば火種も無く、暖炉に火をつけた父の手元にあった。
しゅぼっと音を発しながら、ゆらめく炎は確かに父の手から出ている。
燃える物がないはずの父の手から。
「これは…手品だよ」
「魔法じゃないか!!」
「違うよ!魔法と手品は似て非なるものだよ!」
「今さっき父が言った言葉を思い出せ!魔に堕落した者が扱う手品が魔法なのだろう!?
すなわち魔法イコール手品なら、もはや父は魔に堕落した男…略してマダオだろう!」
「だからこれは魔法っじゃなくて…手品でも無くて…えーっと…」
「父よ、なぜ適当なことを言ってはぐらかすのだ?なぜ私に魔法を教えてくれないのだ?見よ!もしかしたら私にも使えるのではと期待と興奮で輝き満ち溢れる瞳を!」
「…それはね?エコ。君がまだ…4歳児だからに決まってるだろ!!」
おっと。
私の自己紹介がまだだったな。
私の名はエコ。
ここ、エイプリール国立孤児院にて四歳児の孤児をやっている。
わたち、よんちゃい。ちちがわりのいんちょうにまほうをおちえてもらうのよ!
そして、ゆくゆくは地球では諦めていた夢を叶えるのだ。
そう。
俺の右腕が…疼く!をやりたいという夢を!
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