第14話 スーパー臭いフェチ

 


 まさか、柴咲さんが共感覚の持ち主だったとは、流石に想定していなかった。

 臭いフェチだとは思っていたが、それどころではない。

 これはもう、究極の臭いフェチ。スーパー臭いフェチとでも言うべきか……


 まあ、流石にこれは口に出さないでおこう。

 臭いフェチと言われただけで過剰に反応されるのだから、スーパー臭いフェチなんて言ったら何をされるかわからない。



「しかしそうか、共感覚とは羨ましいな」


「羨ましい、ですか?」


「ああ、ラノベのキャラクターみたいでカッコイイじゃないか」



 心の底からそう思う。

 白鳥さんの忍者設定といい、柴咲さんの共感覚といい、どれも厨二病の俺としては羨む対象だ。

 俺ももっと特別な家系だったり、才能が欲しかった。



「カッコイイ……、そんなこと、初めて言われました」


「そうなのか?」


「はい。大体みんな気味悪がりますよ」


「……何故だ?」



 本気でわからなかったので確認したところ、どうやら子どもの頃に色々と嫌な思いをしたらしい。

 能力の性質から考えて、隠し事の類には強そうだから、その手のトラブルが多かったのだろう。



「一番のきっかけは、父の浮気を見抜いちゃったことですね。それで家族関係が悪くなって、私は気持ち悪いって……」


「なるほど。ありがちなパターンだ」


「っ!? ありがっちって、そんなワケ……」


「いや、すまない。アニメやラノベではポピュラーという意味でだ」



 心を覗けたり、真実を見抜ける系統の能力者にありがちなエピソードである。

 そのことがきっかけで人間を嫌いになったり、自分の能力を嫌うという話はアニメや漫画、ラノベなどで沢山見てきた。

 まさか、実際にそんな過去を持つ人間がいるとは思わなかったが。



「人類を憎んだりしていないか?」


「していませんよ! なんでそうなるんですか!?」


「いや、定番だからな。しかし、そうか。そんな過去を持ちながら、こんなに真っすぐ育つとは素晴らしいな」


「……別に、そんなに真っすぐは育ってませんよ。でも、私がグレたりしなかったのは多分、空手のお陰ですね」



 成程。武道とは精神を鍛えるという意味でも効果的と聞くからな。



「そのお陰でこうして柴咲さんと出会えたのだとしたら、空手には感謝しなくてはいけないな」


「っ! そ、そういう言い方は、勘違いされますよ」


「勘違いもなにも、これは俺の本音だ」


「~~~~~~~~~っ」



 低身長能力持ち空手少女(成人しているが)とか色々盛り過ぎな設定。

 凄くイイと思います。

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