死にたがりで救済を求める者
栄養剤りぽべたん
一度僕は死ぬ。
「よし、死ぬか!」
そう言って、自分の体を傷つけるのも怖くて、買ってきた大量の薬。
ネットにてODに詳しい掲示板で調べた結果、混ぜるなキケンな種類の薬を大量購入し、それが今、目の前にドンブリ一杯になる程の量がある。
「…こんな大量の錠剤飲むの初めてだし、本当に入るのかこれ…?」
しばらく丼一杯にある、私を飲んでーと自己主張してくる薬を見て、覚悟完了!と腹をくくり、経口補水液と共にその全てを飲み干す。
「…速効性はないらしいんだよなぁ…思えばあの時から狂っていったなぁ。」
どうして死にたくなったか、いざ実行に移そうと思ったか。
とある事情で高校も中退。それが大きな要因でもある。そこから中退ながらも拾ってくれた居酒屋で数年働き、『正社員にならないか?』と社長に言われるがまま正社員になる。
-部長と社長との板挟みになるとも知らずに。-
まぁよくある話だ。僕は今までの延長線でただフロアを管理すればいいと思っていたら、『正社員になったってことだしもっとコキ使ってやろう』と今まで包丁など握ったことないにも関わらず、厨房の方にも回される。
ドンドン忙しくなっていくが、当時いた彼女の応援のおかげでなんとか頑張ってくいつくことができた。
…高校時代に起きたとある事情が、フラッシュバックするまでは。
随分長い思考の海から意識をサルベージし、携帯電話が目に入る。
「…最後くらい連絡取っとくか。」
彼女には ごめんね の一言。友達にはありがとう。とポチポチと送っていく。
色んな人と連絡先交換してたから、めんどくさいなぁと思いながらもポチポチとありがとう。という文章を作るのをやめずにどんどん送信。
気付いたら、指が震えている。二の腕から手首までの感覚が一切ない。
「ああ…効き始めたらこうなるんだっけ?」
連絡帳の中には、こんなやついたっけ?な人もたくさん居たが気にせずポチポチと震える指で誤字を何度も修正しながら送る。
感覚がない部分が広がってきた。腕のみならず脚、ついには先程まで綺麗に文字を打ってくれていた指先。
まだ元気な腹が『おい!これやべーもんだから吐け!吐いて外に出してええええ』と訴えかけてきているが
-吐いたら致死量じゃなくなるかもしれないだろ?-
と僕は一蹴。うるさい胃や、感覚がなくなってきた喉は吐かせろ吐かせろとうるさい。嘔吐感は物凄いが、僕は覚悟完了しているのだ。
もう無事なのはなんでこんなに血管が貼り巡っているんだろうと思う体だけ。
頭にも混ぜたら危険な状態の薬は回っている。
「最後くらい好きな曲聞くかー」
音楽を聴く環境にこだわりはない。カナルイヤホンで音量をほぼMAXにして曲だけに集中。
体が動く感覚はあるが、触れたり傷つけたりしても一切感覚はない。
嘔吐感も治まって。脳もボーっとしている。聴いてるはずの音楽も支離滅裂なダストコアにしか聞こえない。
あぁ…死ぬ理由がもっと欲しかった…誰かのためになるような
-意識が混濁し、闇が降りてくる。-
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ね、あの子。見込みあると思わない?…フフ、そうでしょう。
なら、この子の現実を基準としたパラレルワールドに・・・ね?
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