第22話 暗黒軍と戦う仲間達の集結!

 「それでも私にしか出来ない事を最後までやるしかない!大切な家族、仲間達を守る為!」

「強く生きる事によって強い人になり、優しく生きる事によって優しい人になる。愛するものを守るために人は強くなれるし、真に強いものは愛する者を守りぬく勇気を持つ!」

 (「 強くなくては生きてはいけない、優しくなければ生きる資格がない。」レイモンド=チャンドラー )と言う言葉を残し、シルフは向かって行った。

ミミックライで空間に溶け込み状況を確認していた。

「スピノデビルを操る事の出来るのはジールだけだ!だから奴を叩くしか方法はない!表に誘き出すか、ビラン機体に乗り込むかどちらかしか無い!それには時間もない!」

何かを感じた時、ビランマザーシップゲルマが動き出した。

 その大きな船体が富士山頂と七色に輝くマユの間に入り込みマユとビラン小型機体を包み込む様にバリアーを造って行った。

瞬時にシルフもその中に侵入した。

「バイラの奴!上手い事考えやがった。これならアイツも動くしかない!先ずはバリアーを破壊する為にあの青いデカイ奴が出てくる筈だ!」

「それは私たちに任せて下さい!」とテレパシーメッセージが届いて来た。 「チラキ司令官なのか?」

「ハイ!少し遅くなりました。友の傷を治す為、深海に潜っていました。」

「何処から来たんだ!」

「あなた達を追って海の中を!友と駿河湾からここへ!」

「友?」

「今着いたところでバイラ隊長から作戦実行のメッセージが来て!だからシルフ!あなたはジールを倒しに向かって下さい!」

「大丈夫ですか?」

「私にはとても強い友が一緒ですから!」「友?・・・分かった!」

シルフはミミックライで姿を隠しビラン機体に近付いて行った。

その頃、ビランマザーシップゲルマ表面森林部に煙の様な物が一瞬で広がり、その中から2mを超える筋肉質の青い皮膚をした眼光が険しい異星人がそこに現れた。

やはりウルク将軍がそこにいた。

「バイラ!お前まで余計な事をしやがって!出て来い!何処にいる!こんな機体など直ぐに破壊出来る!」

「流石!大破壊司令将軍ですね!」

「その声はチラキだな!お前までこの星側に加勢すると言うのか?」

「そう言う事になります。何故、貴方が直接この場所まで来る事態となったのでしょうか?もしかすると本体指揮官カイザー様も反乱軍を集結してジール皇帝に旗を翻したとの噂は事実だった様ですね!だからこの星を自らの手で奪いに来た訳ですか?相当焦ってらっしゃる様ですね!」

「何を言うか!反逆者が何をしようが潰すまでだ!お前も同罪だ!」

「そうですか!」と言うとゆっくりと森の中から姿を現し、ウルクの前に立ちはだかった。

ウルクは手の平をチラキに向けて開き、その形のまま見えない力により両腕と体を掴まれた状態となり、指2本をチラキに向けた瞬間赤い光線が発射された。

避け切れず、万事休すと思った瞬間、チラキの姿が消えた。

森がざわめき立ち小鳥達が逃げる様に羽ばたいた!何事が起こったかとウルクが上を見上げると七色に輝く球体と重なり、眩しくて目を伏せる中を上空からファイヤードラゴン!ビックワンが垂直落下して来た。

その背にはチラキがいた!

「それで隠れているつもりですか!バタフライシルフ!貴様もそろそろ眠って貰う時が来た!」とジールからテレパシーメッセージがあった。

「ここでは私が地球の人々の代表だ!もう終わりにしてくれ!貴方の星も狂い暴れ出したスピノデビルによる破壊を食い止める事が出来ずに壊滅したという言い伝えが古くから残っている!と聞いている。そんな事をしてもビラン星はその後どうなりました?」

「うるさい!今度は上手く行く筈だ!あの時は私もまだ若く、スピノデビルを研究する科学者の見解だけを信じて任せた為に失敗した。あれから数千年、我らビランの科学力は進歩してアイツを正しく操れれる技術と自然環境再興する研究から幾つもの成果を上げて来た。だからもう邪魔するな!」

「貴方は再び同じ過ちを犯す事になります。だからこの計画を実行させる訳にはいかないんだ!」

「残念ながら将軍ウルクがゲルマのバリアーを破壊したら、その時スピノデビルをあのマユから放つ!それで終わりだ!」

 落下スピードを上げてその勢いのまま火炎噴射砲がウルクに向かい放たれた。

ギリギリでバリアーブロックをしたが火炎はそのバリアー部分を超える周りからウルクの身体に熱傷を与え吹き飛ばした。

後方に倒れ込んだが、膝を突いて立ち上がり「チラキ!私を本気にさせてしまいましたね!その火の鳥と一緒に串刺しにしてやるからな!」と言うと立ち上がり、腕を真上に伸ばし「ビースト!」と叫ぶとブルーの身体は紫色に変化し筋肉が更に盛り上がり、3mを超える巨大な身体となっていた。

ビックワンは上空の七色のマユの輝きで姿を隠して次の攻撃のチャンスを伺っていた。「そんな所にいても、もう無駄だ!」と言うとジャンプして一挙に上空高く飛び上がりビックワンの足を掴み引きずるかの様に地上の地面に向かって叩き付けた。

 地響きと共にファイヤードラゴンがうつ伏せ状態で横たわっていた。

ビースト化したウルクが姿を消していた。

ビックワンは意識はある状態で首を上げチラキを探していた様だ。

グラグラと体が震え出し、腹から胸にかけての部分が持ち上がり紫色の腕が見えて来ていた。

「チラキの奴、よくも俺をハメやがったな!」

地上面直前で先に地面に到着するのはビックワンの筈だった。

ウルクは少しだけズラして地上に着地する筈がチラキのサイキックテレポートによりビックワンの体をウルクの上に移動させたのだった。

ウルクはダメージが残りパワーをなくし、元のブルーの体に戻っていた。

姿を現したチラキは「これを待っていました。精霊シルフから授かった物を使わせて貰う!森の木々達よ、多くの人々の命を奪う愚かな青い大男を押さえ付け動けない状態にして下さい。」

地球で言う広葉樹にあたるシイの木やカシの木やナラの木やブナの木が四方から一斉に枝を伸ばし出しウルクの腕・足・頭・体を押さえ付け身体全体を囲む様に身動き出来ない状態にした。

「あなたにはそこから脱出する力は残っていない。視力も奪います。だから暫くは聞こえる音だけを意識して自分のやって来た愚かな事を何百年も掛けて償いなさい!そして森と共に生きて行くのです。」と言うとビックワンに合図を出し顔の目の部分だけに火炎噴射砲で目を焼き視界を奪った。

「あとは皇帝ジールを倒すだけです。シルフ!」

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