禁断の恋にカオスをぶっ込む? 期限付きの男子高校生と美人教師の危ない関係
Gai
第1話 偶然見た光景
「ん? あれって」
この春から新高校一年生となった
(あれは……えっと、確か
勇夢と同じくクラスの男子高校生の阿久津達也はベビーフェイスな顔を持っており、本人は少しコンプレックスに感じているが、そのフェイスのお陰で同級生から歳上によくモテる。
そして達也と話している若手美人教師は九条 千沙都。
年齢はまだ二十三と若いが、既に担任を持たせてもらえるほど優秀。
身長は百七十五あり、スタイルも抜群。
そのモデル体型とクールビューティーフェイスに生徒に寄り添える正確という三つの強大な武器を持っており、男子生徒だけではなく女子生徒からも人気が高い。
身長はそれなりに高いが、顔はザ・モブな勇夢も初めて千沙都を見た時に思わず一目惚れしてしまったが、直ぐに相手は大人で教師ということを思い出し……夢から覚めた。
(教科書持ってるし……授業で解らなかったところを質問でもしてるのか?)
本来の目的は忘れ物を取りに行くことなのだが、勇夢は思わず二人の様子を立ち止まって観察していた。
ちなみに生徒指導室の扉は中の様子が見えない様ではなく、がっつり見えるようになっている。
(生徒指導室の中に超美人教師と新入生だけど既に横から上までモテてるベビーフェイス野郎……いや、九条先生に限ってそんなことないか)
まさか生徒指導室の中で禁断の恋が始まる訳がない。
なんて思っていると……勇夢のレーダーが何かを察知し、無意識の内にスマホをポケットから取り出してムービーボタンを押していた。
そして勇夢のレーダーが察知した通り……二人の体が徐々に近づき、キスを…………しなかった。
(いや、マジか)
だがしかし、勇夢は言葉にこそ出さなかったが心の底から思いが零れた。
なんと……二人は生徒指導室という場所でハグをしていた。
「…………やべ、離れないと」
奇跡的に周囲には誰もおらず、勇がバレない様に中の様子をスマホで撮影している様子は誰にも見られていなかった。
ただ、とんでもない光景を見てしまった勇夢は慌ててその場から動き……それでも足音は静かに下駄箱へと向かった。
「あれ、そういえば……あぶねぇ、あぶねぇ」
自分が忘れ物して学校に戻ってきたことを思い出し、上履きに履き替えてダッシュで教室へと向かった。
この時、勇は衝撃の光景を見た余りに動揺しており、職員室に鍵を取りに行かなければ教室の中に入れない事をすっかり忘れており、無駄にダッシュするはめになった。
「……ヤバいものを見てしまったな」
家に帰ってからベッドに転がり、今日見てしまった光景を思い返す。
(…………冷静に考えてさ、あの光景は……多分、阿久津が辛い思いをしていて泣きそうになったから、九条先生が抱きしめたとかそういう状況じゃないよね?)
一度どういった状況だったのかを確認するために、勇はフォルダに残っている動画を見た。
「角度的にあんまり阿久津の表情は見えないけど、多分泣いたりはしてないよな。てか、完全に阿久津の方からも九条先生を抱きしめてるし……あっ、頭撫でられてる」
がっつり二人とも相手の腰に手を回しており、恋人がハグをする光景だった。
そして千沙都が竜弥の頭を撫でているのを確認し、今まで彼女いない歴イコール年齢である勇夢だが……非常に羨ましいと思った。
元々歳上好みではなく、なんなら同級生の彼女が欲しいな~~~、とすら思っていた。
だが、千沙都の前ではそんな安っぽい考えは一気に消し飛ぶ。
年齢的には八歳も離れているが、それでも歳上の女性という魅力を十分に持っており、現に千沙都は高校の教師として就職してから何人かの男子生徒にこっそり告白されている。
(まさか阿久津と九条先生がこんな関係だったなんて……でも、出会って一年も経たずにこういった関係になるか?)
勇夢の中で千沙都は相手のことを良く知ってから、そういった関係になるか否かを判断する……といった印象を持っていた。
勿論、勇夢は千沙都とゆっくりお互いのことを話し合ったこともないので、その考えが正しいとは限らない。
「勇夢、ご飯できたよ!!!」
「は~~~い!!」
考えが纏まる前に母親に呼ばれ、一先ず動画に関しては置いておき、腹に夕食をたらふく入れた。
そして夕食を食べ終えてから寝るまで……勇夢は勉強している時、漫画を読んでいる時、ゲームを楽しんでいる時……ずっと衝撃的だった動画について考えていた。
悩み過ぎて気付いたら朝になっていたということはなく、ぐっすりと睡眠を取って眠りから覚め…………勇夢はその動画の使い道を決めた。
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