戦闘職ばかりの世界で生産職は何を願うか?

@yuuutu-rei-901

プロローグ

作ることが好きだった。


小さな頃から木の棒で戦ってばかりの男の子より、石や砂でお城造りをする女の子の方が好きだった。


作ることが好きだった。


おばあちゃんっ子の僕は裁縫、刺繍、料理、何でも習った。


作ることが好きだった。


おじいちゃんっ子でもあった僕は、田舎ならではの自給自足生活のためになんでも作った。


作ることが好きだった。


都会に引っ越してからは、細かいものしか作れない分どんどんクオリティを上げていったし、大がかりなものや出来ないものは動画投稿サイトを見てよく学んだ。


作ることが好きだった。


だからこそ、僕 作坂要(さくざかかなめ)はこの世界に生まれたのかもしれない。




いつも通り僕は動画投稿サイトで鍛冶の動画を見ながら、洋服を作っていた。


外は雨がごうごうと降り荒れており、この天気は数日続くらしいと今日の天気予報が告げていた。


「全く、雨がやまないものかなあ…せっかくの休みの日だから庭に置く棚でも作ろうかと思ってたのにこれじゃあ出来ないや」


つぶやく言葉は外で鳴り響く雷の音にかき消されていった。


部屋の中は布地と裁縫道具でごちゃごちゃとしており、ミシンの縫い合わせる音がカタカタと鳴っていた。




ピシャッ ドーーン




ゴロゴロ ピシャッ ドーーーーーーン





「今の雷、絶対近かったって!もしかしてやばい?」


轟く雷におびえたその瞬間


要の目の前は真っ白にスパークし、その後なぜだかどこかに落ちていくような感覚とともに要は意識を失っていった。





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