第153話 休日とスキル修得
エアリアルドラゴンの討伐を終え、領主に薬草を届けるミッションを完遂した俺たち。
領主の城を出たときはまだ朝だったが、連日のミッション続きに加えて徹夜まで重なって、みんな疲れがたまっていた。
そんなわけで、その日は久しぶりに一日休みを取ることにした。
宿でだらだらしたり、三人で街を見て回ったりした。
この日、休息のほかに行なったのは、スキル修得作業だ。
エアリアルドラゴンと戦う前と比べると、俺と風音さんが2レベルアップ、弓月が3レベルアップして、各自その分だけスキルポイントを獲得していた。
夜中、三人で宿のベッドでごろごろしながら、ああでもないこうでもないと話をしつつ各々のスキルを修得していく。
なお三人とも、31レベル段階で修得可能スキルリストが更新され、新たなスキルが修得可能になっていた。
たとえば俺の場合は、こんな感じだ。
▼修得可能スキル(どれもスキルポイント1で修得可能)
●武器
・槍攻撃力アップ(+26)(new!)
・二段突き
●魔法
・ストーンシャワー(new!)
●一般
・筋力アップ(+1)
・耐久力アップ(+1)
・敏捷力アップ(+1)
・魔力アップ(+1)
・HPアップ(耐久力×7)(new!)
・MPアップ(魔力×7)(new!)
・気配察知
・アイテムボックス
・宝箱ドロップ率3倍
・テイム(new!)
・重装備ペナルティ無効(new!)
この中に、きわめて興味深いスキルが一つある。
エアリアルドラゴン討伐後に出現した新規ミッションにも、こんなものがあった。
───────────────────────
・モンスターの【テイム】に成功する……獲得経験値10000
───────────────────────
新規修得可能スキル【テイム】。
これは風音さんや弓月の修得可能スキルリストには出現しておらず、俺だけが修得可能なスキルのようだ。
スキルは修得してみないことには、ネーミングから効果を類推することしかできない。
元の世界にあったデータベースでも、このようなスキルが記述されていた記憶はない。
うんうんと迷った結果、俺はこの【テイム】と、ずっと修得を先送りにしていた【アイテムボックス】を修得することにした。
ほかに取りたいスキルもたくさんあるし、何かあったときのためにスキルポイントを1点残しておこうという方針にも反してしまうが、仕方がない。
風音さんと弓月もスキルを修得し終えると、三人のステータスはこんな具合になった。
六槍大地
レベル:32(+2)
経験値:202444/206876
HP :198/198(+12)
MP :168/168(+6)
筋力 :29(+2)
耐久力:33(+2)
敏捷力:24
魔力 :28(+1)
●スキル
【アースヒール】
【マッピング】
【HPアップ(耐久力×6)】
【MPアップ(魔力×6)】
【槍攻撃力アップ(+24)】
【ロックバレット】
【プロテクション】
【ガイアヒール】
【宝箱ドロップ率2倍】
【三連衝】
【アイテム修繕】
【命中強化】
【グランドヒール】
【隠密】
【ロックバズーカ】
【回避強化】
【アイテムボックス】(new!)
【テイム】(new!)
残りスキルポイント:0
小太刀風音
レベル:33(+2)
経験値:223056/235435
HP :175/175(+7)
MP :125/125(+5)
筋力 :25(+1)
耐久力:25(+1)
敏捷力:42(+2)
魔力 :25(+1)
スキル
【短剣攻撃力アップ(+24)】(Rank up!)
【マッピング】
【二刀流】
【気配察知】
【トラップ探知】
【トラップ解除】
【ウィンドスラッシュ】
【アイテムボックス】
【HPアップ(耐久力×7)】
【宝箱ドロップ率2倍】
【クイックネス】
【ウィンドストーム】
【MPアップ(魔力×5)】
【二刀流強化】
【回避強化】
【隠密】
【トラップ探知Ⅱ】
残りスキルポイント:1
弓月火垂
レベル:33(+3)
経験値:230141/235435
HP :175/175(+37)
MP :336/336(+30)
筋力 :21(+2)
耐久力:25(+2)
敏捷力:29(+1)
魔力 :56(+5)
●スキル
【ファイアボルト】
【MPアップ(魔力×6)】
【HPアップ(耐久力×7)】(Rank up!)
【魔力アップ(+14)】(Rank up!×2)
【バーンブレイズ】
【モンスター鑑定】
【ファイアウェポン】
【宝箱ドロップ率2倍】
【アイテムボックス】
【フレイムランス】
【アイテム鑑定】
【エクスプロージョン】
【弓攻撃力アップ(+6)】
残りスキルポイント:0
俺が自前で【アイテムボックス】を修得したため、風音さんや弓月からいくつかアイテムを引き受けて、アイテム整理を行った。
パーティ全員分のアイテムをベッドに並べ、どれを誰が保管しておこうか話し合ってから、各々の【アイテムボックス】に収納する。
その作業を終えたところで、風音さんが好奇心を抑えきれないといった様子で聞いてきた。
「で、大地くん。【テイム】ってどんなスキルか分かった?」
「あ、はい。なんとなくですけど」
「教えて教えて! やっぱりモフモフできるの?」
「モ、モフモフ……? まあ、だいたいそんな感じっぽいですけど」
スキルを修得すると、そのスキルの効果や使い方がなんとなく分かるようになる。
その俺の感覚によると、【テイム】は特定のモンスターを手懐けて、使役することが可能になるスキルのようだ。
今まで俺たちが遭遇したモンスターの中では、キラーワスプ、デススパイダー、ジャイアントバイパー、ミュータントエイプ、サーベルタイガー、ヴァンパイアバットが【テイム】可能。
昆虫系か動物系って感じだな。
なお、一度に【テイム】しておけるモンスターは、一体だけだ。
なるべく強いモンスターを【テイム】しておいたほうが有利ということ。
その他いろいろとスキルの仕様はあるみたいだが、いずれにせよ、かなりの強スキルであることは間違いないと思う。
だが風音さんたちの興味は、それとは違うところにあるようだった。
「いいなぁーっ! 大地くんだけモフモフずるい!」
「そうっすよ。先輩だけずるいっす。うちらにもモフモフさせるっすよ。さもなくばうちが先輩にべたべたするっすよ?」
俺のベッドに乗り移ってきた弓月が、うつぶせに寝転がった俺の上にまたがりつつ、そう言ってくる。
背中側の腰のあたりに乗っかられて、柔らかな感触が伝わってくる。
これも仲のいい妹っぽい仕草と言えなくはないが、俺の弓月に対する認識は、もはやそれではないわけで。
「弓月。お兄ちゃんを試しているのでなければ、そういう座り方をするのはやめなさい。はしたないですよ」
「お兄ちゃんを試してるなら、いいんすか?」
「それがどういう意味か分かってんのか?」
「エッチな意味っすよね?」
「……そうだが。ほら、俺がお兄ちゃんでいられるうちに、さっさとどいた」
「へーい」
俺は弓月を一度どかしてから、ベッドの上であぐらをかき、もう一度弓月を招き寄せる。
俺の前に来て、ベッドの上でちょこんと正座する弓月。
俺はその髪をなでつつ、こう答える。
「で、さっきの話だが。今のところ【テイム】候補でモフモフと言えそうなのは、ミュータントエイプかサーベルタイガーあたりか。でも、あの手のモンスターを触って嬉しいか?」
「そう言われると、微妙な気もしてくるっすね。なんかもっとかわいいのないんすか先輩」
「ない。そもそもかわいさより戦力を優先したい」
「えーっ。かわいさは大事だよー」
そう言って、今度は風音さんが、俺の背後から抱き着いてくる。
後ろからくる甘いにおいと柔らかさと首筋に当たる吐息にやられて、俺の理性は瀕死になった。
「……あの、二人とも。俺のこと人畜無害な男子だと思ってるでしょ。俺の中の狼さんを抑えるのが大変だから、その気がないならほどほどにしてほしいんだけど」
「先輩はモフモフしたくなる、かわいい狼さんだから大丈夫っす」
「待って火垂ちゃん、そうでもないよ。大地くん、その気になったら本当にケダモノだよ?」
「マジっすか」
「うん、マジ」
「でも一度、そういう先輩も見てみたいっすね」
……とまあ、そんなわけで。
この日は一日、休息を取ったのである。
宿で一晩を過ごした俺たちは、翌日から再び活動を開始する。
そしてその日に、さっそく【テイム】の出番がやってくるのである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます