転生リセマラで女の子に転生した僕、男の子が好きなのに、女の子しかいない世界で女の子にモテても困るんだけど?

蒼真 咲

第1話 望まない転生


 僕は生方大生うぶかただいせい14歳。普通の中学2年の男子中学生だ。


 僕は、小さい頃から男の友達が好きだった。それが普通だと思っていた。


  切っ掛けは、恥ずかしい事に小学2年生の頃、クラスの友達と遊んでいる時に、見つけたエッチな本の真似をして、お互いのそれを〇〇てみようって誘われた時だった。


 余りにも衝撃的な出来事だったので、僕は一生その事を忘れないかもしれない。


 それからというもの、頭の片隅にはずっと男の子のそれと、口の中に入れた感触と匂いが残っていた。


 僕は、おかしいのだろうか?


 男の子なのに男の子が好きなんて。



 その時の男の子は転校してしまってもう会えないけど。


 僕は、恋をしていた。相手は一つ年上の一科夕人ひとしなゆうと先輩だ。


 先輩はかっこよくて、僕の事を良く見てくれた。虐められそうになったら、さっそうと現れて助けてくれるし、遅刻しそうになったら一緒に遅刻してくれる。


 いつか、先輩と付き合って恋人になりたい。


 そう思ってしまった。


 僕は、あの時からおかしくなってしまったんだ。


 男の子なのに。男の子と付き合いたいなんて……。


 そんな先輩も、あっけなくバイク事故で死んでしまった。


「夕人先輩……先に死ぬなんて僕はどうしたらいいの?」


 夕人先輩の亡くなった交差点で、僕は茫然と立ち尽くしていた。


 そして、暴走したトラックに気が付かず、僕はトラックに跳ねられてそのまま死んだらしい。


 僕は死ぬのか?どうせ死ぬなら、生まれ変わったら、今度は女の子にしてください……。


 僕はそう祈った。



◇◇



 気が付いたら、僕は生きていた。


 転生したのかな?


 そうか、神様は見捨てなかったんだ。これで僕は女の子になれたんだ……。


 そう思って、股間を見ると付いていた。


 僕は、また男の子だった。


 僕は、生きる気力を失くして、そのまま死んだ。


 やり直しだ!僕は……女の子になりたいんだ!


 そして、何度も同じことを繰り返した。


 もう何度死んだか覚えていない。


「やめんかい!命をお粗末に扱いおって!バカもんが!」


「あなたは……?」


「ワシは転生神じゃ!お前は男に生まれる運命じゃ!何度死んでも同じじゃ!」


 転生神と名乗った白いお髭のお爺さんは、水戸黄門のような格好をしていた。


「そんな……神様!お願いです!僕を女の子にして下さい!」


「……してやれん事もないが、代償が必要になるぞ?ただではやれんな」


「代償ですか?」


「そうじゃ……」


「どのような代償でしょうか?」


 代償次第では、僕は代償を払ってても女の子になりたい。


「それは言えんな……どんな代償を払ってでもと言うなら……希望を叶えてやろう……」


「分かりました……僕は、どんな代償を払ってでも……女の子になりたいです!」


 その選択が、間違っていようとも……僕には選択の余地は無かった。


「その願い、受け取った。良い人生を送るのじゃぞ?」


 そして、僕はもう何度目かの転生を果たした。


◇◇


 僕は、確かに女の子になっていた。


 男の子のあれがついていないので、僕は遂に女の子になれたんだ。


 代償が何か分からないけど……僕は女の子として生を受けた。


 僕の家は、貴族らしくて、家はとても大きく使用人も沢山いた。


 お母さんの二人が、交代で僕の面倒を見てくれた。


「あなた……ラターシャが笑ったわ」


「可愛い笑顔ね……ユイにそっくりだわ」


「いいえ、あなた……シェリーに似ているわ?」


 僕の名前は、ラターシャ・シグレイドらしい。

 シグレイド伯爵家に生まれた僕らしいけど……なにかおかしい。


 生まれて一年、今まで一度も男性に会った事がない。


 お父さんがいないし、使用人も執事も全員が女性だった。


 僕がまだ赤ちゃんだからなのかもしれない。


 外に行けば絶対にいるはずだ。男の子が……。


 僕が五歳になる頃には、僕は絶望していた。


 この世界には、男の子がいないのだ。


 いや、この領地は……と言った方がいいかもしれない。


 僕は、まだ諦めていないのだから。


 もしも、これが代償だと言うなら、神様はとても意地悪で残酷だ。


 どうしても、僕を男の子と恋愛させたくないらしい。


 そして、男の子と出会うことなく僕は成長した。


 今年で、僕は十二歳。


 学校に通わなくてはならない。


「僕のナイトは、どこにいるんだろう……」


 学校は帝都にあるらしく、僕は帝都にある学生寮に入寮した。


 帝都に行ってもやっぱり女の子しかいない。


 むしろ、美少女率が上がったほどだ。


「可愛い子がいっぱいいる……」


 僕が女の子が好きなら喜んだことだろう。


 でも、僕は……男の子が好きなんだ。


 学園の名前は、帝国立ブルーリーフ学園。


 通称、帝国BL学園と言うらしい。


 女の子しかいないのにBL学園とは、どう言うことだ?


 入学式に着ていく服を渡されて、僕は「え!?」って不思議に思った。


 だって、その制服はズボンで……どう見ても男の子向けの制服だったからだ。


 そして、入学式には男の子の制服を着たどう見ても美少年の生徒に、美少年の新入生……が勢揃いしていた。


 中には女の子の制服を着た子もいたけど、それは半数で、もう半分の人は男の子の制服を着ていたんだ。


「どう言うこと?」


「どうしたんだい?新入生君?」


 僕に話しかけて来たのは、どう見ても美少年の上級生だった。


 髪の毛は短くしてあり、女の子の面影はついぞ無かった。


「あの……どうして、男の格好をしているんですか?」


「そんな事か?そうだな……教えてやろう……この国に女の子しかいないのは分かるな?」


「はい……」


「つまりは……そう言う事だ」


 えええええええ!?


「分かりませんよ?」


「女の子に好意を持って貰うにはどうしたら良いと思う?」


「カッコいい男の子は好きです……」


「そう言う事だ」


「え!?」


「新入生君がその制服を着ていると言う事は、僕と同じように君は選ばれたのさ。格好良い女の子にね?」


 言われた意味が分からなかった。


 僕は、選ばれた?誰に?何に?


 男の子の制服に、女の子しかいない学園……。


 僕の脳裏には宝塚の男役の人が浮かんだ。


 男役!?僕は……男役なのか?


 神様……僕は女の子になりたいって言ったけど、女の子しかいない世界で、男役をやらされるなんて聞いてないよ!?


 これが、僕が何度もリセマラした罰だと言うのなら……これが、女の子になる代償だと言うのなら……僕は神様に……どんな代償も覚悟の上と言ったけど……これは無いでしょう?








読者様へ


ここまでお読みいただきありがとうございます。


これは、男の子が好きな男の子が、男の子のいない?世界に転生してしまった物語です。


続きが気になると感じて下さいましたら、

☆♡にてコメント、応援よろしくお願いします。

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