第13話 初戦闘

……あっ、あれ忘れてたな。あれも陽動に使えるかもしれんからな。罠スキルで作れるか試してみるか。


 ……よし、できた。さて、冒険に出かけるか。


 俺は街の門に向かう。門のところでは商人の馬車や通行人がたくさん通っている。俺は隅であくびをしながら立っている門番に声をかける。


「すみません」


「ふわあぁー、ん?どうした?」


「僕、冒険者なんですけどどこがいい狩場なのかとかわかんないんです」


「ああ、そう言うことね。君は右も左も分かんない初心者さんか。なら、教えてあげるよ。こっちの草原を左に曲がってバッーっと行ったら子鬼の森っていうところに着く。そこがいい狩場なんだ。」


「ありがとうございます。」


 気前のいい人でよかった。けど、草原から子鬼の森に行く時の説明が曖昧のような?


 ともあれ、俺は門番に挨拶しながら街から出る。




 門番に言われた通りに草原を左に向かって進む。しかし空気が美味しい!風が吹くたびに草木が揺れ、音が風景が俺を癒してくれる。


 だが、見慣れないものが俺の前方で見えた。地面に水色のプルプルしたものが揺れながら動いていた。動いていると言ってもカタツムリのように鈍重な動きだ。


 俺はこの生物を知っている。これは正しくスライムだな!


 俺と奴の間は約200メートル。きゃつはこちらに気づいてはいない。まずは鑑定してみよう!


『スライム

種族 スライム 

レベル1


 能力値

HP 2

MP 4

力 1

防御 4

器用さ 1

速さ 1

魔力 1


スキル

飲み込み 1

粘体生物 ー』


 俺の能力値と比べて弱そうだ。スキルのレベルのないやつとかあるけど、まぁいけるだろう。


 俺はその場で屈み、背中の弓を構える。目標のスライムに弓を合わせ、矢筒から弓矢を取り出す。弓矢をつかえて弦をゆっくりとのばす。最大限力を入れると手がプルプルするが、目標からは逸らさない。


 ……目標が止まった!力を留めた手を放し、その影響で弓矢は高速で目標のスライムに向かい、そして…スライムの柔らかそうな体に突き刺さった。


「よし!」


 このゲームを始めてから始めての戦い(奇襲?)に勝利した!俺は弓を背中に戻してルンルンで死んだスライムの元へ行く。


「さーて、始めてのドロップアイテムは……ん?」


 俺は死んだスライムに触ろうとするが、異変に気付く。スライムの体が少し動いてるように見えるのだ。


「ん?なんっ!?」


 不審に思い、体を近づけるといきなりスライムが体に飛びついてきた。


「何だ?生きてる?」


 スライムは俺の腹らへんを飛びつき、うねうねと動いている。別になんともない。だが、あることに気づく。


「やばい!」


 スライムはなんと俺の体によじ登り始めたのだ。ここで、俺はこのスライム意図に気付く。こいつは俺の呼吸を塞ぎ窒息させようとしてきているのだ!


「くそっ」


 剣をすぐさま抜いて自分に刺さらないように力を緩めながらスライムボディに剣を突き刺す。だが、刺さるには刺さるが効果は何一つ見られない。そうこうしてるうちにスライムは俺の鎖骨の下までよじ登ってきた。


「やばい」


 俺は必死に剣を突き立てはするがやはり効果は無い。だが、スライムの真ん中あたりを刺すといきなりスライムの体は俺の体を滑るように流れ落ちていった。


「へ?一体何が?」


 なぜかあっけなくスライムが落ちたことに不審に思い、剣を見ると何か赤くて小さな球体が突き刺さっていた。


「何だこれ?」


 鑑定をしてみる。


『スライムの核

ランク1 品質FF

スライムの生命維持の中核を担う器官。

この器官を損壊するとスライムはたちまちに粘性の体が溶け落ち、液体となる。』


 ……そうか、これを刺したからか。


 勝てたけどもうちょっとスマートにやりたかったなあ。 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る