両想いの交差点

misaka

交差点1

 じめじめした梅雨の長雨が、人々の頭上に色とりどりの花を咲かせる季節。

 車幅が広く、行き交う車も多い。比較的大きな交差点。

 そこで男女2人が話していた。

 男子生徒が武藤大海むとうひろみ。女子生徒が首藤汐里しゅとうしおり

 紺と黄色の傘を並べて、信号待を待っている。


 「で、汐里しおり、どうなんだよ?」

 「どうって?」

 「だから、鈴木と、その、うまくいってんのかって話。あんまり話してるとこ見ないけど?」

 「ヒロ君が心配するようなことじゃないよ。まだみんなには内緒だし」

 「秘密の恋人、か。なんで俺には教えてくれたんだ?」

 「……だって、ヒロ君、幼馴染だから。他の男子とは違うって言うか」

 「……そっか」


 信号機が青に変わり、カッコーが鳴く。

 さっさと歩きだせ。そう、急かすように。


 「そっちこそ、加恋かれんとどうなの?」

 「ま、まだ。……だけど。これからなんだって!」

 「そうなんだ。ちゃんと応援してるから、これからも頑張れー?」

 「勝者の余裕かよ。……まあ、また近いうちにこうやって、相談してもいいか?」

 「――もちろん、いつでも。恋愛の先輩が教えてあげます」

 「そか。それじゃあ」

 「うん、またね」


 そうして隣同士の家の中に、2人は消えて行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る