見知らぬ写真

連喜

第1話 定年間際の男性

 これはネットから拾って来た話。


 Aさんという男性がいた。年齢は59くらい。

 中小企業のサラリーマン。仕事は機械メーカーの営業。

 独身。一人暮らし。


 俺と同じように、50くらいから物忘れがひどくなっていた。

 物の置き忘れ、テレビに出てる人の名前が思い出せない、先々週くらいに何をしていたかを思い出せない。

 仕事でも締め切りを忘れてしまって、客や同僚にも時々迷惑をかけていた。

 でも、あと1年くらいで定年。

 そんな感じの人だ。


 Aさんは同性の友達が沢山いた。

 大体毎週飲みに行くし、趣味でサイクリングもやってた。

 あとは、旅行、ギター、DIY、料理とかも好き・・・結構、多才な人だった。

 近所に行きつけの店があって、店のオーナー夫婦とも友達。

 職場にも、近所にも、趣味を通じた友達も沢山いる。


 こういう人だから、やはり趣味や人づきあいに金がかかって、あまり貯金がない。

 でも、マンションは自己所有で、定年になったら警備員とかのバイトをして、年金をもらえるまで食いつなごうと思っていた。


 女性に興味はすごくあるけど、年齢のせいかなかなか相手が見つからない。

 マッチングアプリで女性に声をかけてもほとんど断られる。

 それでも細々と婚活をしていた。

 最後に彼女がいたのは40代の頃。

 相手の女性は父親の介護があったので、あまり会えなくなって破局したそうだ。


 俺の周りにこういう人はいない。

 1人暮らしだけど、両親はどうしたんだろうか?

 地方出身なんだろうか?

 よくわからない。でも、そうなんじゃないかという気がする。

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