守りたい

 オレの動画は、またまたバズっていた。

 

 そしてその数ヶ月後

 

 ついにオレがあの有名なグループに入るっ

 て噂が学校中に広まった。

 

 …うん。

 いつかわかることだけど、こういう情報は

 とにかくあっという間に広まるもんだ。

 

 とにかく休み時間は、キャーキャー言われ

 まくりだし、全然話したことない人からも

 スンゲーじゃん‼︎

 と、握手を求められたりした。

 

 隠し撮りもされてるっぽいんすけど。

 

 …なんか、ずっと誰かしらに見られてる気

 がして落ち着かない…。

 

 オレはこれからどうなるんだろうか…。

 

 かわいいアイドルたちは、一体どうやって

 生活しているのだろう。

 

 …オレはそもそも男だからまだ身を守る事

 ができる。

 

 しかしアイドルたちは、毎日大変なんだろ

 うな…。

 

 今までは、オタクとして応援していただけ

 だったけど別の意味で応援したい気持ちに

 なってきた。

 

 やっぱり女の子は大変なんだな。

 美崎さんもきっと後とかつけられて怖い思

 いしたんだろうな。

 

 今ならよくわかる。

 

 こんなに注目されちゃうと美崎さんにもな

 んか迷惑がかかりそうだ。

 

 …実はオレは卒業の時に美崎さんに告白し

 てきっぱりと諦めようと決めていた。

 

 でも、こんなに騒がれていたら美崎さん…

 オレに告白なんかされたら変なことに巻き

 込まれそうだ。

 

 ここは何も伝えずに去るのが一番だな。

 

 そして毎日一緒に帰っていたけどそれもも

 うおしまいだ。

 

 残念だけど美崎さんになにかあったら大変

 だ。

 

 

 なのでオレは早速ある行動を起こした。

 

 何をしたかというと、オタク友達たちに美

 崎さんの下校を見守ってほしいとお願いし

 たのだ。

 

 一緒に帰らないにしても少し離れて見守り

 隊をとお願いした。

 

 すると快く引き受けてくれたみんな。

 

 なんともありがたい。

 

 残りの数ヶ月…

 

 なんとしても美崎さんを守り抜かねば。

 

 

 美崎さんには、こんな状態になってしまっ

 たからと事情を説明してわかってもらえた。

 

 

 ほんとは最後まで見守り隊したかったけど

 な…。

 

 その日からオレたちは、別々に下校するこ

 とになった。

 

 

 するとまた噂がたちまち広まった。

 

 デビューが決まった途端彼女をポイ捨てす

 る酷いやつなんて。

 

 …うん。

 まぁ、そんな嘘話はほっといてもいいだろ

 う。

 

 オレは何を言われても平気だ。

 

 そして卒業が近づくにつれてオレも色々と

 忙しくなりあまり学校に行く時間が減って

 きてしまった。

 

 とりあえず卒業できるギリギリの出席日数

 さえあれば大丈夫だと聞いていたのでその

 ままあまり行かなくなった。 

 

 美崎さんはというと、今のところ平和に暮

 らしてると、オタク友達がたまに連絡をし

 てくれている。

 

 そしてオレは結局美崎さんにおもいを伝え

 られないまま卒業した。

 

 

 入学した頃はとにかく地味でオタクだとキ

 モがられていたのに、美崎さんと出会って

 からオタクだからって関係ないと美崎さん

 は、こんなオレを受け入れてくれた。

 

 そしてヲタ芸を披露した時もタオルを貸し

 てくれたり常にオレに気をつかってくれて

 たな。

 

 ま、初めはおはようとか毎日挨拶してきた

 り、机ピッタリつけてきたりオレの目じっ

 とみてきたりして怖いとか思っちゃったけ

 どな。

 

 あんな美少女がオレにこんなに優しくして

 くれてたからドッキリだと思ったぜ。

 

 フッ。

 今となれば全ていい思い出だ。

 

 …楽しかったな。

 

 でも…

 

 さようなら。

 美崎さん。

 

 オレは心の中で美崎さんに別れを告げた。

 

 

 続く。

 

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