となりの預言者が可愛い
ミックスグリル
新学期の予言
「あのさ、予言してあげよっか。」
高校2年の新クラスになってすぐ、隣の席のやつに言われた。
「あなたは友達ができない。」
このとき、僕はポカンと馬鹿みたいに口を開けているしか無かった。そりゃそうだ。
何が嬉しくて、隣のやつから友達出来ない宣告をされなきゃいけないんだ。
新クラス早々に喧嘩を売られているとしか考えられない。
「あぁ、でも。少し違った。」
訂正きた。きっと口下手な女子なのだろう。
外見が病的に白いのと華奢な外見から見るに、今までは引きこもりで、今年から友達作りを頑張ろうとして盛大に自爆したと見た。だがしかし、
「君には1人しか友達が出来ない。」
あれ、少し様子がおかしい。
ここは「ごんなさい。実は私、口下手で…」と謝罪が来て、仲良くなってハッピーエンドじゃないのか。脳内でクエスチョンマークが増殖されかねないので質問してみる。
「えっとー、何でかな?
確かに友達は多い方ではなかったけど、これまで不自由ないくらいにはいたよ?」
それとなくノーボッチアピールしてみる。
「君のそばにいたのは正真正銘の友達だった?
おそらく彼らは君のことを喋るジャガイモ程度にしか思っていないよ。」
少し知的に顎に手をあてながらそう告げられる。
その様子があまりに可愛くて辛辣な言葉もノーダメージだった。
可愛さは緩衝材にもなるのか。便利だなぁ。とか思いつつ。
「流石にポテトではないと思うんだけど。」
必死に抗ってみる。だってそんな、ポテトだなんてあんまりじゃないか。
「せめて哺乳類にしてくれっ!」と懇願してみた。
「じゃあナマコでもいいよ。」
うーん。棘皮動物かぁ、まぁ昇格だよな。
芋は自分で動けない100%介護だけどナマコだったら一応動けるもんな!
陸はどうかしらんけど…
「別に君がジャガイモかナマコなんてどうでもいいの。私が言いたいのは本当に信頼のおける友達がいたかって事よ。」
少し頬を赤くして、辛辣な言葉をぶつけて来る。不覚にも可愛い。らぶりー。
というかどうでもいいのかよ。僕が一番気にしてたのはそこなのに。
「でもどうして?初対面なのにどうしてそこまで分かるの?」
とりあえず彼女の予言の真偽は後にして、その理由を尋ねてみる。
「予言に根拠はないわよ。だって運命ですもの!」
もしかして彼女のこれは罰ゲームなのではないだろうかと思えるくらいに恥ずかしいセリフを白昼堂々と吐く姿に感銘して感動した。だから敬意を持って復唱してみる。
「なるほど運命ですもの!ねっ。」
最初はクールにすましていた顔が化学反応を起こし、みるみるうちに赤くなっていく。
Srの炎色反応でもあるかな。
「な、な、何よ!勝手に真似しないでよねっ!」
そう言い放って、すごい勢いで廊下に向かって走っていった。辿り着くまでに机を2、3個蹴り飛ばしていく。タンスの角に小指級の痛さであろう。
でも本当の悲劇はこれからで、教室のドアを出ようした瞬間に教師に出会し、さらに「ホームルーム始まるから席に戻りなさい」を言われてしぶしぶ僕の隣に戻ってきた訳であります。
ちらりと見たら、顔をプイッと背けてしまった。
何この子めちゃくちゃ可愛い。
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