憧れの職業。
僕を心配してくれた女の子には、安心させる為に端末を見せた。
ホログラムに堂々と浮かび上がる、傭兵ランク二を示すライセンス。それも、
「僕はね、鉄クズ拾いの時に、運命の出会いがあったんだ」
それからシリアスとの出会いを語り、僕がどれだけ幸せになったかを語り、サーベイルに来た過程も語った。
流石に子供たちの性癖を歪める気は無いから、僕のシリアススキーな所は伏せつつ、それと依頼内容を語るのも傭兵として問題なので、ロコロックルさんから受けた依頼もさわりだけ。
しかし、女の子を始め子供達四人には大興奮の冒険物語であったらしく、大好評を頂いた。
「しゅげぇぇぇえ! おにーちゃん、よーへいなのっ!?」
「かっこいい!」
ガーランドだとそうでも無いけど、サーベイルではアリーナがある関係で、傭兵は子供達の憧れる職業の一つらしい。
正確に言うと、傭兵って言うか剣闘士が、だけど。
それで、僕が自分のバイオマシンを持って居て、なおかつサーベイルに来るまで数多の盗賊を薙ぎ払って来た腕の持ち主だと知ると、男の子二人はうきゃぁぁーっと騒ぐ大興奮。
静まり給え……、鎮まり給え……。
意外な事に女の子二人もキラキラした目で僕とネマを見ていて、何故かお父様も興奮してた。お母様以外は全員大興奮である。
「なぁなぁ!? バイオマシンはのってきてないの!?」
「うん? シャムとシリアスなら駐機場に居るよ?」
「しゅげぇぇええ!」
もはや何を言っても「しゅげぇぇええ!」が貰える。
子供とは、歳の近しい相手には加速度的にグイグイ行ける特殊能力を待っているので、段々と遠慮が無くなって行く生物である。
だって最初は「ねぇねぇ」だったのに、今は「なぁなぁ」って呼ばれるもん。
「バイオマシンみたい! のりたい!」
「あ、コラ! 良い加減にしなさい! 迷惑でしょ!」
流石にお母様からストップが入るけど、加速した子供のグイグイ力とは留まる所を知らないのだ。
その間も僕とネマはオスシをパクパクしてる。そして偶にコッチのボックス席に遊びに来てる子にもパクッと食べさせてる。お父様が羨ましそうだ。
今更だけど、なんでこのお店、回転
言うほど回転って感じじゃないし、どっちかって言うと『ベルトズシ』か『列車ズシ』の方が合ってない?
まぁどうでも良いか。
「えぇ〜! おれ、バイオマシンみたいよぉ〜!」
「ぼくもぉ〜!」
「もう! オスシまで食べさせて貰ったでしょ! それで迷惑まで掛けたら、あんた達はタダの嫌な子よっ? 憧れの
「…………えっ、やだ、どうしようっ 」
素直か。ピュアか。
そんな音速で嫌ったりしないし、むしろ平和に育った六歳から八歳くらいって、こんな感じなのかと和んでるよ。
六歳とか七歳って、僕何してたかな。その頃にはもう鉄クズ拾ってたってけ? それとも別のシノギ探してた?
「皆さんは今日、ビークルでお越しですか?」
流石にもう、親御さんをスルーして交流するのはアレだと思って声を掛けた。せっかくだし、シャムで送って行きませう?
「あ、いえ。家とこのビルの位置関係的に、ビークルで来るより都市巡回バスビークルで来た方が早いんですよ」
「そうなんですか? でしたら、ご迷惑で無いならウチのシャムでお家までお送りしましょうか? ハーフホームのガレージダングなんですけど、特注した機体なので広いですし、居住区画に皆様全員乗せられますよ」
僕が提案すると、子供達は大興奮。しかし騒ぎ過ぎるとお店に迷惑なので、「大声出す子は乗せないよ」と言うと、一気にシーンとする。
現金か。
しかも黙りこくる中にはお父様も居る。もしかしてお父様もバイオマシン好き好きの民か?
「よ、よろしいのですか?」
「はい、大丈夫ですよ。勿論、マシンロードで行ける所までしかお送り出来ませんが」
「ご迷惑では有りませんか?」
「いえいえ。僕らは輸送任務でこの都市に来て、着いたらすぐ仮眠を取り、起きたのがついさっきなんですよ。だから、時間的にも寝るには少し早いですし、どっちにしろ都市は見て回りたかったですし、そのついでに皆様をお宅に送るくらいなら、
傭兵用の一般的なお眠りドラッグには、睡眠補助剤と睡眠調整剤と呼ばれる物があって、補助剤は先程寝るのに使った奴だが、調整剤の方は簡単に言うと『目覚ましアラーム入り』のお薬である。
コレを服用して寝ると、その薬の効能に合わせた時間にスッキリはっきりバッチリ目覚められる仕組みに成ってる。
そして補助剤と同じ様に睡眠導入効果もあるので、昼夜逆転を治すのに手っ取り早いのだ。補助剤と合わせたて使うと昼夜逆転は一撃で直せる。
それを使って今日は深夜過ぎくらいに寝るつもりだったから、まだ時間的に余裕があるのだ。
来たばかりで都市も全然見て回れてないから、例え夜でも知らない場所を見れるなら好都合なのも、嘘じゃない。
と言うか、此処まで子供達を焚き付けて置いて、尻拭いもしないのは不義理かなって思うのだ。
「でしたら、その、お言葉に甘えて、お願い出来ますか? この子達ったら、特に息子二人の方はもう、大のバイオマシン好きでして…………」
「勿論ですよ。でも、二つだけ注意をお願いしても良いですか?」
僕はシャム、大型の特注ダングを操縦するのはネマである事を伝えた。そしてコックピットも見学は自由だけど、間違っても操縦中のネマにちょっかいを出さない事をお願いする。
「操縦は僕から見ても上手い子なので安心して下さい。でも、見ての通りの年齢なので、話し掛けられたりして意識が持って行かれたら危ないかも知れません。操縦と会話を同時に熟すって、結構難しいですからね」
「分かりました。キツく言い聞かせて置きますね」
「あともう一つ、シャムの中に格納されてる戦闘機のコックピット見学は諦めて下さい。親御様だけなら良いですけど、お子様が操縦系に触れて事故でも起こすと大変なので」
「そ、それも勿論です! もう、間近で見るだけで充分です……!」
まぁ、方便だ。シリアスが操作を受け付けなければ事故なんて起きない。
正しい心情としては、シリアスのコックピットに子供を乗せて、メインシートに座りたいと騒がれたら流石に鬱陶しいからだ。煩わしく成ってしまう。
今のところは微笑ましくて和むって思えるからお節介してるのだ。それが放り出したく成るウザさに成ったら困る。本当に放り出しちゃうから。
シリアスはメインシートに僕以外乗せたくないし、僕もシリアスのメインシートは僕だけの物だと思ってる。相手が子供だとして、例外には成らない。
でも態々全部説明するのもアレだ。僕は基本的に嘘を吐かないけど、このくらいの方便は許して欲しい。
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