キラッ☆



 なぜガーランドがゴミで、サーベイルのギルドが快適なのか。その謎を探るべく、砂蟲はギルドの奥地へと足を踏み入れない…………。


 その変わり観察はする。


「…………なるほど? ガーランドの隅っこに有った常時受付が増設されて、そこに男性職員が入ってるのか。形だけはガーランドと一緒だ。規模が違うだけで運用にも差が出るのかぁ」


 ガーランドではカウンターの端に一つだけポツンとあった、端末申請無しでも空いてたらすぐに使える場所が有った。アレが大量に増設されてるんだ。

 

 サーベイルギルドの使い易さに感動しながら、キョロキョロとしてるネマを伴って男性職員のカウンターに行く。

 

 ネマも免許を取る際に、ガーランドでギルドの洗礼を受けている。だから全然違うサーベイルギルドに驚いてるんだろう。

 

 僕だって思うもん。あの苦しみはなんだったのかって。


「こんにちは。お願いしても?」

 

「ええ、ようこそ傭兵ギルドサーベイル支部へ。本日のご要件をお伺いしましょう」


 にこって笑う爽やかイケメンさんに話し掛ける。やっぱ女性傭兵のお見合い有りそうだぞ。単純に性別比の問題か? 女性傭兵の母数が少ないから問題に成らないのかな?


「輸送依頼でガーランドから来ましたランク二傭兵のラディア、及びランク一傭兵のネマ。傭兵団砂蟲としてサーベイルに滞在します。そのご挨拶をと」

 

「これはこれは、ようこそサーベイルへ。輸送任務、お疲れ様でした」


 笑う度に何かが『キラッ☆』って光りそうなイケメンお兄さんは優しかった。

 

 まず端末でも精算可能だったけど挨拶も含めて此処でやろうと思ってたロコロックルさんからの依頼料の半分を精算。

 

 代金は全て、一旦シリアスの口座に入れてもらって、後でシリアスに分けてもらう。…………甘え過ぎかな?

 

 初めてのザーベイルと言う事で、イケメンお兄さんは傭兵用のオススメサービスとか人気のお店、ホテル、使い易くてメインストリートにアクセスし易い大型駐機場等々。大量の情報を無料でくれた。とても優しい。


「わぁ、ありがとうございます!」

 

「いえ。長旅お疲れ様でした。ガーランドからでしたら、さぞお疲れでしょう?」

 

「確かに疲れはしましたけど、長旅と言う程じゃ無かったですよ。クライアントの意向で都市経由じゃ無くて最短ルートを突っ切ったので、片道四日です」


「………………それは、もっと大変だったのでは? ガーランドからサーベイルまで四日は、些か無茶な計画かと」


 お兄さんは僕が子供でも、ネマを連れてても、決して侮らずにしっかりと対応してくれた。良い人だ。受付の鏡だ。

 

 既にギルド内に居る暇な人達からは、金持ちのボンボンかぁ? みたいな視線を幾つか貰ってるので、お兄さんの爽やかさがより強く浮き彫りになる。


「かなり襲撃されましたけど、戦うのは結構好きなので気になりません。暇はしなかったです」

 

「…………なんとも、御見掛けに依らない人ですね。対人戦闘に心得が御座いますなら、闘技場もご利用されますか? 剣闘士制度に着いてはご存知でしょうか?」

 

「あ、アリーナで戦うんですよね?」

 

「ええ。傭兵ギルドが管理する下部組織に成ります。傭兵ランクとは別に剣闘士ランクも御座いますので、良かったらご利用下さい。腕に自信が御座いましたら、良いお小遣い稼ぎに成るかと」


 追加でお兄さんが端末に情報をくれた。ファイトマネーに関するあれこれと、剣闘士に関する規約らしい。後で読もうか。


「ありがとうございます。…………あ、そうだ。オススメのオスシ屋さんとか有りますか? 天然と養殖、どっちも気になってます。あとアクアパッツァが美味しいお店とかも有ったら嬉しいです」

 

「勿論、御座いますよ。其方そちらの情報もお送りしますね。是非、サーベイルのさちをご堪能下さい」


 素敵な情報を沢山貰えたので、僕らはホクホクでギルドを後にした。

 

 シャムに乗って移動を開始し、宛も無くマシンロードに乗る。


「ふむ。まずは短期滞在用の駐機場契約かな? コレは経費なのか否か…………」


 いや、その前にシャムに補給か。

 

 弾薬も補充したいし、目減りした水も欲しい。二ヶ月持つとは言え、補充出来るならしない理由が無い。

 

 僕はネットの情報とギルドのお兄さんから貰った情報を照らし合わせ、居住区画持ちの輸送機に諸々の補給をしてくれるサービスを探す。


「………………おぉ、此処良いじゃん。短期滞在の契約が出来る駐機場まで併設された補給施設が有るよ。ネマ、マークするポイントまでお願い出来る?」

 

「……できぅ」

 

「〝ます〟を付けろよデコスケ野郎」

 

「…………えへへっ♪︎」


 やっぱり喜ぶんだよなぁ。なんでかなぁ。

 

 上機嫌になって鼻歌フンフンのネマがサクサク操縦で目的の施設へ。

 

 駐機場の利用契約は一ヶ月で二万シギル。居住区画の補給が水とフードマテリアルを含めて三七○○シギル。最高級マテリアルを頼んだから少し値が上がった。砂蟲の予算から出す。

 

 後は、フードメタルのグレードと、使ってる弾薬の規格も伝えて補充をする。

 

 思ったより襲撃が有ったので、弾薬とフードメタルの補給割合は調整する。弾薬を増やし、フードメタルを減らす。最悪は敵機を食えば良いのでこう成る。


「承りました」

 

「お願いしまーす」


 決済後、契約した駐機場へ。

 

 ハンガーは無いけど、シンプルで使い易い鉄骨型駐機場だった。

 

 鉄骨型とは、簡単に言えばビルの外面を取り払った骨組み状の建物で、乱暴なイメージをするなら四角い四足テーブルを何段も重ねた様な造りだ。

 

 僕らは下手なホテルを取るよりシャムで寝泊まりした方が快適な上に、即座に出掛けられるので楽なのだ。

 

 しかし、完全なビル型の駐機場だと『建物の中の建物』感が強くて、シャムに寝泊まりする日々に閉塞感を感じるだろう。

 

 だから風通しが良過ぎるこの鉄骨型駐機場は、僕としてはかなり有難い場所になる。多分同じ気持ちの人も多いのだろう。この駐機場は結構埋まってて、その殆どがダングである。多分ホームダングかアパートダングなのだろう。

 

 ズラァーっと並ぶダングはやはり壮観で、この景色は永久旅団の宿営地に行った時以来か。


「さぁて、やっとゆっくり出来るぞ」


 立ち並ぶダングを眺めながら、僕はやっと少し気を抜いて呟いた。はぁオスシ食べたい。


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