レッスン開始。
そんなこんな、目的地に到着した。
「はい。到着しました。此処でポロンちゃんとアズロンさんには戦闘機動まで、ポポナさんとセルバスさんには移動方法のみをお教えします」
『よろしく頼むよ!』
『お願いするです!』
『お願いねぇ〜』
『お手数をお掛けします』
ホロ通信を繋いで、ゲーム的にもパーティ設定をして置けば、同じインスタンスエリアに入れる。つまり到着したエリアには僕ら以外誰もいない。伸び伸びと練習出来る。
練習用のエリアは、何も無い無機質な広場だ。でも、本当に何も無いって訳じゃない。必要ならゲームメニューから様々なオブジェクトを生み出して設置が出来る。リアルでもゲームだからね。
「では、まずポロンちゃん。君はアズロンさんに、僕が教えた基本動作を教えて見て? 人に教える事で、自分がどのくらい理解してるのかを客観視出来るから。それでまた分からない事があったら、僕に聞いてね?」
『わ、分かりましたです! ポロンがお父様にお教えしますですぅ!』
「それで、アズロンさんはポロンちゃんから一度習って、基礎の基礎の基礎を覚えて下さい。それと、ポロンちゃんの教え方がアレ過ぎて全然分からないとかって場合は、ポロンちゃんに遠慮する事無く僕に聞いて下さい」
『了解した。ポロンにしっかりと先生の才能がある事を期待しようか!』
『ま、任せてですぅ!』
まずは戦闘機免許志望の二人を捌く。これで少し時間が空く。
その時間を使って、さっさとポポナさんとセルバスさんに免許を取らせる。
「ポポナさん。セルバスさん。正直なところですね、輸送機免許くらいなら、本気で練習すると早くて三日、遅くても一週間くらいの訓練で、実技は通れます。ぶっちゃけ問題は筆記です」
『あら、そうなの?』
『つまり移動だけならば、そう難しい事は無いと……?』
「そうですね。なんと言うか、嫌な言い方になるんですけど、僕がポロンちゃんに三○分教えただけで、ポロンちゃんがアズロンさんに基礎の基礎くらいは教えられる様になるんですよ?」
『…………ふふ、確かにそうね?』
十歳が十歳に三○分教えただけでコレなのだから、ぶっちゃけ輸送機免許の実技は楽勝だ。
強いて言うなら機体の大きさを把握しないと簡単にぶつけてしまう事と、大き過ぎる物を動かす実感が湧くと恐怖を感じてしまうくらいか。その二つを克服出来るなら、マジで移動だけなら簡単に覚えられる。
勿論、VRバトルなんて便利な物がある前提だけどさ。これ現実で実機だと、何かを壊さないか不安になって、マトモに動かせないと思うし。
「筆記の授業も僕がやるってのも、まぁ手なんですけどね。正直あれ、市販の専用テキストを見て勉強する以外にやる事無いですし。…………ぱぱっと免許取っちゃいましょ? それで、戦闘機免許取るまで機体に乗れないポロンちゃんとアズロンさんに自慢しちゃいましょ?」
『んふっ、ふふふふふっ、それは楽しそうねぇ♪︎』
『少し、気合いを入れて学ぶとしましょう』
輸送機免許は筆記さえ通れる頭が有るなら、マジで楽だ。正直ビークル免許取るより楽だと思う。
僕は二人に移動の基本六ペダルを改めて教えて、更にエリア内にメニューからオブジェクトを展開して練習用のコースを作る。
直線曲線は当たり前、右回りと左回りの三回転する渦巻きコースや、一度ハンガーにバックで駐機してからコースに戻る場所等を作って、全部繋げる。
「これをまず、練習して見て下さい。オススメは、ゴールした後に、ゴール地点からそのままバックでスタート地点まで戻って来てワンセットとする練習ですね。このコースを全部バックで歩けたら、もう実技は半分クリアしたも同然ですよ」
『後ろ向きに動くのは、大変そうね?』
「外をモニターで見るタイプの機体なら、バックもモニターで見れてかなり楽なんですけどね。キャノピータイプの機体だとバックカメラはコンソールモニターに映るので微妙に大変ですよ」
『…………私めはソレで御座いますね』
「ああ、そうですよね。デザリアはキャノピータイプの代表みたいな感じですし」
輸送機志望の二人はこの課題で大丈夫だろう。これをクリアしたら、もっと難易度の高いコースを用意して、それもクリアしたらもう言う事ない。あと筆記頑張ってってなる。
「じゃぁ、お二人はコース頑張って下さい。その間にポロンちゃんとアズロンさんを教えますので」
『ええ、行ってらっしゃいな。こっちも頑張るから、よろしくね』
『バイオマシンに乗れるなら、都市の専用駐機場も使えますからな。流通ギルドと商業ギルドを利用する時に専用駐機場を使えると大分楽なのですよね。良い機会を下さったラディア様には感謝を……』
イケオジの銀髪オールバック執事にホロ通信の向こうから恭しくお辞儀されるとテンション上がる。
やる事はやったので、僕は二人に断ってからポロンちゃんの方に行く。
「こっちはどう?」
『順調です!』
『そうだろうか?』
「え、どっち?」
ああ、うん。見たら分かった。
僕は基本六ペダルを教えて欲しかったんだけど、ポロンちゃんはササッと流してアクショングリップ行っちゃったんだな。
戦闘機免許って事で、気が逸ってるのだろう。
「ポロンちゃん、機動制御をしっかり覚えないと、僕と戦った時みたいに、逃げる事さえ出来ないよ? 武器の使い方はその後が良いね」
『そ、そうですかっ!? あわわわ……』
『ふむ、やはりそうだよね? ダングなど特に小回りが効かないのだし、余計に戦闘機動はしっかりしないと』
「ダングの質量なら取り敢えず突撃して体当たりも手ですけどね。まぁそれも、基礎を覚えた後ですよ。ダングはスライド操作が特殊なので大変ですけど、足周りをカスタムすれば普通のスライド移動も出来るように成るので」
ちなみに、此処はVRバトルなので、ダングでログインしても最初からある程度の武装が施されてる。他の非武装系の機体も同じだ。
その初期装備を使って、ポロンちゃんの授業で砲撃させられてたアズロンさん。教えが分からなかったら来てと言ったけど、教えが分かる上でなんか違う気がしてたって所か。これは僕が悪いな。
「じゃぁ、改めて二人にも基礎を教えますので、ちゃんと聞いて下さいね」
『わかったです!』
『了解した。いやぁ、年甲斐も無くドキドキするね! ゲームでも、バイオマシンに乗れるのはこんなに楽しい!』
ある意味、既に長年の夢の中に居るアズロンさんは、テンションがヤバいレベルで跳ね上がってる。落ち着けるのが大変そうだ。
僕は何とかテンションの高いバイオマシン好き好きの民を宥め、その手網を握りに行く。
「では、まずお二人もアッチの二人と同じようなコースをやりましょうか。でもポロンちゃんが砲撃練習したがってるみたいなので、コースには射撃目標も設けて難易度上げときますね。ゴールするまでに討ち漏らしを出さずに完走しましょう。あ、止まっちゃダメですよ? 最低でも巡航速度を維持して下さい」
こうして、僕の『ゲームするだけで報酬が発生する』生活が始まった。
代わりに、ゲームするだけで何故がガチガチの完全女装も外せなくなって行く不思議。世の中本当に不思議だなぁ…………。
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