聞くべきこと。


 

「…………はぁ? いや、はぁ?」


 シリアスを見て驚く僕を見て、兵士のお兄さんも驚いてる。


 山積みだ。そう、山積みである。

 

 シリアスの背中になんか大量の、デザートシザーリアの残骸があった。

 

 見た瞬間、最初はシリアスの前の体を勿体ないから持って来たのかなって思った。けど、良く見るとシザーアームが二本以上あったり、尻尾が複数あったり、明らかに一機分じゃない。


「ちょ、シリアスッ!? 何それ!?」

 

「いや、お前が持ってきたんだろうが。なんで知らないんだよ」

 

「いや、あの、ちょっと事情が……!?」


 大混乱。僕、大混乱。

 

 いや落ち着いて。大丈夫、僕は落ち着ける。よし。


「ちょ、ちょっとごめんなさい。ちょっとだけ時間を貰っても良いですかッ!?」

 

「おう。まぁオリジンへの対応だからな、俺もサボってるとは言われねぇだろうし、むしろゆっくりしてくれて良いぜ。仕事の一環としてサボれんのは大歓迎だ」


 そう言う事なら喜んで!


「シリアス、シリアスさん? あの、そのお背中の方々は、シリアスの僚機さん達だよね……?」


 右ガチガチ。


「う、うん。だよね。で、それどうしたの? 帰り道、別に襲われなかったよね?」


 右ガチガチ。


「……じゃぁ、僕がダウンしてる時?」


 右ガチガチ。


「…………おお、そうか。シザーの右と左でイエスとノーなのか。すげぇな、バイオマシンと会話が成立してやがる。本当にオリジンなんだな、すげぇ」


 兵士のお兄さんが興奮してるけど、僕はそれどころじゃない。

 

 だって、シリアスにとって僚機さん達って、すっごい大事な存在じゃないの? 

 

 なんでそんなに山積みなの? 山積みって言っても、三機くらいかな? 

 

 いやゼロカスタムのシリアスが三機背負ってる時点で大変な事だよ。どんだけ重かったの。随分ゆっくり移動するなって思ってたけど、これが理由だったの?

 

 シリアスと沢山お話し出来て嬉しいとか思ってたよ僕。


「シリアスは、その、良かったの? 残骸集めるのと、仕留めるのじゃ、全然違うでしょ?」


 右ガチガチ。


「えと、僕のせい?」


 左ガチガチ。


「シリアスの、ため?」


 右ガチガチ。


「…………その、僚機さん達は、殺しちゃったの?」


 左ガチガチ。


「い、生きてるの? 陽電子脳ブレインボックスは入れたままで、生体金属心臓ジェネレータも生きてる?」


 右ガチガチ。

 

 確かに、良く見ると三機ともウゴウゴしてる。けど、尻尾は軒並み根元くらいからバッキリ折られて、プラプラしてる。足も根元くらいにざっくり爪痕が入ってて、機関部を破壊してる様に見える。

 

 つまり、生きたまま無力化した?


「おおい、つまりカスタム無しで三機も生け捕りにしたのかよ……。俺の給料何年分、いや何十年分だ……?」


 ごめんなさい。兵士さんの給料とか僕知らない。でも何年分とかになるの……? 年単位?


「シリアスは、本当に良いの? 多分、それ、シリアスが本当は超えちゃいけない、ナニカを、踏み越えてるんじゃないの?」


 右ガチガチ。右ガチガチ、左ガチガチ。

 

 えっと、今のは……。


「本当に、良いの? えと、シリアスが超えちゃいけない何かも、肯定?」


 右ガチガチ。


「でも、そのあとの否定は、でも超えるって、こと……?」


 右ガチガチ。


「…………なん、で? 超えちゃ、ダメなんじゃないの?」


 右ガチガチ。


「でも、超えるの?」


 右ガチガチ。


「それは、僕のため?」


 左ガチガチ。


「…………ああ、違うね。ごめん、質問を間違えた」


 誰かの為かどうかは、良く良く思えば、個人の思想による。人を助けるのが自分のためだと思ってるなら、どれだけ自己を犠牲にして人に尽くしても、自分の為だと言い張れる。

 

 だから、僕が聞くべき、そうじゃない。


「シリアス。それは、僕と一緒にいるため?」


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