第38話 岩の巨人ダンジョン

 〈岩の巨人ダンジョン〉入り口に辿り着いた俺は初めてのダンジョンを少し興奮しながら見ている。

 ダンジョンは川や山などと同じように自然現象で造られたとされるが、目の前に見えるダンジョンの入り口は人工的な感じがする。


 『スライム洞窟』の入り口は左右の形が違っていたが、目の前にあるダンジョンの入り口は左右対象の形をしている。

 全体的に見ても人工的な造りをしているから自然現象とは考えられない。謎が多いダンジョンは転生する際に会った神様みたいな存在が創り出したと考えた方が納得できる。


 ここには領都の裏領門から一時間ほどで来ることができた。今までは帝都へ向かう時に通る領都門から領都の外へと出ていたが〈岩の巨人ダンジョン〉に向かうには、反対側にある裏領門から外に出る方が近い。


 領都の門は四つあって帝都がある方角の南側の門が領都門と呼ばれていて、領都にある門の中で一番大きな門だ。

 領門とは反対側の北にある門が裏領都門で二番目に大きな門だ。

 残りの二つは東、西にある東領都門と西領都門でどちらの門も小さく、馬車が一台通れる程度の大きさになっている。



 初めて裏領門を通ったんだが……いつもと門番が違うので、門を通る時に不審者を見るような視線を感じた。やっぱり、今の格好は不審者少年だから初見だと怪しむよな。



 よし! ダンジョンに入るぞ。



 ここがダンジョンの入り口と1階層の入り口を繋ぐ部屋か。

 ダンジョンの入り口と1階層の間にある部屋は『階層転移部屋』と呼ばれている。


 部屋の中心には『転移柱』と呼ばれる柱がある。この柱に触れながら行きたい階層を頭の中でイメージすると、その階層へと転移する事ができる。


 階層の出口と次の階層の入り口を繋ぐ部屋のことを『セーフティエリア』と呼ぶ。


 それぞれの『セーフティエリア』の中には『転移柱』ある。『階層転移部屋』から柱を使って転移するとイメージした階層の入り口がある『セーフティエリア』の柱周辺へと転移する仕組みになっている。


 階層転移には条件があり『転移柱』に触れたことがなければ転移できない。

 例えば3階層に転移したければ3階層入り口前の『転移柱』まで一度行き、直接柱に触れなければならない。

 3階層入り口がある『セーフティエリア』の『転移柱』のことを『3階層転移柱』と呼び、他の階層も同じ呼び方になる。



 〈岩の巨人ダンジョン〉の階層転移部屋は立方体の人工的な形をしているが地面、天井、壁などは洞窟みたいになっている。

 初めてダンジョンに入って思ったことは、とても不思議な空間だ。

 よく見ると人工的な造りをしているが、何も考えなければ洞窟にいる気分になる。



 そろそろ1階層へと進むか。



 1階層は先程の部屋と同じで地面、天井、壁は洞窟のような見た目をしてる。そんな空間が真っ直ぐと伸びた道になっていた。


 その道を進み遭遇するスライムを瞬殺しながら30分ほどで、2階層の『セーフティエリア』だろう部屋へと辿り着いた。



 思ったよりも早く着いたな。



 部屋の中心にあるのが『転移柱』だよな。


 俺の情報を登録する為に、手で触れてみたが……特に何も感じない。

 これで本当に登録できているのか? 少し不安だけど2階層へと進むか。


 2階層に入って数分の間は、遭遇する魔物は違うけど1階層と同じじゃんと思ったが、途中から1階層とは違い丁字路になったり十字路になったりした。

 道が複雑になっていたので1階層よりも時間が掛かって、一時間半ほどで3階層の『セーフティエリア』へと辿り着いた。


 ロッククラブは思っていた通り動きが遅く避けるのは簡単だったし、こちらから攻撃してないからか? 全く追って来なかった。



 キツかったのが十字路だ!



 正しい道は一つだけでハズレを引くと行き止まりだ。二連続で行き止まりになった時はムカついて五秒くらい壁を睨みつけてから引き返した。

 何回か十字路に苦戦することにはなったが1、2階層を二時間ほどで突破でき、目的の3階層前まで来れたのは良かった。



 『転移柱』に触れ登録してから20分ほど休憩し、3階層へと向かう。



「《鑑定》」



 ――――――――――――――――――――


【名前】ロックスライム

【レベル】21

【HP】350/350

【MP】1890/1890

 


【攻撃】42

【防御】210

【敏捷】42

【魔攻】84

【魔防】126


 <スキル>

【土魔法(D)2】


 ――――――――――――――――――――



 ダンジョンのロックスライムも基本的には同じだけど、俺の求めていた【土魔法(D)】スキルを所持している。

 やはり、ダンジョンの魔物が持つスキルはダンジョンスキルだった。そうだとは思っていたけど、実際に鑑定してみるまでは少し不安があったので良かった。

 もし普通のスキル持ちならダンジョン産の〈スキル玉〉を見つけるか、探して購入しなければならなかった。



 本当に良かった。



 確認ができたからロックスライムの背後へと移動し、至近距離から短剣を突き刺すのではなく岩弾を撃ち込む。


 岩弾でも問題なく核を破壊することが出来たので、予定通り【土魔法】スキルを育てながら狩りができる。



 ――ロックスライム狩りまくるぜ!!



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