第5話 五歳の誕生日
「あ〜ぁ〜、まだ眠いな」
時は流れ今日で五歳になった。
寝起きの体をゆっくりと伸ばしながらベットから起き上がり、重い足取りでトボトボと歩きながら洗面所の鏡の前へと行く。
鏡に映る俺は眠そうな顔をしている。
その理由としては、五歳の誕生日という事もあって昨日は謎の緊張でなかなか寝付けなったからだ。
五歳になった俺の見たは銀髪黒眼でなかなかの美少年だった。
まだ子供なので将来どうなるか? わからないが十分に期待していいだろう。
朝食まで一時間ほどの時間があるから転生してからの成果を確認しようと思う。
「ステータス」
――――――――――――――――――――
【名前】 グラン・レイブン
【種族】人族
【年齢】5
【レベル】0 (封)
【HP】70/70
【MP】2850/2850
【攻撃】17 (上限50)
【防御】12 (上限50)
【敏捷】26 (上限50)
【魔攻】50 (上限50)
【魔防】50 (上限50)
<固有スキル>
(【圧死奪纏】) (【鑑定・偽装】)
<スキル>
(【重力魔法4(制限)】)
【水魔法3】【土魔法2】
【魔力感知3】【魔力操作3】
【魔力制御3】【魔法耐性2】
【気配察知3】【聞き耳3】【忍び足2】
【身体強化2】【体術1】 【言語理解5】
【速読4】【暗記5】【算術5】
(【 】) 偽装の効果により本人のみ確認可能
――――――――――――――――――――
ステータスの見方については、神様から特に説明はされなかった。
だけど……不思議なことに分かる。
多分、記憶が封印される前の俺が説明を受けたからだと思う。今から確認するのはHP、MP、攻撃、防御、敏捷、魔攻、魔防、固有スキル、スキルだ。
HPとは『ヒット・ポイント』の略で体力を表している。HPが0になると最悪の場合は命を落とすことになる。
MPとは『マジック・ポイント」の略で総魔力量を表している。魔力とは、魔法を使う為に必要なエネルギーとなる。
攻撃とは、殴る蹴るなどの物理的な攻撃をする力を表している。
防御とは、物理的な攻撃に対する、守る力を表している。
敏捷とは、動作の素早さを表している。
魔攻とは、MPを消費ことによって行使できる魔法に加わる力を表している。
魔防とは、魔力、魔法に対する、守る力を表している。
まずはHPから確認する。
毎月1ずつ増えて70になった。
この世界では、1週が6日、1ヶ月が30日、1年が12ヶ月となっている。
ちなみに、俺の誕生日は7月23日だ。
MPは約二年半の間は2回気絶をすることができ、今は夜寝る前の1回だけ。
攻撃、防御、敏捷はしっかり歩けるように、なるまで鍛えることが出来なったので、あまり上げれなかった。
だけど我が家では五歳から剣術を習い始めるので、剣の稽古が始まれば問題ないく上がっていくと思うので焦ってはいない。
魔攻と魔防に関しては、転生した初日から重力魔法を使ってたので去年の時点で上限の50となりカンストした。
スキルについては【水魔法】スキル取得を目標にしてから少しづつではあるが、順調に増やすことが出来たので良かった。
水魔法の取得は挑戦し始め、半年くらい経ったある日に偶然が重なり成功した。
体内の魔力を動かしながら水のイメージをしていた時に突然――漏らした。
その時の体内から水が漏れる感覚が完璧な水のイメージになったらしく、動かしていた魔力が水魔法になった。
【水魔法】スキル取得の喜びと漏らしたことのショックが重なり……凄く複雑な心境になったのを今でもしっかり覚えている。
その経験のおかげで土遊びをしながら体内の魔力を動かし、一ヶ月もしない内に土魔法も覚えることができた。
【水魔法】と【土魔法】スキルを取得した事によって独学ではあるものの、魔法に対する理解は高くなり【重力魔法】スキルの方の検証も順調に進めることができた。
固有スキル【圧死奪纏】の効果1で取得した【重力魔法】スキルだが、使える魔法は体内の魔力を感知→操作→属性イメージの流れで取得したスキルの魔法と比べても、あまり変わらないと思っていた。
恐らくは、固有スキルで取得した魔法と努力で取得したスキルの魔法はどちらも出来ることは変わらないが、とても大きな違いがある事もわかった。
重力魔法と水・土魔法を比べて検証してみた結果――魔力変換率、魔法制御、操作補正の三つに違いがあると考えた。
まずは魔力変換率の検証から説明する。
庭に落ちていた拳くらいの大きさの石を重力魔法で10回、同じ様に持ち上げた。
毎回MPを確認した結果、10回とも同じ魔力量だけ消費することがわかった。
次に水魔法の場合は、同じ大きさの水球を10回生成して確認してみたところ、数回だけ魔力消費量が増えていることがわかった。
ちなみに、水魔法で作った水球は一般的にウォーターボールと呼ばれている。基礎的な水魔法だと本に書いてあった。
重力魔法の場合は、魔力10消費すれば毎回魔力10の力を持った重力魔法を使う事ができるので、体内魔力が重力魔法に変換した時の魔力変換率は100%となる。
水・土魔法の場合も集中すれば魔力変換率はほぼ100%になるが、近くで足音がしたりして少しでも意識がそちらに向けば魔力変換率はそれだけ下がってしまう。
重力魔法なら本を読みながらでも、常に魔法変換率は100%となるが、水・土魔法ではそんな事はできないし、出来ても魔力変換率はかなり悪くなる。
「ステータス。圧死奪纏を押してと」
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【圧死奪纏】
効果1
【重力魔法】スキル取得
効果2
重力魔法に限り自由自在に操ることができ必要最低限の魔力消費で発動
効果3
重力魔法による影響を受けた対象が死亡した場合に限り僅かに力を奪い纏える
効果4
選定の儀を終えるまで使用不可
効果5
選定の儀を終えるまで使用不可
――――――――――――――――――――
圧死奪纏の効果2に書かれている『必要最低限の魔力消費で発動』が、常に魔力変化率を100%にしてくれている事がわかった。
次に魔法の制御・操作について。
水魔法でウォーターボールを生成した場合は、本来だと一定の時間が経つと制御を失い崩れ落ちてしまう。
だがMPを継続的に消費し続ければ、そのまま形を保ち続けることができる。
ウォーターボールを生成→制御をした後、更に魔力を消費することによって動かすことができる。
10m離れた木にウォーターボールをぶつける為には生成で魔力を消費し、更に制御、操作でも魔力を消費し続ける事によって木へと水魔法をぶつけることができる。
例、生成魔力5→制御魔力1→操作魔力2
ザックリだが、生成魔力消費量は大きさと密度によって変わり、制御魔力消費量は生成された魔法と時間、操作魔力消費量は生成された魔法、距離、速さで変わる。
――――――――――――――――――――
[ 魔力消費 ]
生成→制御→操作
・生成魔力消費(大きさ×密度)
・制御魔力消費(生成規模×時間)
・操作魔力消費(生成規模×距離×速さ)
――――――――――――――――――――
これらの事から分かるのは、魔力消費には生成、制御、操作の三つの段階があり、別々で魔力を消費することがポイントである。
それに加えて攻撃魔法には、大きく分けて二つあることに気づいた。
例、10m離れた木を魔法で攻撃する場合。
魔法生成と同時に魔法を木にぶつけるのに必要な制御・操作魔力を予測して消費することを『瞬時魔法』と呼ぶことにして。
逆に生成と同時に魔力を消費せずに木にぶつかるまでの間、継続的に魔力を消費することを『継続魔法』と呼ぶことにした。
『瞬時魔法』と『継続魔法』には、それぞれにメリットとデメリットがある。
『瞬時魔法』の場合だと生成が終われば、後は勝手に木へとぶつかってくれる。
だから生成後は魔法に集中する必要がないという良い面がある一方で、予想外の事態には対応する事ができない。
『継続魔法』の場合は、目的物にぶつかるまでの間は、常に集中する必要があるという悪い面がある代わりに、予想外の事態に対応する事もできる。
これらの事が分かるようになると、固有スキルで取得した【重力魔法】スキルの凄さと強さがわかってくる。
まず集中しなくても魔力変換率が100%で固定されている。……正直ズルいと思う。
『瞬時魔法』だけなら努力で取得した魔法スキルと大きくは変わらないと思うが『継続魔法』は常に集中しなければならないので、その差は大きいと思った。
何らかの原因で魔法以外に意識が向けば魔力変換率は悪くなるし、最悪の場合は制御を失い崩れ落ちる。
固有スキルで取得した魔法スキルならば、魔法の生成→制御→操作の全てが魔力変換率100%なので『継続魔法』使用中に変換率が悪くなる事がない。
更に圧死奪纏の効果2に『自由自在に操ることができ』とあるので、固有スキルの魔法なら別に集中しなくても良い。
止まれと思えば止まるし、避けろと思えば避けてくれるので『継続魔法』を使っていたとしても、魔法以外のことにも意識を向けることが出来るようになる。
努力で取得した魔法スキルの方でも、魔法だけに集中できるのであれば、同じ事が出来るが、少しでも他の事に意識が向いてしまえばどんどん差が広がるという違いがある。
俺の独学だから全てが正しいか? と聞かれれば正直そうは思わないけれど、この五年間でやってきた練習や検証は間違いなく今後に役立つことだとは確信している。
圧死奪纏の効果2の凄さを理解した俺は、自分自身に対して重力魔法を継続的に発動してみる事にした。
内容としては1秒間にMP1消費する重力魔法を自分自身に対して、10秒間掛け続けるというものだ。
結果的にそれは上手くいった。1秒間にMP1消費して重力魔法を自分自身に掛け続けることを『重力負荷』と呼ぶに事にした。
『重力負荷』中に走ったりして鍛えてたら【魔力耐性】スキルを習得できた。
他にも今年から習い始める剣術に使えそうな事はないかと色々と試した結果、体内の魔力を動かしながら走ったことで【身体強化】スキルを取得した。
それから『重力負荷』と身体強化を使いながら体を鍛えていたらある時に【体術】スキルを習得できたりと、なかなかの良い結果に満足している。
【気配察知】と【聞き耳】スキルは魔法を隠れて使っていたら偶然に取得した。
【忍び足】スキルも似た感じで歩けるようになってからコッソリと本を読みに書庫へと行ったりしていたのが取得に繋がった。
【言語理解】【速読】【暗記】【算術】スキルなどは転生前の記憶、経験が影響してるのか? 他のスキルと比べてレベルの上がり方がかなり早かった。
今年からは教養を学ばなければいけないのだが、前世の経験がある俺はかなり楽することが出来るだろうと思ってる。
五年間の成果を確認し終え、のんびりしていると――廊下から足音が聞こえる。
足音はどんどん近づき部屋の前で止まるとコンコンと軽くドアを叩く音がした。
「グラン様おはようございます。朝食の準備が終わりましたので、都合がよろしい時に食堂へお越し下さい」
「おはよう。今から行くよ」
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