第2話 スキルと固有スキル
「……は?」
既にスキルと固有のスキルを取得しているだと……いつ取得した? あれか……記憶が封印される前なのか?
もしかして【冷静】スキルとかか? この状況に最初は驚いたけど、すぐに状況を理解して受け入れることができた。
神様の前でも普通に会話が出来ているのは不思議だった。
「少年の予想通り記憶を封印する前に取得したのじゃよ。ただ【冷静】スキルは実際に存在しているが、少年はそのスキルを取得してないがな。記憶が無くても、この空間で体験した経験が残ってるおるからじゃ」
「なるほど……ちなみに俺はどんなスキルを取得したのか教えてくれないか? それを確認する方法とかはあるのか?」
「確認する方法も含めて後で教えてやろう!その前に、まずはスキルと固有スキルの違いについてじゃな 。
スキルは誰でも努力次第で入手可能な能力じゃな。例えば、剣の鍛錬をすれば【剣術】スキルを取得することができる」
「取得したスキルには、レベルが1〜10まであり、使用すればするほど上げることができるのじゃ。スキルのレベルは上がる毎に、どんどん上がりづらくなる。
どこまで育てるかは本人次第じゃな。特にレベル5から上げる事はごく一部の例外を除けば、かなりの苦労と時間が掛かるぞ!」
「次に固有スキルじゃが。簡単に言うとスキルよりも強力で特別な能力。人族の場合は10歳の誕生日以降、教会で『選定の儀』を行うことで授かることが出来るのじゃ」
「殆どの者は『選定の儀』で授かった固有スキルだけしか取得していないのじゃ。
例外としては、運良く固有スキルが取得できる特別なアイテムを入手する。特定の条件を達成した状態で、強力な魔物を倒すなど複数取得することも可能じゃよ」
「スキルは努力次第で取得できる。もう一つの固有スキルは『選定の儀』? で授かることができる特別なスキル。
固有スキルを複数取得することは難易度が高いけど、いくつかの取得方法は存在するのか……何となくは理解できたよ」
「少年は既に固有スキルを取得済みじゃから『選定の儀』では貰えないがな。そろそろ気になっているだろうスキルと固有スキルの確認方法を教えてやろう。『ステータス』と唱えると目の前に、ステータスプレートが現れる。それを見て確認してみるのじゃ」
「ステータス」
――――――――――――――――――――
【名前】
【種族】人族
【年齢】0
【レベル】0 (封)
【HP】10/10
【MP】100/100
【攻撃】1 (上限50)
【防御】1 (上限50)
【敏捷】1 (上限50)
【魔攻】1 (上限50)
【魔防】1 (上限50)
<固有スキル>
(【圧死奪纏】) (【鑑定・偽装】)
<スキル>
(【重力魔法1(制限)】)
(【 】) 偽装の効果により本人のみ確認可能
――――――――――――――――――――
「こんな感じになっているのか! 鑑定と偽装てのは何となくは予想できるけど……もう一つの固有スキルはどんな能力だ? それに固有スキルが二つあるけど理由とかあるのか?」
ステータスプレートはゲームみたいな感じだな。固有スキルの【鑑定・偽装】はかなり便利そうだ。
もう一つの方はサッパリだな。あれ? 確か固有スキルは一つだけだったよな?
「それは特別なのじゃよ! 本来なら転生前に与えられる固有スキルは戦闘関連のが一つに加えて、転生特典としてサポート関連の二つとなっておる。
少年の場合はサポート関連が鑑定と偽装の二つで問題ないのじゃが……戦闘関連の方がちと強過ぎてな。
それについて色々と調整するのが大変じゃったわい! それが一番最初の『交渉成立』と『記憶封印』の代償に繋がっておるのじゃ」
「少年の頼みごとを叶える為には、強くなる必要があると儂が話した。そうすると予想通り強力過ぎる固有スキルを望んできたというわけじゃな。
それで可能な範囲で強力な固有スキルを取得する為に、必死に交渉してきた。最終的には何とか上手く調整できたのじゃ! 感謝するのだぞ!
固有スキル【圧死奪纏】(あっしでまとい)は重力魔法に特殊な追加効果を加えた能力なのじゃが……その強力な追加効果のために、払った代償の一つが『記憶封印』じゃ」
「俺の我儘のせいでいろいろと迷惑かけたみたいですね。調整など色々とありがとうごさいました。そのお陰で強い固有スキルを取得できたみたいで本当に感謝してます」
なるほど、謎が少しだけ解けたな。
それにしても固有スキル【圧死奪纏】てのはそんなに強いのか?
神様がわざわざ調整して可能な範囲で強くしてくれたらしいから凄いんだろうな。
強い固有スキル貰えたんだから、神様にはしっかり御礼しないとな。あれ? 良く考えたら神様て凄い存在だよな?
今更だけど敬語使っといた方がいいか。
「どうしたのじゃ? 急に敬語とか使い始めて気持ち悪いぞ! さっきの話し方でいいわ」
「他の転生者よりも特別な待遇だったみたいだから、とりあえず変えてみたけど……そのままでいいなら助かるわ」
「現金な奴じゃな……まあよいか。話を戻すが【圧死奪纏】は少年との交渉中に急遽、創った特別な固有スキルじゃ。詳しくは転生後にステータスプレートで確認してくれ。他に気になることはあるか? なければそろそろ転生させようと思うのじゃが」
「二つだけ聞きたいことがある! ステータスプレートのレベルのところに書いてある(封)と攻撃とかの横にある(上限50)てのは何だ?
それと払った代償の一つが『記憶封印』だと言っていたが……他のはどんな感じの代償だったんだ?」
「ステータスの確認は本来であれば10歳までは出来ないのじゃよ。
人族の場合だと『選定の儀』を行うことよって、今まで確認することが出来なかったステータスが見れるようになり、レベル、攻撃、防御、敏捷、魔攻、魔防の上限も解放されるのじゃ」
「総魔力量を表すMPやスキルならば『選定の儀』前からでも制限なしに育てることが出来るから10歳までの間は、そっちの方を頑張ると良いじゃろうな。
儂から一つ少年に良いアドバイスをしてやろう、 MPは使い切ると気絶する代わりに上限値が僅かに増えるのじゃ!」
「もう一つの代償の方じゃが『選定の儀』後に確認可能なのがあるのと、少年の願いが叶うまでの間に、いくつかの試練を用意してあるのじゃ。
試練を乗り越える毎に、儂が内容を確認することが出来るように設定してあるから良い暇潰しにさせてもらうわい」
「10歳までの間はいろいろと制限がされるのか……試練てのはどうやって確認するんだ? あと必ず乗り越えないといけないのか?」
『選定の儀』までは強くなるのにも限界があるってことか。この感じだと5歳とかで大人の騎士を倒すとかの無双は無理そうだな。
10歳までに攻撃とかを上限まで上げるのは必須としてだ。どれだけスキルを増やして育てられるのかと、神様が教えてくれたMP使い切りの裏技気絶とかで強くなる為の準備はいろいろと頑張ってみる感じか。
最後の試練だが内容的に無理だと思ったら逃げられるのか? でも記憶を無くす前の俺が望んだことだし出来る限りは乗り越えよう。
「試練が与えられた時は少年だけに分かるようになっておる。その時は、ステータスプレートから詳しく確認することができる。
別に試練から逃げ出すことも可能じゃよ。その場合は達成報酬が貰えないというデメリットがあるから良く考えるのだぞ!
ちなみに達成報酬には『記憶封印』の解除なども含まれておるから少年の願いを叶える為にも、乗り越えた方が良いと思うがな」
「ああ、転生してからゆっくり考えるよ」
予想だが『記憶封印』の解除は、最後の試練達成報酬だな。
とりあえずは聞きたいことは、大体聞けたし転生してからまた考えるか。
「もう大丈夫そうじゃな」
「ある程度、聞きたいことは確認できたから大丈夫だと思うよ」
「それじゃあ、今から少年の魂を新たな世界に転生する。 新しい人生を頑張るのじゃ」
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