狂重の試練〜願いを叶える為に帝国最強を目指す〜

鴉ノ龍

第1章 転生と初恋

第1話 交渉?成立?

「少年よ、交渉成立じゃ!」



「……交渉? 成立?」


 交渉成立て何の? てか目の前に居る眩しい爺さんは誰だよ! 此処はどこだよ? 何一つわからね〜よ……どうなってんだよ?



「そうじゃ! まあ覚えてないだろうがな」



「覚えてないだろう? どういう事だよ!? あんたは誰だよ?」


 覚えてないてどういう意味だよ! 確かに何も思い出せね〜けどよ。あ〜〜何がなんだかサッパリだ! とりあえず誰か説明しろよ。



 目の前にいる眩しい爺さんしかいないか。



「儂は神だよ。神様とでも好き呼んでくれ。いろいろと気になっているみたいだから優しい儂が説明してやろう」


「まず少年は元の世界で亡くなり、魂だけがこの空間へと辿り着いた。

 そして、ある程度の状況を理解すると少年は儂にとある頼み事をしてきたのじゃ! 最初は断ろうかと思ったが、面白そうだったので条件付きだが叶えてやることにしたのじゃ」


「その条件の一つが『記憶封印』という代償を払うことじゃ。全ての記憶を封印した訳ではないから安心するがよい」



「確かに覚えてることもあるな。俺の名前、外見、あとは……死ぬ前に関わっていた人達についての記憶が思い出せないのと、さっき神様が言っていた交渉についても、サッパリ思い出せないな」


 まず目の前の眩しい爺さんが神様てのは納得だな。『少年は亡くなり』のところで一瞬、誰が? と思ったけど俺しかいないよな。


 死んだ時のことを必死に思い出そうとしてみても、全く思い出せね〜なと思ったら記憶が封印されてちゃ思い出せないよな。

 記憶を封印するとか……流石は神様だな。マジで……何でもありだな、おい!



 思い出せない事は何だ?



 自分の名前、外見、あとは関わったことのある人達か。コンビニ店員とか深く関わってない奴とかは、それなりに思い出せるな。



 不思議な気分だな。



 自分の名前も、外見も、思い出せないのに人格はしっかりと残ってるんだよな。

 その原因が、記憶があった時の俺が、神様に無茶なお願いしたからとか笑えるよな。



 何をお願いしたんだよ? 俺は……。



「そんな感じで合っておる。なぜ記憶を封印したのか? それについては少年の願いに関することだから言えぬ。

 少年に言える範囲で良いならどんな交渉をしたのか教えてやろう。あとは少年のこれからについてもじゃな」



「ああ、、説明頼む」



「まず記憶を封印する前に、このまま魂も消えて無くなるか。それとも別の世界で一から新しい人生を始めるか。

 そのどちらかの好きな方を少年に選ばせたのじゃ。どちらを選んだかは言わなくても分かるだろうがな」



「ああ、、俺の意識が消えてないから別の世界? 異世界? で新しい人生を始めることを選んだんだな。異世界はどんなところだ?」


 別の世界て……アニメとかで見たことがある異世界てやつか? 魔法とか使えるんかな?



「そうじゃ! 今少年が思っているアニメ、漫画、ファンタジー小説などの物語世界に似てるところはあるじゃろう。想像通り魔法もある世界じゃよ」



「やっぱり、神様は心読めるんだな……」



「儂のことを『眩しい爺さん』と呼んでいたことも、もちろん知っておるよ」



「それについては謝った方がいいのか? てか人の心を勝手に覗いてんだから、逆に謝って欲しい気持ちもあるが……神様に俺らの常識は通用しないよな?」


 やっぱり神様だから心読めるんだな。対処法を考えても無理だし、気にしてたら話し進まないから今まで通りでいいな。


 てか眩しい爺さん呼びしたこと気にしてたのかよ……まあ、それについてはいいか。


 異世界は想像通り魔法が使えるのか。



 少し楽しみだな。



「神じゃからな、人間には理解出来ないことも多いじゃろうな 。話を戻すが、少年が一番イメージしやすいのは、ファンタジーの世界に似ていて、魔法などの特別な力を使うことも出来るということじゃな」


「少年が行く世界では勇者や魔王の様な存在はおらず、女神や邪神の暇潰しに巻き込まれて、理不尽な被害を受けるような事はないから安心するがよい」



「それは助かるな。ということは一番危険な存在で、理不尽な被害を受ける可能性があるのは俺と同じ人で合ってるか?」


 ファンタジー小説とかの感じだと、勇者になったら魔王の配下絡みでいろいろと面倒だったな。

 勇者に生まれなかった場合だと勇者の人格にもよるが、遭遇した時に理不尽な被害を受ける可能もあったから助かったわ。


「てか勇者と魔王て……女神と邪神の暇潰しの為に存在するのか? 俺には関係ないらしいからいいけど、いい迷惑だなおい!」


 一番警戒すべきは自分よりも権力を持っている特権階級達か?



「それは違うな! 少年が思ってるようなこともあるが、それ以外にも強い魔物や、魔物の群に襲われて被害を受けることなどもある。

 人だけが危険な存在という訳ではないのじゃよ。ちなみに異世界では人のことを人族とも呼んでおるよ」



「魔物は凶暴な動物みたいな感じで合ってるか? あと人族以外も居るのか?」



「合っておるよ。人族以外にも、亜人と呼ばれる人族と獣が混ざった獣人などもおるな。

 珍しい例を挙げるならドラゴンが人化してたり、人化したドラゴンと人族の間に生まれた子――龍人などもおるから自分の目で確かめてみるとよい」



「本当にファンタジーの世界だな。さっきドラゴンとか言ってたけど、人族でも魔法を鍛えれば倒せたりするのか?」


 獣人見てみたいな〜とか思っていたらドラゴンとか……そっちのが気になるわ!


 人化てのはドラゴン以外の危険な魔物とかもするのか?


 魔法とかは使えるらしいけど、魔物の群れとか、最悪のパターンだと最強の魔物? ドラゴンとかに襲われた場合は人族でも倒せたりするのか?



「魔法を鍛えるだけでは無理じゃな。だがスキルと固有スキル次第では、人族でもドラゴンを倒すことは可能じゃが難しいぞ」



「スキル? 固有スキル?」



「少年も既に取得しておるよ」



「……は?」



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