第154話 ノスタルジー


見上げた先に広がるのは

ほんの少しにごった青空

咲き始めの桜の花の色

視界の端を染めていく


キラキラ跳ねる光の粒

それはきっとノスタルジー

ぴりりと走る胸の痛みを

自覚したくなくて目を伏せた


臆病者にはまぶしすぎる

淡く儚いこんな季節に

目覚めきれなかった青い葉たちは

音もなく朽ちては落ちて行く

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