第87話 まいごのきもち


圧倒的な雲に支配された空は

あっけなく泣き出した

脈絡なく吹く風に

木々が不穏に揺れる


ぞわぞわ波立つ緑は

まるで古の森みたい

真っ只中に立つ私は

なんとなく迷子の気持ちを思い出す


こんなに心許ない足下は

いったいいつ以来だろう

少し張りつめた心が

ぬくもりを求めて彷徨う


何とはなく差し出したてのひら

冷たい雫にやがて覆われ

ひらり落ちてきた葉は

嘲笑うように肩を掠めていった

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