第86話 絆創膏
無防備な肌を
言葉のナイフで突き刺した
裂けた皮膚からあふれる赤に
キミは無邪気に笑った
血が流れるのは
苦痛でもなんでもなくて
ただ心が壊れていくのを
見ているしかないのが悔しかったんだ
この痛みはきっとキミの痛み
だからどうか笑わないで
痛みも苦味も全てを受け止めるから
そんな風に笑わないで
キミが救われるのなら
いくらでもこの体を差し出すから
まだ生々しい傷口に
そっと絆創膏を貼ろう
キミの手と僕の手を合わせ
傷口にそっと触れよう
いつかきっと血は止まり
新たな傷も減ってゆき
心からの笑顔を見られるから
今だけは優しさを絆創膏に託して
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