とある屋敷でのとある一巻
バブみ道日丿宮組
お題:空前絶後のドア 制限時間:15分
壁が迫ってくる。
左から右から。
部屋の出口は入ってきたドア。
しかし開かない。
鍵がかかってるのか、あるいはそうなる仕様なのか。
壁は止まらない。
上を見て、下を見て、左を見て、右を見る。
なにか、なにかないのか。
こんなところで死ぬわけにはいかない。
処女のまま死んでなんてあげない。
こうなれば、ゴリ押しだ。
ドアを吹き飛ばす。蹴り飛ばす!
何回か蹴ってみれば、壊れそうな感触があった。
所詮ただの木の板ってところね。
壁は依然として迫ってくる。
空気もなんだか薄くなってるような気がする。
蹴るのはやめられない。
やがてメキメキと木の生命が終わる音が聞こえ始めた。
最後の一発はと、距離を取り、ジャンプ蹴り。
ドアにヒビが入り、散り抜けた。
思った以上に加速をつけすぎたためか、ドアの先にあった壁に身体を打ち付ける。
肺の空気が漏れた。頭とかじゃなくてよかった。背中ならまだ大丈夫。
これから、幼なじみを追わなきゃいけない。
この屋敷のどこかに隠れてるだろう幼なじみを見つけて、殺さなきゃいけない。
そうしなければ、この腕時計が爆発して死ぬことになる。
屋敷にどれだけの罠があろうと生きなきゃいけない。
そうしなければ、幼なじみに殺された仲間が浮かばれない。
ドアの先は、壁で埋まってた。
危なかった。
あそこでぺしゃんこになってたかと思うと、身体がぞくりとした。
苦痛にまみれた死なんて望まない。
仲間たちの死に際は思い出したくないが、どれも痛そうだった。
それを当事者じゃないかのように悲鳴をあげてたのが幼なじみだ。
まさか犯人だとは誰も思いもしなかった。
でも、もう真実。
幼なじみが殺人犯だ。
額をの汗をぬぐうと、立ち上がる。
どこの部屋に入って、どこに入ってないのかを脳でイメージする。
隠し部屋というのもあるかもしれない。
制限時間はあと30分。
腕時計のタイマーは止まらない。
行くしかない。
そう行くしかないのだ。
嗚咽を撒き散らしながら、私は捜索を再開した。
とある屋敷でのとある一巻 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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