第27話 サマーフェスティバル
「ミー君!次来たよ!」
夏休みの折り返し地点の今日、地域・学校共同の企画「サマーフェスティバル」が行われていた。
この祭りはうちの学校のグラウンドを会場として、地域の人が屋台を出し、学校は部活ごとの成果を披露するというものだ。
成果発表については自由参加だが、毎年参加している部は吹奏楽部と、一月から四月限定の部である「ええじゃんSANSA・がり」のチームの二つだ。
その他にも色々とあるが、今は正直それ所では無い。
「夜海、まだまだあるわよ。頑張りなさい」
「そう言うなら、お前さんも手伝ってくれよ!」
「?やっているわよ?」
「確かにやっているね!けど俺が言っているのは、缶を潰す方だよ!袋詰めは後でいいから、今は缶を潰せよ!いや潰して下さい、雪姫さん」
現在、前から言っていた通り、アルミ缶回収を行っている。
服装は祭りにもかかわらず制服だ。これは「生徒会の活動の一環なので、制服で活動するのか筋だよ!」と言う、柑條の意見が採用されたからだ。
さて、仕事の分担はと言うと、受け取り担当が柑條・歌ちゃん、アルミ缶洗い担当がツッキー・歌ちゃん、潰す担当が自分と雪姫さん、集計担当が赤城、出張回収が如月さん。
そんな感じで分担しているのだが、予想以上に感が集まり洗いと潰すのが追い付いていない。
にも拘らず雪姫さんは潰しては袋に詰めてと、中々進んでいない。むしろ潰していない缶の山が、どんどん大きくなってきている。
その分のシワ寄せが此方にやって来て、正直テンションとかおかしくなりそうだ。
「先輩、疲れて、おかしくなった?」
訂正、如何やら傍から見たら、既におかしいらしい。
「月乃ちゃん、思っても言わないのが優しさだよ」
歌ちゃんも思っていたわけだ。こりゃあ大分、疲れているんだろうな~。
単純作業な分、飽きが来ているんだろうな……まぁ、作業量で言ったら歌ちゃんが一番大変だろうか。
受け取っては洗ってと、二つの作業をしているんだから。
「と言うか、赤城は後処理だから良いとして、如月さんは如何したんだよ!『外回りに行って来るよ~』って行ったきりかれこれ二時間近く帰って来ないぞ!」
「う~ん、まぁ天音なら大丈夫でしょ?好き勝手しつつもちゃんとノルマはこなすだろうし」
「そうね。天音なら遊んでいる様にしか見えなくても、仕事はちゃんと終わらせているものね」
確かに言われて見たら、そんなに気がするな。
「まぁ予定よりも多く集まったから、そろそろ受け取りは終了するよ。だから、今ある缶が潰し終わったら、みんなで祭りを楽しもう!」
『おー!』
「労いを兼ねて、奢っちゃうよ!」
『おぉ~!』
柑條にしては気前がいいな。でも確かこういう時って確か……
「もちろん、ミー君が」
「何となくそんな気はしていたよ!」
やっぱりそうかよ!でもって、たいがい拒否権は無い。何となく言いそうな気がしていたから、多めに金を持って来ていて良かったぜ。
「一応は言っておくが、先約が居るから順番やら何ら決めたり、先約との交渉はお前さんらでやってくれよ」
「うん、分かっているよ。既に話は付けてあるよ!」
……相変わらず、無駄に手が早いな………
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