弔いと報復の18か月
@takechan19
第1話 吐き気
結子のことは、思い出さないようにしていた。
思い出すたび、強烈な吐き気に苦しめられるからである。
旭川に居れば、結子のことで、昼はマスコミに追い回され、夜はヒステリックな母親の暴言や喚き声で、近所から怒鳴り込まれるは、ハコからPMがやってくるはで、なかなか眠れず、私の周りには誰一人として看方は居ない。目の前にいるのは、親権を振りかざして、がんじがらめの刑務所での生活を強いてウサを晴らしている毒親である。女同士だから余計タチが悪い、何しろ「女の敵は女」なのだ。
実の父には、会うことが許されず、兄は家に寄り付かず、弟姉妹は居ない。私は毒親から逃げるために学校へ通っていたのである。
ロクに勉強もしないで、入学した高校なので、高校デビューを目指す気もなければ、スクールカーストの上位に食い込む気も無いし、部活なんて毒親にとっては、もっての外、このまま何の問題もなくディグリー貰うため、高校生活をやり過ごして、後は定員割れに苦しみ、カネ(入学金)とガンクビ(首から頭の下(顔)を写した写真。又はそれを張り付けた書類やIDカード)だけで入学できる当山(レジャーランド)大学か、旭川教育大学でも進学できればいい。そんな灰スクールライフしか描いていなかった。
2年生になった初日、私は「真壁結子」に突然コクられた。この娘のことは存在こそ認識はしているものの、何の興味も沸かないモブキャラでしかなかった。
私から見て同世代の男女関係は、男子なんてセックスに恋して如何に早いうちに童貞とオサラバできるか、ヤラせてくれるオマンコを探している只のイカ臭いチンポであり、女子とは、いかにスクールカースト上位の男の童貞を奪い、オマンコを駆使して自らのステイタスを向上することに躍起になっている、ションベン臭いニタリ貝でしかないのである。
少女漫画すら読むことが許されない家庭なので、私にとって恋愛感情や「百合」は、全く考える事なんてしたこともなければ、理解できるわけがない。
だが、結子のの私に向けてきた眼差しは、「冬の稲妻」の様であり、私の心を突き抜けた。幼い頃から近所の子供同士で遊んだこともなく、市立の小中学校に通ったこともなく、学校なんて終わったら真っすぐ帰宅するもの、クラスメートを家に連れてくるなんてとんでもないと、散々毒親に洗脳されてきたのである。
そんな私が、コクられたのは2回目でありしかも女の子である。百合に興味はないが、初めて心を通わせたくなる存在の出現に、胸の熱い高鳴りを感じた。
私だって、レッキとした、ニタリ貝を搭載したメスガキであるが、人生最初のモテ期到来の相手は、あまりにもヤバすぎた!本能的な恐怖しか感じなかった、それも、SEX以外でそれ以上にヤバすぎる、マフィアや対立組織のごとく、イジメのターゲットとしてロックオンされてしまい、余計なウザいトラブルの火種になり兼ねないとしかないイケメン男子である。ごく普通の少女なら、即、ドギマギするであろう。が、
他人は勝手にバカップルのつり愛具合を秤に掛ける。モブの私がコクろうものなら、直ちに瞬殺されるのが当然であって、逆も然りなのだ!
毒親にとっては、オトコに捨てられた快楽の副産物以外の何者でもない。そんな私に「コクられました、イケメンです、カレシです」が現実のものになれば、どうなるか?毒親にしてみれば、嫉妬心に猛り狂うこと間違い無し。やがて、オトコから捨てられてしまうのがオチだ!
一方、灰スクールライフの方も、かなりドス黒い生活になる。相手は入学直後からバスケ部のスタメン入りしてる学園のヒーローだ!女子から妬み・嫉み・やっかみの三拍子揃い踏みなので、お付き合いは、長続きするはずは無いし、ヤラれた後直ぐに他のオンナに乗り換えられてしまうのは火を見るより明らか。どう転んでも付き合うべき相手ではないのである。だから私は、イケメンを瞬殺した。
それがまさか、あの3バカトリオが結子を自殺に追い込む原動力になるなんて、未だに信じられない。それどころか、人ひとり自殺に追い込んだクセしやがって、何食わぬ顔してディグリーを取る。
こんな理不尽なことがあってたまるか!今の吐き気より何倍もの苦しみを感じながら、どんな思いで結子は自殺したのか?その疑問は、何としても晴らしたい。ほんの数か月ながらも、私にアツイ友情を教えてくれた結子に弔いと感謝の念を形に残したい。
そして、吐き気がようやく収まった私は、兄に告げた、「兄さん、私学校辞める、弁護士紹介して!」それを聞いた兄は「明日からは荻原フーズの社員として、私の命令に従ってもらう。学校はT高の定時制に行け、車学にも入校して、バイクの免許とれ!高認を受験しろ!」そう言うと兄は、「吉田さんが受け取ってくれなかったカネがある。この金でさゆに服を買ってやってくださいとサ!あの人、心底さゆに惚れているのがバレバレだよ!兄としては嬉しいが、オトコとして悔しいよ!」と、吐き捨てるように言い放って、ショッピングモールへたどり着いた。
どう見ても、JKに見えないような女性用のスーツと作業服、鉄芯入りの安全靴を買い込んだ後、かつて行きつけのヘアサロンでカットしてもらい、その後は御前会議の為、レストランで夕食をとった。
いよいよ明日からスタートする。早くて6ヶ月遅くて18か月の間にどんな結末を迎えることができるのか?私はもう、身も心も魂も全て吉田さんに捧げ、全力を挙げて愛し続けていきたい。それができなければ、私は生きていられない。
その夜、明日の準備を済ませ、パジャマに着替えようとした途端、私は床にへたり込んだ、「え!月経?」違った、吉田さんとの同棲生活してる間、洗濯機回す前に襲われたカラダ全体から湧き上がる静かなる熱狂である。
だがそれは、吉田さんだからこその感情であって、過去の私にとって、SEXにまつわる過去は、「サセ子・ヤリマン・ヘッ中・ビッチ」とオトコにとって都合のいい射精の道具に成り下がっていたのである。
悔し涙を流しながら、吉田さんと会えたら。理由の如何を問わず、チンポにむしゃぶりつこう、そして、これからの未来を決めてもらおうと、誓ったのである。
クロッチ部分に特大のシミを付け、納豆のようなドロドロに糸を引いているパンツをみながら・・・。
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