死に目と僕(短編集)
@hemutendency
わたしのもとへ
食卓の黄色い水仙が、気付けば水気を無くしていた。去年の夏、母が土産に活けて帰った水仙だった。今は目の前にある茶ばんだ花と、「大変な仕事なのは分かるけど、たまには家に帰ってね」と書かれたメモでしか彼女を思い出せないから、不実でありがちな泣き言が喉までせりあがる。水仙が枯れてから私が帰る場所を喪うまで、時間はあったのに。無性の寂しさで水仙に触れたら、それは音を立ててくしゃりと崩れた。不孝を嘲るように。
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