チョークをなぞって、君と生きる
カンジチョー
第1話 黒板越しの再会
「し、
彼女が亡くなって一週間が経過した。僕は早朝に衝撃的な光景を目にする。
一瞬怪奇現象か誰かのいたずらかと思ったけど、幼なじみだからこそ分かる白石の文字そのものだった。丸みを帯びた文字で美しい字系は白石っぽい字だ。
誰からも愛される少女は理不尽な高齢者の飲酒運転が原因で亡くなった。僕の耳に届いたのは彼女が病院に運ばれてからだった。その後のことは覚えていない。僕が最後に彼女の顔を見た時なんといったのだろうか?思い出すと胸にグッと恐ろしく締め付けられ呼吸が荒くなる。そうして僕はひたすら涙を流した。
その一週間後黒板に書かれた白石の文字を僕は優しくなぞる。
『おはよー♪黒崎くん』
黒崎くんは僕の苗字だ。付き合った彼女と僕は学校でモノクロカップルとからかわれるほどだ。僕がインドアなら白石はアウトドア、僕が甘いモノが好きなら、白石は辛いモノが好きというように対称的な存在だった。
「おはよう白石」
僕は白石の隣にチョークをなぞって、黒板の中の彼女に挨拶をする。
これがどういった現象か分からないし因果かも不明だけど、彼女は黒板の中で生きている。そう思うと涙と頬の緩みが同時に露わになった。
月曜日の朝7時20分僕は黒板越しで彼女と再会する。
これは僕と彼女の二度目の別れの物語。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます