『魔法について』

魔法、というものは魔力があるにも関わらず、生物達が脳を持ち始めるまでは使う事が出来なかったそうだ。


とはいえ、知能が関係しているワケでもないらしい。ほぼ同時に生物達の体内で魔力に変化があったようなのだ。


『待てよ……?脳を持つまで使えなかったのなら、単細胞生物の時点で遺伝等が原因により、魔法は使えなくなるはずなのでは?』と思うだろうが……それは違う。


理由は……


(生物達が『魔力を射出出来る程の量保有し、それを使用する』という奇想天外な進化を遂げたのは〝何処かの辺り〟で起きた我々の先祖となる生物の魔力の急激な増大……要するに突然変異が起こったのが原因だとされている。だからその突然変異した奴が無事に生き残り、子孫を増やす事が出来たから今現在我々は魔力、魔法を扱えるというワケだな。)


(それともう一つ、ちなみに言わせてもらうが、今現在多くの魔力を持ち、魔法を扱える人間、魔物は『定向進化、または過剰進化した生物』だと考えられているぞ。)


上記したような感じだから。らしいな。


……ただ、結構ズレた話も含めた内容であったのは俺も重々承知しているので、そこはご理解頂きたい。


まあ、俺用のメモだから何でも良いか。


それはともかく。

だから『魔力の有無』、『魔法を使用出来るか否か』等は、単細胞生物以降の生物……それも、突然変異した生物以降の者達だけが抱える問題(?)なのだ。


そして、次は魔法使用時の2種類のタイプについて説明しよう。


まずは『体外に放出する』タイプからだ。


(ちなみに説明するとか言っておいて申し訳ないが、この時の〝コツ〟のようなものは何回聞いても全然分からなかった。やはり俺が使った事がないからだろうか?)


これはまあ、言葉通り普通に体外に魔力を放出するというだけなのだが……それが炎、氷、雷や、その他色々の魔法となる理由は、どうやら『空気に触れた途端に起こる、化学反応のようなもの』であるらしい……


らしいのだが、この世界の技術力ではまだそうだと断定する事は不可能であるようだ。


ちなみに、魔術士の殆どがこのタイプであり、彼等は掌、またはその付近から魔法を放つそうだぞ。


もしくは魔石のはめ込まれている杖や剣等から熱伝導のような形で魔力をそれに移動させ、そこから射出したりとかする人も多いみたいだな。


けれど、魔力とは『他の液体同様、体外に放出される』ので別に他の所……何なら額や、身体中から放出する事だってやろうと思えば出来るんだそうだ。


ただまあ命中率が激減するだろうし、服を着ていたら使うに使えないので、実行する者は皆無のようだがな。


それと、ドラゴンのように火炎袋等の器官から魔力を放出する魔物達もこのタイプとなるらしい。当たり前だが。


だからああいった器官は、実は魔力等の液体をそこに溜め込んでおけるというだけの器官であり、あそこで炎を生成しているワケではなかったのだ。


そう、あれはただ単に人々がそのように呼んでいるだけの、ただの〝袋〟だったのだ。


ああ、ロマンが……


まあ良い。

次は『体内にて使用する』タイプだ。


とは言っても、これも言葉通り体内で使用するというだけだ……なのでそうするメリット、デメリットでも説明していくとしよう。


まずメリットについてだ。

それは大きく分けて二つある。


一つ目は『前者の魔法が使えない者でも、こちらならば使用出来る可能性がある』だ。


これも言葉通りだな。

そう、上手く魔法を扱えない人や魔物でも、このタイプの魔法ならば使える場合があるのだ。


何しろ、こちらは射出するという手段を用いずに体内でそのまま発動させるんだからな。


その〝コツ〟が分からなくても、魔力さえ持っていれば練習次第でこっちの方だけは使える……かもしれないらしいぞ。かもしれないだけどな。


二つ目は『発動が体外に放出するタイプの魔法よりもかなり早い』という事が挙げられるだろう。


体内で循環しているものを使用するからか、この魔法は前者よりも発動が非常に早いのだ。


また、それは脈拍のスピードによっても変化するらしいぞ。だから戦闘中は運動をしているようなものなので当然ながら脈拍も、魔法の始動も更に早まるのだ。(脈拍は本当に当たり前だけどな)


それと、こちらの方も断定は出来ないが、どうやら化学反応とはまた違う原因によって魔法が発動しているようである。


そして、その原因とは……


(こちらの方の……特に身体強化等の魔法が発動するのは、『体内で循環している魔力がその速度を加速させたり、または減速させたりする事で、意図的にホルモン、細胞分裂等の分泌量、速度等への変化が起こり、それによって魔法が発動する』かららしい。)


(だからなのかこちらの方は、「これはホルモンの過剰分泌等によって起こる〝ただの現象〟であり、正確には魔法とは呼べない。」という説を唱える者もいるみたいだ。)


このような感じのものであるらしい。


……上記した〝仕組み〟を見れば何となく分かるかもしれないが、こちらの方は身体にかなり負担がかかってしまうので乱用はオススメ出来ない。


そうだ。

これがデメリットだ。


だからなのか、後者の……というかこのタイプの魔法を使用する魔物、人間はそうしない者達よりも短命である場合が多いそうだ。


まあ人、個体によってはそうでない者もいるようだが……早めの死神の来訪を回避出来たとしても、肉体、脳を酷使し過ぎたためにその者は病気等によって廃人のようになってしまう事が殆どであるらしい。


そう、だから魔術士の多くはこちらの魔法をあまり使用しなかったのだ。それは出来ないのではなく、自己を守るためだったのだ……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る