クボタさんの魔物図鑑 その131

No.154 ナルフール

魔人類オニビト科


体長 120〜2m

体重 60〜130kg


能力値(野生下での平均値)

『力』150〜500

『魔力』0〜150

『機動力』140〜180


討伐依頼受諾可能最低ランク

F(個体によってはE推奨)


・特定の生息地はない。

・例の異国出身の知り合いからこの魔物の話を聞いた。そういえば少し前に、彼が街の妙に入り組んだ場所にある道具屋へと入っていくのを見かけた。もしかすると彼は、石好きなんだろうか?


この魔物はナルフール。

まだ未熟な戦闘職や、一般人が最も注意しなければならない魔物の一つだ。


何故ならばコイツは〝自分より弱い相手〟に対してのみ非常に凶暴かつ残忍で、ターゲットとなりそうな獲物がいればそれがナルフールを刺激せずとも、自発的に襲い掛かってくるからだ。


逆に自分よりも強い相手にはとても臆病で、その気配を察知しただけで逃げていってしまうと言う。なので旅人、行商人の中にはナルフール避けのためにドラゴンの牙等、『強い魔物の所持していたもの』を常時懐に入れておく者もいるんだそうだ。


そして、上記した通りコイツには特定の生息地がない。それはナルフールの〝ある特徴〟のためだ。


コイツらは元々、群れを形成していた魔人類魔物達のいわば『残党』のようなもので、その群れが壊滅、または追い出されてしまった等の理由ではぐれ者となると、そうした個体が再び似たような境遇の者達で集まり合い、それがナルフールになるのだと言う。


で、その群れは勿論定まった場所にて作られるワケではないため、コイツらには決まった生息地がないのだ。


……が、そのようにして群れを成したコイツらが〝真の意味でナルフールとなる〟のにはまだ一つの事柄が不足している。お次はそれについて説明しよう。


そうして徒党を組んだコイツらは誰彼ともなく、互いに示し合わせたワケでもなく、ある行動を始める。


それは、『姿をナルフールに変える』事だ。

内容としては石、木材、木の葉、藁等で仮面、蓑を作るのである。


それを終えて初めて、コイツらはナルフールとなるのだ。ちなみに、その目的としては仮面で顔を隠し、蓑で体臭を誤魔化し、『元々の仲間、同族等に自身がそれと〝同じもの〟であると悟られないようにする』事だとされている。


もしかするとコイツらは、自身の行う野蛮な行為を恥ずべき事だと自覚しているのかもしれない……


最後に余談ではあるが、ナルフールとなる魔物は主に※1『ゴブリン』や※2『オーク』であるらしい。実際、討伐されたナルフールの装備品を外すと、コイツらと非常に良く似た生物が現れるのだそうだ。


コイツらがそうなってしまうのは、恐らくではあるがそこまで強くない魔物だからこそなのだろう。群れを形成する魔物にはそうするだけの理由がある、と言う事だな。


しかし、何故ここまで凶暴化するのかだけは未だによく分かっていないらしい……群れを離れてしまい、自暴自棄にでもなっているのだろうか?




注釈


※1 ゴブリン 『クボタさんの魔物図鑑 その6』にて紹介


※2 オーク 『クボタさんの魔物図鑑 その27』にて紹介

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