クボタさんの魔物図鑑 その127
No.150 モリコビト
魔草類ラシキュウカ科
高さ 20〜21cm
重さ 480〜500g
能力値(野生下での平均値)
『力』5〜10
『魔力』130〜150
『機動力』50〜55
討伐依頼受諾可能最低ランク
G
・ロシバ、ドロップ、カムラ……以外にも様々な地方に生息(?)。ちなみに、ザキ地方にだけはいないらしい。
・集会所兼酒場にてこの魔物の話を聞いた……俺の背後のテーブルにいた人々がこの魔物の愛好家達だったらしく、それを盗み聞きしただけなので正確に言えば『勝手に聞いた』のだが。
森の中で不意にとことこと何かの物音が聞こえたら耳を澄ましてみると良い。それは本当の本当に『とことこ』という擬音がぴったりな音なので、聞いていると何故か穏やかな気分になれるぞ。
暇な人はそうした後で音の出所も探してみよう。
そうすればきっと、モリコビトに会えるはずだ。
さて、名前も分かった所でこの魔物の紹介を始めるとしよう。
コイツはモリコビト。魔草類には珍しく自走する事の出来る魔物だ。
つまり足があるのだ。もっと言うと足どころか、何故かちゃんと手のようなものまで付いているぞ。
なんでもコイツは『植物の実や種のようなもの』であるらしく、〝親〟から魔力と栄養とを吸収しながら成長し、地に落ちた際にはそれを利用して歩き回るのだと言う。
ちなみに、これには『より遠い場所で根を生やし、種を繁栄させる』という目的があるらしい。まあ、生物なら種の繁栄を目的とした行動なんて当たり前ともいえるから、いちいち言う必要もなかったかもしれないがな。
でも、コイツ能力値的には激弱だからすぐ食べられてしまうんじゃないか……?
と思うかもしれないが、コイツはまるで栗のように硬い皮を持っているので並大抵の魔物では傷を付ける事すら出来ない。よってモリコビトは殆ど心配もせずに、森の中をとことこ歩き回れるのだ。
それに多分、本人も心配なんてしていないと思う。そこまでの知能もないだろうし……
そしてこれは余談だが、モリコビトには目が付いておらず、直感的なのか本能的なのか……とにかく、勘(?)のようなものだけで移動しているようだ。
なので人間が正面に立っても気が付かずにぶつかってしまったり、体を触られるとそうされた後で気付いて慌てて逃げ出すのだと言う……これを知ったからってあんまりいじめないであげてくれ。
あと……これはどうでも良い情報だが、歩いているコイツは結構カワイイらしい。丸型の体についた手足で一生懸命、歩いたり、走ったり、段差を登ったりしている所が実にキュートなんだそうだ。
そして、モリコビトは根を生やすのに良い場所を探して3〜5日程移動するのだが……その際、理由は不明だが眠ったり、休憩するような行動もするらしい。
それがまたカワイイのだと言う。
ちなみに、俺の背後にいた愛好家達は小石等に腰掛けて「ふぅ……」とでも言いそうな姿でのんびりとしている時のモリコビトが一番カワイイのだと話していた。
ああ、それで思い出したがその愛好家達は自身でもモリコビトを育てているんだそうだ。それで皆が集まれる休日等に、誰のモリコビトが一番早いか、カワイイか等を競っているらしい。
人の趣味に口を出すつもりはないが……暇なのかな?
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